森の中
俺達は歩いて森まで来た。
街からはそんなに離れていない。
街道を少し歩いてから細い枝道を通り、道が無くなってからは緑の中を歩いた。
この森に来たのは討伐の依頼を受けたモンスターがこの森に生息してるからだ。
ここに生息していると情報があり、依頼でもこの森で討伐して来いと書いてあったのでこの森にいることは間違いないだろう。
とりあえずモンスターを探すことから始めますか。
「とりあえず辺りを見て回って探しますかの?」
ブランがそう言って背負っていた斧を手に持った。
ここからは何があるか分からないってことだろう。
普通に考えて歩き回って探すしかないよね。でも俺には頼もしいスキルがあるんだよね。
「いや、探すのは俺のスキルに任して欲しい。
ちょっとの間だけ集中するから周りを警戒しておいてもらえるかな?」
俺がそう言うと2人は不思議そうな顔をしていたが頷いて答えてくれた。
さて、俺のスキルの出番だ。
俺は頭の中でスキルの一覧を出して必要なスキルを選んでいく。
今回使うスキルは
【気配察知 LV.10】
【千里眼】
【鑑定眼】
【地図作成 LV.10】
【高速情報処理 LV.10】
の5つを使った。
【気配察知】は前も使ったり今も持ってることになっているが辺りの生物の気配とかを
感じ取れるようになるというスキル。
レベルが上がれば有効範囲が広くなるし、その生物の状態や心理状況とかも読み取れるようになる。
【千里眼】意識すると遠くのものが見えるようになるスキルだ。その場にいるかの様にそこの光景が見える。
【鑑定眼】も何度か使ったスキル。見たものの名前や詳細が分かる。
【地図作成】は自分周辺の地形が分かったりするスキル。頭の中にそのまんま周囲の地図が見えるって感じかな。これもレベルが高くなるとより広くわかるようになる。
【高速情報処理】は脳内の情報処理の速度を何倍にも早めるスキル。見たもの聞いたものとかを瞬時に自分の必要な情報だけにしたり、理解し易くなる。
とりあえずこの5つのスキルを同時に発動する。
すると頭の中には俺を中心に直径1kmぐらいの円形の地図が現れる。その地図の中には赤く光る点みたいなものが幾つか見て取れた。1つの点に集中するとカメラがズームアップするように見えてるものが変化した。 そしてその点の場所にいるかの様に、その場の光景を見ることが出来る。見ると1匹の猪を大きくしたようなモンスターが鼻を動かして何かを食べている様だ。
それを見て俺は一段階集中する。するとそのモンスターのステータスが見えた。
名前の欄を見ると【ブル・ボア】と書いてあった。
見付けた。
「いる場所分かったから行こうか。」
俺は目を開いて2人に伝えた。
「えっ、もうですかの?それにどうやって・・・」
ブランが俺のセリフに呆気にとられたように聞いてきた。
俺が目を閉じてからから10秒くらいしか経ってなかったしな。これは城にいる時に試したことあったから割とすんなりとできたことなんだが。
しかしどうやったかと説明しろと言われても難しい。こういうスキルをこうやって使ってと説明しても多分理解はできないだろう。
「説明するのは難しいかな。そいうスキルを使ったとしか言えない。
とりあえず進もう。向こうも移動するかもしれないし。」
俺はそう言って歩き出す。半信半疑の様子でガイとブランも俺の後を付いてくる。
俺はスタスタと森の中を歩いて行った。後ろの2人は周りを警戒しながら付いてくる。
そんな警戒しなくてもスキル使って周りにモンスターとかいないことわかってるんだけど。言っても理解されないかもしれないので何も言わず突き進む。
暫く歩いていくとそろそろだと思い歩くのをゆっくりにしてなるべく音を立てないように木の陰まで進んだ。
チラリと木の陰から身体を覗かせて見ると先程と変わらず何かを食べているブル・ボアの姿があった。
「ホントにおった。」
俺の後ろから覗いたブランもその姿を見付け驚いている。
さてと思って俺はもう一度【鑑定眼】使ってみる。
名前:ブル・ボア
種族:ボア族
性別:雄
レベル:12
HP:82/82
MP:10/10
STR:40
INT:3
AGI:34
DEX:7
スキル:
【石頭 LV.3】
【突進 LV.2】
【威圧 LV.1】
称号:頭突き王 マッドスピード キノコ好き
もう一度しっかりと見てみるが、あれ?強くね?
スピードとか俺よりも上なんですけど。まぁ俺はまだレベル1だしな。レベル1のやつがこんなのに挑んだらダメなんじゃね?
「結構強そうなんだけど。」
小声でブランに聞いてみた。
「そうですな、大きさも結構ありますしEランクですからな。」
はぁ、そっか。大きさも全長3mくらいある。
ぶっちゃけこっちに気付いてないみたいだしこっから高レベルの魔法打ち込んだら簡単に倒せるんじゃないか?とか思ってみたけど色々と試したみたいことはあるからいっちょやってみますか。
「とりあえず俺1人で倒してくるよ。2人は待機してて。
んで危なくなりそうだったら助けに来てくれ。」
俺はそう小声で言って腰の剣を静かに抜いた。
2人は驚いたが静かにうなずいた。
ガイは少し緊張した顔をしていたが、俺の目をしっかり見ていた。俺の力量を図りたいんかな。
ブランは勇者である俺を信用してるみたいだった。表情には不安の色はなかった。
次回初めての戦闘です。
2016/10/15 獣の表記を変更して最初からモンスター表記に替えました。




