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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
134/237

迷宮攻略28

 85階層まで来た。

 来てみたが景色は特に変わった様子もなかった。

 草木も生えていない様な岩場、そして流れる溶岩。今までの階層と何ら変わりもない。

 しかし【索敵(レーダ―)】で確認をして見て分かったことがある。

 俺の勘は正しかったっていう事だ。


 調べてみたが次の階層に続く階段や魔法陣はこの階層にはなかった。

 しかし階層の中心には大きなモンスターの気配があった。

 中ボスかよ。

 もしかしたらあるかもなってことは思っていた。10階層あるんだから途中の階層で中ボスとか出てこないのかなってね。それがここにきて現実のものになった訳だ。今の時点で次の階層へ進むための魔法陣がないってことは中ボスを倒さないと先に進めないんだろう。

 俺の勘が当たったか。

 もしかして色々なスキルを使ってるうちに直観力とか未来視なんかのスキルが少しでも身についたんだろうか。また余裕がある時に付けておいてもいいかもしれないがな。

 でも今は目の前の敵だな。


 俺はそう考えて【索敵(レーダ―)】で確認の取れたモンスターに集中する。

 【千里眼(リモート・ビュー)】と【鑑定眼(アナライズ・アイ)】を使ってモンスターの詳細を確認する。



名前:火龍

種族:龍族

レベル:100


スキル:

【火魔法 LV.10】

【噛み付き LV.10】

【毒爪】

【火炎ブレス】

【飛翔】

【空中制御 LV.10】

【咆哮 LV.5】

【遠視(ロングサイト) LV.8】

【炎熱無効】

【毒無効化】



 85階層にいた中ボスは【火龍】でした。ドラゴンが来るのかよ。

 見た目は翼龍と呼ばれる姿をしている。翼が大きく前足がない。翼の所に爪が見えるから、あれが前足ってことになるんだろうか。俺もそこまで詳しい訳じゃないからわからないな。ただ後ろ足は太く、大きな鉤爪が付いている。あれに毒でもあるんだろうか。首元から頭辺りは東洋の龍みたいに首が長い。スキルを見ても完全に空を飛ぶんだろうな。厄介な相手だ。ただ体長は多分だが15m位だから、前に戦った【アンデットカースドラゴン】なんかとは違ってダメージは与えられそうだな。問題は空を飛ばれて一方的に攻撃された時だな。何とか動きを封じて【神槍(グングニール)】でも叩き込めば倒せるだろうか。



「今回はドラゴンが相手みたいだな。しかしこの階層には他のモンスターはいないみたいだから、あいつさえ倒せれば休憩できるかもしれないな。」



 俺は今見た情報を皆に【念話(テレパス)】で送りながら話した。



「とりあえず空を飛ばれると厄介だ。俺が・・・。」


「今回お前は何もするな。」



 俺が今回の作戦を伝えようとすると、バロンさんが俺の言葉を遮って言った。



「えっ?何もするなって・・・。」



 俺は意味が分からなかったのでバロンさんに聞き返した。



「そのままの意味だ。

 今回の敵は俺達だけで倒す。」



 バロンさんが真剣な目をして言う。



「しかし、相手は多分空を飛ぶだろうし。それに俺抜きでどうやって・・・。」


「大丈夫だ。俺達ならやれる。」



 俺の言葉にガイが答える。



「ガイまで・・・。そりゃ2人は龍相手に戦いたいのかもしれないけどさ。」


「いや、主(あるじ)。今回はわしらだけに任せて下さい。」



 そう言ったのはブランだった。ブランが俺の言葉に反発するのは珍しい。いつもだったら俺の思うとおりにと言ってくれるはずなのに。



「そうですわね。今回ダイゴ様の出番はございませんわ。」



 アリアも皆に同調する。



「シータも頑張るよ。」



 シータもそう言った。

 一体何がどうなってるんだ?ここにきてまでいきなり皆して。俺が一緒に戦った方が簡単に倒せるだろうに。



「それとも仲間のいう事が信用できないのか?」



 バロンさんが俺の目を見てそう言った。



「いや、そんなことはないけど・・・。」


「じゃあ決まりだ。皆行くぞ。」



 バロンさんにそんなことを言われると俺もそう言うしかない。俺の言葉を聞いたバロンさんが先だって進む。それに皆が続き、俺が一番最後について行く。

 しかし皆がいきなりこんなことを言い出すなんて思ってもみなかった。何かあったんだろうか。少し疎外感を感じてしまう。

 俺が迷宮攻略に色々と準備している間にも、皆は皆で迷宮に潜ったりしていた。あんまり一緒にいる時間が取れなかったしな。しばらくの間ちゃんと話をしたり出来てなかったのかもしれない。

 でもこんな風になるなんて、なにかあったっけ?そりゃ俺も自分のスキルで何が出来るかを皆に話してなかった。【分身体(ジェミニ)】のスキルもさっき初めて見せたしな。

 なんだかモヤモヤするな。



 しかしそうも言ってられない。

 【火龍】がこちらに気付いた様だ。そう言えば【遠視(ロングサイト)】を持っていたっけ。遠くからでも俺達の姿を発見したんだろう。

 凄いスピードで俺達の方へ向かってきている。



 【火龍】が俺達の前に姿を現す。

 大きく羽ばたき、空中を滑る様にしてやってきた。そして俺達の数十m前の空中で停止した。

 地上から20m位は離れた空中で翼をはためかせ、たたずむその姿は結構カッコいい。しかしよくこんな場所であれだけの翼で飛べるよなと思う。スキルにあった【飛翔】ってスキルのおかげなんだろうか。


 【火龍】は俺達を獲物と認識したのか、口を大きく開き炎を吐き出した。

 それが戦闘開始の合図になった。



「【水の壁(アクアウォール)】」



 アリアが叫び俺達の前に水の壁が出来上がり、飛び来る炎から俺達を守る。

 炎のブレスが切れたタイミングで水の壁を消す。

 するとそれに合わせてガイとシータ、バロンさんがそれぞれ別れて【火龍】に向かって行く。

 しかし相手は空中にいるのにどうするつもりだ?


 【火龍】は3人が自分に向かってくるのが分かったのか、少し上昇してどう動くのかを見てる様子だった。

 ガイとバロンさんはいつもの遠距離戦とばかりに、剣に気を纏わせてからそれを打ち出していく。

 ガイは線、バロンさんは球の形をした剣撃が【火龍】に迫る。あの距離でも届くのか。昔はそこまで射程距離が長くなかったと思ったんだけど。気の扱いに慣れてきたのか、それとも別の方法かはわからない。


 しかし【火龍】はバサリと翼を振るい、旋回して剣撃をかわす。なかなかに素早い回避行動だ。

 そして自身の周りに火の玉を作り地上にいるガイとバロンさんに向けて放つ。火魔法で火の玉を作り出したんだな。10数個ある火の玉が2人に殺到するが、難なくかわしていく。

 そう言えばシータは?



 そう思ったら【火龍】がいきなり翼を大きく動かして、その場から前に進む。

 【火龍】が元いた場所にシータの姿が見えた。

 おそらくシータは気配を消して空中から【火龍】に近付いたんだろう。そして翼を狙って斬りつけようとしたのに【火龍】が気付いて避けられたんだ。しかし【火龍】も良く気付いたな、そう言った気配を感じる様なスキルを持ってなかったと思うんだけど。本能って奴なんだろうか。

 だが空中での攻撃をかわされてそのまま地上に落ちていくシータ。それを見逃す【火龍】でもない。旋回してシータに向かって突進する。

 しかしガイやバロンさんが放った気がそれを邪魔する。フォローもしっかりできてる様だ。

 シータが地面に着地する。良くあんな高さから降りて大丈夫だな。多分ププが風を使って落下するときの速度を遅くしたりしてるんだろう。


 しかしこうなるとやっぱり空中にいる相手と戦うのは問題だな。

 何とか地上に引きずり下ろしたいところだ。

 そう言えばブランとアリアは?と思ってみると水の馬の上に2人で乗っていた。

 なるほど、ブランは機動力がないからアリアが【水の駆け馬(サモン・アクアホース)】で作った馬に2人で乗ってる訳か。



「【氷の矢(アイシクルアロー)】」

「【岩の弾(ロックバレット)】」



 アリアとブランの声が重なる。そして2人の周りに数十本近い氷の矢と岩の弾が出現して【火龍】に向かって放たれた。

 【火龍】は空中を飛び回りながら岩の弾をかわし、火炎のブレスを吐いて氷の矢を溶かしていく。

 これも有効打にはなりそうもないな。


 皆で地上から色々な攻撃を仕掛けているが、どれもこれも【火龍】には通じてないみたいだけど、どうするつもりなんだ。

 しかし【火龍】の方も空中からブレスを吐いたり、火の玉を振らせたりしても皆の事をどうこう出来るとは思っていないだろう。空中にいながら一気に襲い掛かれるように準備しているようにも見える。



「まずは俺からだな。」



 そう言ったのはガイだった。

 ガイは大きく息を吸い込み体に力を込めた。



「【闘気解放・空の型】」



 そう言葉にしたガイの体の周りに目で見える程の気の流れがあった。



「ふっ。」



 ガイが小さく息を吐きだして空中に飛び上がる。そしてそのまま空中を走る。

 はっ?どういうこと?

 驚く俺を他所に、ガイは空中を走って【火龍】へ迫る。

 驚いたのは俺だけじゃないみたいで【火龍】も驚た様子で火炎のブレスをガイに向けて放つ。

 しかしガイは慌てず一瞬にしてその炎のブレスから身をかわす。

 空中で【瞬行(しゅんこう)】を使った?空気の壁とか作ってそれを足場にしたら出来るとは思ってたけどシータがそんなことをした様子もない。そしてもう一度【瞬行(しゅんこう)】を使い【火龍】にの右の翼に近付く。



「【大鬼斬(オーガザン)】」



 そして手に持った剣を縦に大きく振るう。その剣には赤い色をした気が纏われていた。

 その剣筋が走ったかと思えば、【火龍】の右の翼がその筋に沿って大きく切り裂かれた。



「ギャオォォォォオーーー!」



 【火龍】が大きく吠える。そしてその体が大きく揺れる。翼を斬られたんだ、落ちるしかないだろう。 そう思ったが【火龍】は多少バランスが悪くなったがまだ空中にいた。【飛翔】や【空中制御】のスキルのおかげでまだ飛んでいられるのか?



「じゃあ俺はもう一方だな。」



 バロンさんがそう言った。



「【闘気解放・砲の型】」



 バロンさんもガイと同じような言葉を口にした。だがバロンさんの場合は気が武器の大剣に集まっていくのが見て取れた。



「【龍撃砲(ドラゴニックキャノン)】」



 バロンさんがそう言葉にすると大剣に集まった気が東洋の龍を模した形を取った。そしてその龍が口を開くとそこからレーザーの様な気が放たれた。レーザーの様な気は空中の【火龍】の左の翼のど真ん中に命中する。そして当たった場所に大きな穴が空いた。


 色々2人に聞きたいことがあるが、それにしても凄いな。

 【火龍】は流石に両方の翼を傷付けられた為か、高度を下げてきた。一応まだ飛べるようだが、先程までの様に自由に飛び回れる訳じゃないだろう。そうなったら同じ様に的になるだけだ。だから地上に降りて勝負をしようとしてるのかもしれない。


 

 ドンっと大きな音を立てて【火龍】が地上に降り立った。その目は怒りに燃えている様に見える。

 手負いの奴は何をしてくるかわからないからな、いくら地上に引きずり下ろしたからと言っても油断はできないだろう。

お読み頂きありがとうございます。

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