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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
145/237

迷宮攻略39

 キングを倒したところには鎧と剣、そして盾が残っていた。

 多分キュクロさんが作ったんだろう、【鑑定眼(アナライズ・アイ)】で見たら『神が作った、そこそこの鎧』とか出た。

 このままここに放置するのもなんだしな、と思って俺は全部【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中に突っ込んでおいた。

 鎧はキングが着けていたものだから仲間とはサイズが合わないしな。盾もタワーシールド使ってるのっていないし、ブランには流石に大きすぎるだろう。

 そう言えば剣はバスターソードだからバロンさんが使えそうなんだけど。



「バロンさん、リザードマン・キングが使っていた剣使いますか?」



 俺はバロンさんに聞いた。



「いや、急に得物が変わってもな。重さとか使い勝手が違うから直ぐに使えるようにはならない。次は幻獣と戦うんだろう?だったら使い慣れたこいつの方がいいだろう。」



 バロンさんはそう言って背中に担いだ剣を俺に見せた。



「そう言えば、そうですね。じゃあとりあえず次の階層まで行ってみましょうか。

 もしかしたら予想と違って敵が出てくる階層かもしれないんで用心して。」


「そうだな。」



 俺はそう答えて皆と魔法陣の所に行った。

 分身体は既に回収してバロンさん達がじゃれ合ってるうちにMPも回復してるから何かあっても大丈夫だろう。

 俺達は魔法陣の中に入った。

 次に目を開けてみたのは大きな(やしろ)の様な建物だった。なんだか急に和風な感じだな。

 目の前には朱塗りの柱が並んだどこかの神社仏閣を思わせる様な建物があった。

 【索敵(レーダ―)】を使ってみたがこの階層には敵はいない様だ。少しホッとする。

 俺達は目の前の階段を上り(やしろ)の中に入った。

 ずっと進んでいくとこれまで同様に魔法陣と石碑を見付けた。予想通りだな。



「どうする?このまま突っ込むか?」



 バロンさんが目の前の魔法陣を見てから言った。



「いや、少し作戦を練りましょう。今回の相手は結構大変かもしれません。」


「そうなのか?」


「俺の予想が正しければ。」



 俺はバロンさんに待ったを掛けた。



「シータお腹減った。」



 そこにシータが割り込んだ。そう言えば迷宮に入ってから結構時間経ってたしな。



「じゃあ、飯でも食ってから話をしましょう。」



 俺はそう言っていつもの様に【倉庫持ち(アイテムボックス)】から必要なものを取り出した。

 それから俺達は食事をして少し落ち着いた。



「取り合えずなんだけど、次に出てくる幻獣は【朱雀(すざく)】だと思う。」



 食事がすんでゆっくりしているみんなに俺は話があると言って考えを述べた。



「【朱雀(すざく)】?何でそんなことが分かるんだ?」



 俺の言葉にガイが聞いてきた。



「俺の元いた世界に四神って言うのがいるんだ。正確にはいると考えられているって言った方がいいかもしれない。【白虎(びゃっこ)】【玄武(げんぶ)】【朱雀(すざく)】【青龍(せいりゅう)】ってね。

 今までに【白虎(びゃっこ)】【玄武(げんぶ)】はもう出てきたから、多分【朱雀(すざく)】じゃないかってね。

 まぁなんで俺のいた世界と同じ様な幻獣がこっちの世界にもいるかはわからないけどね。」


「しかし後2匹いるってことだったら【青龍(せいりゅう)】っていう奴の可能性はないのか?」



 バロンさんが聞いてくる。



「えっと【朱雀(すざく)】は南方を守護して火を司るって言われてるです。だからこの場所にはピッタリなんです。逆に【青龍(せいりゅう)】は水を司るって言われてるんでこういう場所だと力が出せないはずなんです。」


「なるほどな。そう言うのがあるのか。」


「まぁ俺のいた世界ではってことですけど、今までの【白虎(びゃっこ)】【玄武(げんぶ)】も同じような特性を持ってたので。」



 俺はそう言ったがちょっとズレはある気がする。確か俺の世界の四神では【玄武(げんぶ)】は水を司っていた気がする。【黄龍(おうりゅう)】が土を司っていたはずだ。こちらの世界には五行説がないとかの話だったり、俺のいた世界そのままじゃないのかもしれない。こちらは4大元素にちなんでいるみたいだしな。【青龍(せいりゅう)】は水を司ってるかどうかわからない。

 でも俺の予想が大体当たってる気がするんだけどな。ここまで結構お決まりのってのが多かった気がするし。ある程度の流れってものが決まっている気がする。



「それでなぜ【朱雀(すざく)】が結構大変な相手なんだ?」



 バロンさんが話を続けた。



「まず【朱雀(すざく)】って火の鳥みたいな姿だと思うです。俺の世界ではそうでした。だから多分空を飛んでると思います。

 次に【朱雀(すざく)】って自身を焼いて再生するとも言われてるんですよね。その特性がこちらでもあるとすると炎に飛び込んで再生するとか、炎を食べて再生するとかいうスキルというか力を持っていてもおかしくはないんです。」


「そんなことが・・・。」



 俺の言葉にアリアが驚いて声を出す。



「俺の考えだけなんですけど、ただそうなる可能性が高い気がするんです。」


「じゃあ、倒し切れないってことか?」



 バロンさんが聞いてくる。



「いや、そんなのを流石にキュクロさんも迷宮に配置しないでしょう。ここは試練の場ですし、倒せないモンスターを置いておいたりはしないと思います。

 ただ、恐らくなんですけどMPを消費して体を再生するとかじゃないかなって思うんです。だからMPが底を着く迄使わせてから攻撃したら倒せる気がします。ただそれがどれぐらい大変かってことですね。」


「【火龍】の様に地上に引きずり落とすって事は出来ないのか?」



 今度はガイが聞いてくる。



「どうだろうね。俺は一つの可能性として、なんて言うか実体って言うのがないじゃないかと思う。」


「実体がない?」


「そう、今まで戦ったレイスとかゴーストみたいにエネルギーが固まっただけという感じかな。だから体を掴めないみたいな。火を使って再生するんだったらそっちの方が効率が良さそうだからね。」



 これも俺の考えだ。炎を使って傷ついた場所を修復するって場合、傷を治すっていうよりその部分を再生するって感じの方が効率がいい気がするし。



「まぁただ全部俺の想像だから全然違う可能性はあるよ。

 でもそれだったら実体があって傷も回復しないってことだから【火龍】と同じ様に戦ったら勝てると思う。でもそんな奴をわざわざ階層主としての最後に配置はしないだろうって言うのが俺の意見かな。

 最悪を考えておいた方がいいと思ってるだけ。」



「それはそうかもしれないな。」



 ガイが答える。



「言った通り敵を詳しく確認して問題なければ【火龍】と同じ様に倒せばいいと思う。

 そうじゃなかった時どうしようかってことだね。

 飛び回って再生する相手をどうやって弱らせるかって点。」


「さっき使った【決闘場(デュエルリンク)】って魔法を使ったらいいんじゃないか?

 あれだったら相手を狭いところに閉じ込められるだろう。」


「う~ん、あれは一対一で戦うように作った魔法だからね。

 今回の様に元々相手が一体しかいないんだったらあんまり関係ないかな。」



 俺は答える。

 基本的に【決闘場(デュエルリンク)】は相手の動きを制限する為の魔法ではない。他のモンスターなんかに戦いを邪魔されないようにする為の魔法だ。

 余談だが【退魔陣(アンチサークル)】を元にしてる為かなり強いモンスターに対してはそこまで効果はない。対象以外のモンスターに【退魔陣(アンチサークル)】の効果が効かないんだ。それに【退魔陣(アンチサークル)】はモンスターにしか効かない。今回リザードマンは亜人でモンスターではなかった、だから本当だったら効果がなかったんだ。だがよく考えたらこの迷宮に出てくる敵は迷宮モンスターとして魔素を固めて作られた存在だ。だから【退魔陣(アンチサークル)】や【決闘場(デュエルリンク)】の魔法が効果があったんだ。迷宮の外に出たら余程ではない限り使えない魔法なのかもしれない。元の魔法を【退魔陣(アンチサークル)】じゃなくて他の魔法にしたら使えるのかもしれないな。話がズレた。



「それだったら魔法の壁でも作って囲んだ方がいいかもしれない。」


「だったらそれでいいんじゃないのか?」


「ただそうするとこっちも逃げ場はなくなる可能性もあるけどな。バカでかい攻撃が来た時に避けれなくなる。」


「そういう可能性もあるのか。」


「うん、あっ、でもそう言えば。」


「なんだ?」



 俺は前に使った魔法を思い出した。



「【アンデットカースドラゴン】と戦った時に【退魔結界陣】って魔法使ったの憶えてる?」


「あぁそんなのあったな。」


「相手が実体無くてエネルギーだけの存在ならあれが効くかも。今ならあれに障壁の機能も付けて俺が制御したら何とかなるか。」


「だったらそれでいいじゃないか。」



 ガイが答え、バロンさんがそう言う。バロンさんはその時いなかったからどういう魔法かは知らないはずなんだけど。



「ただそうなると俺は魔法に手いっぱいになるから他に何もできなくなると思うけど。」


「今更だな。それ以外は俺達に任せたらいい。」


「あぁ、そうだな。俺が【朱雀(すざく)】を弱らせるから、後は任せる。」


「俺達に任せておけ。」



 俺が笑いながら答えるとガイとバロンさんが答え、ブラン、アリア、シータも頷く。



「じゃあちょっとだけ時間をくれないか。今から【魔法作成(マジッククリエイト)】を使って新しく魔法を作って試したりするから。」


「そうだな、そこまで急ぐことはないだろう。ここで一晩明かして明日でいいじゃないか?」



 俺のセリフにバロンさんがそう言った。

 そう言えばこのまま戦えば夜になるかも知れない。眠気が来たら嫌だし、一晩明かすか。



「そうですね。じゃあ挑むのは明日にしましょう。」



 そうしてボスに挑むのは明日にした。

 俺はとりあえず新しい魔法作りに入る。

 【退魔結界陣】を作り替えることにする。支援魔法にある魔法の障壁を【結合(リンク)】で加える。昔は【退魔結界陣】を維持するだけのMPで精いっぱいだったけどあれからレベルも上がってMPの上限も恐ろしく増えたから問題ないだろう。他にも今回に使えそうな魔法にマイナーチェンジもしていこう。

 そう言えば前に考えていた【防火の壁アンチファイアウォール】も作ったらいいか。今回の戦闘に役立つかもしれない。作ってアリアに教えて使ってもらえばいいしな。火の属性の魔素だけを防ぐようにしたらいいんだよな。後の属性は無視したら火だけを防ぐように出来るだろう。他の属性を無視する分耐火に関してに突出した防御力を生み出すことが出来るはずだ。

 魔法を作っていて思うがホントに色々なことが出来るようになったな。俺も成長してるってことだ。スキルの使い方も大分わかってきたし。以前に比べて色んなことが出来るようになった。

 分身も出来るようになったし、そのお陰で遠くの場所に行けるようになった。

 そう考えると分身を遠くの町とかに置いておけばそこまで簡単に移動できるってことだよな。それもいいな。でも分身体作るとステータスが半減しちゃうんだよな。調節したらステータスの何%だけを持った分身体を作ることが出来るんじゃないか?HP、MP100だけ持ってるとか。だったらどこかの町にいてもいいか。でもそれだけだとすぐに消えちゃうかな。HP、MPも自然に消費して自然に回復してる分があるし。回復しない分身体だとその内消えちゃうな。

 しかし分身体の影だったら同一存在だから移動してもMPが減らないだなんてな。

 いや、待てよ。俺はなんでそんなことを思ったんだ?

 【影移動(シャドームーブ)】では目に見える範囲の影しか移動できない。【千里眼(リモート・ビュー)】のスキルがあれば遠くの影でも見ることが出来るから移動ができる。ただ移動する場合に距離に応じて消費するMPが増える。恐らくだけどその影だと設定するのに魔素を使ってるからだと思った。だから距離の離れた所の魔素を使用するのに大量のMPを消費するんだと思っていた。

 だとすると分身体の影も遠く離れた影ってことは変わりない。なのに消費するMPが少ない。

 俺は何か重大な思い違いをしていたのかもしれない。

 何となく分身体の影ならMPを消費せずに移動できるんじゃないかと思って、さっき試した。

 砦を作るところまでは俺とブラン達だけ移動した。ガイとバロンさんにはその場に残って貰っていたんだ。そしてその時点でもう分身体は作っておいた。砦を作ってから分身体の影に【影移動(シャドームーブ)】を使ってガイ達に砦まで来てもらっていたんだ。その時にちゃんとMPが殆ど消費しないことを確かめた。だからそういう結論に至った。

 でも分身体が同一存在だからってその影も俺の影と同一の物なんて、なぜそう思ったのか。【倉庫持ち(アイテムボックス)】が同じ所に収納して取り出せると思ったからなんだけど、それと影とは別の物だよな。だとしたら【倉庫持ち(アイテムボックス)】の別次元なんかに繋ぐ力を流用してるのか?

 やっぱり、スキルや魔法なんかは奥が深い。今まで誰も試したことがないことを俺がやってるんだ、誰も教えてくれないしな。

 何となくこうしたら出来るんじゃないかって言うのをやってみて実際に出来たから使ってる。でも理屈が分かればさらに応用できるんじゃないかと思う。これを研究したら分身体じゃなくても遠く離れた影にも転移できるようになるんじゃないか。

 だが今はあまり必要ないな。迷宮の中だもんな、またこの攻略が終わってから研究するとしよう。今はボスを倒すことだけ考えようっと。

間違えて投稿してしまった・・・。

投稿日を先にしていつも書き直しながら書いているんですけど日程設定をしないままボタンを押しちゃいました。

その後急いで更新しました。

中身がないのを読んだ方々がいらっしゃったらすいません。


鳳凰⇒朱雀に全て変更しました。


お読み頂きありがとうございます。

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