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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略43

 バロンさんから話があった翌日。俺達は既に91階層に降りてきている。

 準備もいつも通りぐらいにしか思いつかないし、とりあえず91階層からの様子見の為に来てみたんだ。しかしこれはな、どうするべきか。


 俺達はデカい扉の前にいた。

 迷宮で初めてボス戦に挑んだ10階層目の様な場所だ。

 91階層に降りると廊下というか石で作た通路があり、その先に今いる扉があった。

 【索敵(レーダ―)】で確認してみたが、やっぱり91階層はこの部分しかない様だ。

 これってあれか・・・、前の世界のゲームでいう所のボスラッシュか、俺はそう思った。


 どうやら91階層からは階層ボスみたいななのが1階層ずつ続くみたいだ。よくゲームとかであったよな、こういうの。内容としてはシンプルなんだけど自分でやるとなると何とも言えない。



「これってあれだよな、前々からある10階層ごとの階層主みたいな部屋があるんだよな。」



 バロンさんが声を出した。



「そうですね。俺もスキルでこの階層を確認しましたけどこの部屋以外はないみたいです。

 俺の予想ですけど多分100階層までこんな感じのが続くんじゃないですか?雑魚は出ず、大物との戦闘が続く感じではないでしょうかね。」


「おっ、それいいな。チマチマ戦うより断然その方が俺好みだ。」



 バロンさんは俺の台詞に笑って答える。まぁ俺も敵がいっぱい出るところよりもこういうボス戦だけっていう方が戦闘には集中できる。ただな・・・。



「ただ問題が幾つかあるんですよね。」


「問題?」


「えぇ、まず1つ目は多分1回部屋の中に入ってしまうと戻れなくなるってことです。今までもそうだったんで多分そこも変わってないと思います。敵がどういう奴かわからないので対策が立てれないって言うのが1つ。

 後は前までの様に91階層の敵を倒してもギルドに帰れないという可能性。端的に言うとこの部屋に入ったらもう100階層を攻略しない限り地上には戻れないってことですね。

 今まで10階層ごとに帰還用の魔法陣が設置してありました。だから次の魔法陣があるのは100階層になるでしょう。10階層ごとの敵を倒しても次の階層に進む方へしか扉は開かなかった。となると91階層以降は先にしか進めない可能性があります。

 ただ91階層から先毎階に魔法陣が設置されてる可能性はありますけどね。

 でも俺だったら設置はしないですね。もう大詰めなのでこのまま進ませるように作ると思います。それぐらいの難度はつけてくると思います。」



 俺は思いついたことを言った。

 一番最悪の可能性だよな。この部屋はいると100階層攻略するまで帰れないって言うの。

 後は実は1階層ごとボス部屋がいくつもあるとかな。ボス部屋以降は【索敵(レーダ―)】では見えない様になってるからその先に部屋があってもわからないんだよな。1階層ごとに何体もボスを倒さないといけなくなるとかって言うのもな。そこまで鬼仕様じゃなければいいけど。



「そうか、ならどうする?もっと準備を整えてから挑むか?」


「それなんですよね。準備と言ってもどんな敵が待ち構えてるかわからないので準備にしようがないんですよね。ある程度必要なものは俺が持ってますし。帰れなくて中で泊ることになっても数週間の食料はストックしてます。

 基本的に持久戦になるってこともないでしょう。倒すか倒されるだけで、少しずつ攻撃するって言うのは俺達の戦闘パターンでもないですから。全力で戦って、その後休憩するっていう感じですしね。

 後はそれぞれ修行してもっと強くなってから挑むとかあるんですけど。俺はこれ以上急に強くなれるかって言うとなれません。もう大分考えてたことなんかは出尽くしちゃってるんですよ。

 皆がまだ修行して強くなりたいってことなら時間をとってもいいとは思うけど。」


「なるほどな。俺は別に今更だな。【終(つい)の型】まで完成したからな。これ以上修行したからっていきなり強くなってはいかないだろう。」


「右に同じだ。俺もそう大差ないだろう。」



 バロンさんとガイが言った。



「わしもそう変わらんでしょう。大きな魔石を作れるようになり強力な魔法具を作れるようになれば別でしょうが、それではかなり先の話となりましょうぞ。」



 ブランが言った。



「私も。どちらかというと私は支援がメインなので修行を行うってことはありませんもの。」



 アリアもそう答える。



「シータはいつでも大丈夫だよ。」



 シータは相も変わらずのようだ。



「そうか。じゃあ、このまま進もうか。

 もしかするとこのまま100階層を攻略するまで地上には戻れないかもしれない。

 でも今の俺達なら絶対に攻略できると思ってる。いくぞ、みんな!」



 俺はそう言って皆に声を掛けた。一番は自分自身を奮い立たせているってこともあるけど。

 もう迷宮攻略も大分大詰めだ。みんな無事で攻略したい。そう願いながら俺は目の前の扉を押し中へ入った。


 中に入るとなんだか懐かしい感じの部屋だった。

 10階層のボス部屋と大差ない感じだった。石で作った壁や少し彫刻が施された柱なんかがあった。

 いや、懐かしいな。最近は魔法陣で変なとこへ飛ばされてばっかりだったし。こういういかにもボスが出ますよって言うのも大分久しぶりな気がする。


 そんなことを思っていると部屋の中心に光が集まり魔法陣を描く。

 ボス登場ってとこだな。

 そう言えばこういうボスラッシュとかのパターン的に今までの階層のボスがずっと出てくるとかあるんだろうか。91階層は10階層のボス、92階層のボスは20階層のボスとか。そうすると最終的にまた【玄武(げんぶ)】とか出てくることになるよな。

 俺の考えを無視して魔法陣から出てきたのは見た目【ブラッドグリズリー】をデカくしたモンスターだった。

 確かここの10階層のボスはブル・ボアみたいな奴だったはずだ。俺の予想が外れたみたいだ。これからは今まで出てきてなかったモンスターが出てくるみたいだ。

 しかし目の前に出てきたモンスターは前に見た【ブラッドグリズリー】とは少し違っている。

 大きさがデカいのは個体差があるからかもしれないが体の至る所からトゲなのか牙なのかわからないが尖ったものが生えていた。そう言えば【ブラッドグリズリー】って相手の血を吸ったりするんだったっけ。あのトゲの様な物が相手を傷付けやすくしてるんだろう。

 確かこいつは再生能力があるからな、また俺が凍らせるか。



「【奥義・鬼神閃刃《おうぎ・きじんせんじん》】」



 ガイがいつの間にか敵の後ろに回り込んでいて抜身の剣を振るう。

 いくつもの赤い線が敵に刻まれる。

 チンと音を出してガイが剣を鞘に納めた。

 遅れて敵は体に入った赤い線を境にしてバラバラになった。そしてスッとその姿を消した。



「おい、ずるいぞ1人だけ。」



 バロンさんが構えていた剣を背負いなおして言った。

 おいおい、ここにきてまで一撃か。なんか10階層を思い出すな。

 しかしあの時と違て一応奥義の技だったみたいだけど。色々考える前に終わったし。

 敵にいくら再生能力があったとしてもあそこまでバラバラにされたらどうしようもないな。

 それにしてもこの階層でも一撃で倒せるとかって大したもんだ。



「とりあえず様子見だったんだがな。意外と手ごたえがなかった。」


「嘘つけ、奥義とか使ってただろ。お前が倒す気満々だったじゃねぇか。」


「何言ってる。気のせいだ。」


「いや、俺は耳は良いんだ。ちゃんと奥義とか言ってんの聞いてたぞ。」


「あれは奥義って言っても大したことない奴だからな。」



 そんなやり取りをバロンさんとガイがやっていた。

 いつの間に2人はそんなに仲良くなったんだろうか。その輪の中に入りたいような、入りたくないような。

 2人のやり取りは無視して部屋奥の扉が開いた。



「とりあえず先に進みましょう。この先がどうなってるかです。」


「仕方ねぇな。次の獲物は俺に任せろよ。」


「早い者勝ちだろ?」



 俺はそう言ったがバロンさんとガイはまだ何やら言っていた。

 誰が倒すとかどうでもいい気がするんだけどな。

 敵を倒さないと落ち着かなかったりするのか?2人とも。

 面倒になったので俺はさっさと進んだ。

 空いた扉の先に進む。すると通路の先に下に伸びる階段が見えた。


 やっぱり先に進むしかないみたいだ。入ってきた部屋の扉は閉まっている。もう90階層にも戻れない。当たらなくていい予想だけ当たったみたいだな。



「俺の予想が当たってしまいましたね。100階層を攻略するまで戻れそうにありません。」


「予想はしてたんだ。行くしかないだろ。」



 俺の言葉にバロンさんは進む気満々で答えた。早く次の敵に会いたいんだろうか。

 まぁ10階層分どれぐらいの時間で攻略出来るかわからない。疲れていないのならさっさと進んだ方がいいだろう。



「そうですね、じゃあ次の階層に進みましょうか。」



 俺はそう言ってみんなを引き連れて通路を進み、階段を下りて行った。



 92階層に降りていくとやっぱりあるのは通路と扉だけ。ある程度の予想は当たってるってことだな。それにしても1階層ごとに部屋がいっぱいあるとかじゃなくてよかった。いや、まだ先にそう言うのが出てくるかもしれないからぬか喜びになるかも。

 さてと、特に疲れてもないしそのまま進むことにするか。

 俺は皆の顔を見て扉に手をかけた。皆は頷いて答えてくれる。


 じゃあ勢いを付けてさっさと進んでいこう。

 そう思ったが92階層はそう簡単な話でもなかった。

お読み頂きありがとうございます。


迷宮攻略も大分佳境に入りました。

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