迷宮
迷宮?ってダンジョンの事だろうか?
俺はキュクロさんの言ったことを考える。この世界にもダンジョンがあったのか。
「迷宮をキュクロさんが作ったんですか?」
「あぁ、俺の神通力を使ってな。ここから2日程離れた所にあるぞ。」
「それっていったい何の為に作ったんですか?」
「ん?暇つぶしだ。」
暇つぶしなんだ。神って暇なんだろうか。
「大部分は暇つぶしだが後は俺の試練の場ってとこだな。俺はそれでそいつの持ってる力を測る様にしているからな。どの程度の階数まで攻略できるかを見たりするんだ。」
「階数って何階も階層があるってことですか?」
「あぁ、そうだぞ。地下100階分作ってある。」
「今までの勇者が試練に一部合格したっていうのは、その迷宮を途中まで攻略したってことですか?」
「その通りだ。大体みんな50階ぐらいまでだな。頑張ったやつなら70階ぐらいまで行った奴がいたか。一応は50階まで攻略したら武器の作り方を教えてやるって言ってたから、大体の奴はそこまでしか攻略しないな。」
「そうなんですね。攻略ってことは迷宮の中には罠やモンスターがいるってことですか?」
「そんなの当然だろ。10階ごとに魔獣がいる部屋も作ってある。そいつを倒さないと次の階層に進めない様にしてるんだ。面白いだろ。」
キュクロさんは楽しそうにそう言うがこっちは全然面白くない。元の世界にあったゲームとかそのまんまじゃないか。ボス部屋とかあるのかよ。
「でもちゃんと褒美みたいなもんもあるぞ。その魔獣を倒すと俺の作った武器が出るようになってたりする。」
「そうなんですか?それを俺が取ったとしても問題ないんですか?」
「あぁ、お前用に作ってやった訳でもないし。適当に作ったやつだからな。
それでもそこら辺にあるような武器に比べたら段違いの性能をしてるはずだ。
しかしそんな武器よりも俺が加護を付けてやったやつがお前の為に作ってやる方がよっぽどいい武器が出来ると思うぞ。」
「そんなもんなんですね。」
「あぁ、後は深い階層になれば他の神に頼み込んで、神通力を込めて貰った品とか手に入るぞ。」
「えっ、そんな物が手に入っていいんですか?」
「お前な、そう簡単に俺の迷宮が攻略できると思うなよ。
深い階層にはお前らが言うAランクとかSランクっていうレベルの魔獣がいるんだらかな。」
「だから今までの勇者もそこまで深い階層を攻略できなかったってことですね?」
「そういうこった。」
なるほど、でも今までの勇者も50階層まではクリアできたんならそこまでだったら行けるのかも。それに今までの勇者も挑戦しているのなら俺も挑戦しない訳にもいかないだろう。
「ダイゴ様。」
今まで黙っていたアリアが真剣な顔をして俺の名前を呼ぶ。
「どうした?」
「その迷宮を最後まで攻略しましょう。」
アリアはそう言った。
「それは・・・。もしかして神託か天啓か?」
「はい。」
アリアは俺の言葉に深く頷く。俺達はどうにかしてキュクロさんの迷宮を完全攻略しないといけないらしい。しかし今までの勇者も出来なかったことを俺達が出来るんだろうか。
「ちなみに伺うんですけど100階全てを攻略すると何があるんですか?」
俺はキュクロさんに聞いた。
「ん?う~ん。まぁ教えても問題ないか。最後の階にはとっておきの品があるんだよ。
神レスティアがその神通力を封じ込めた神器と言う品がな。」
「神レスティアが?」
アリアがこの迷宮を完全に攻略しろと言ったのは神レスティア絡みなのか?この為にアリアは一緒について来てるのか?
「それは一体どう言った神器なんですか?」
「あぁ~、なんだ。簡単に言うと装備するだけで持ってるスキルのレベルを上げれるんだ。」
「レベルを上げる・・・。」
俺は声に出して聞き直してしまった。
正直俺にはそんなもの必要ない気がした。俺はどんなスキルでもレベル10で使うことが出来る。それに色々な契約で仲間のスキルのレベルも簡単に上げれることが分かってる。今更装備するだけでレベルが上がる神器があった所で使いどころがない気がした。
そりゃ普通スキルのレベルを上げるってかなり大変だから、装備するだけでレベルが上がるんだったらかなり使える神器なんだろう。この世界ではスキルレベルが高ければそれだけ色んなことが出来るってことだ。その神器を喉から手が出るほど欲しい人間もいるだろう。しかし俺以外の勇者もわざわざ最後まで攻略しなかったのは勇者がスキルのレベルを上げやすかったからじゃないのか?称号とかだけでも普通の人よりスキルレベル上がるの早いし。
そう考えるとわざわざそんな神器を手に入れなくてもいいような気がするんだけど・・・。
俺はそう考えるがある1つの事を思いつく。
もしかしたらもしかするのか?
でもそれは実際に神器を手にしてみないと分からない。実際に神器を手にしてみないと思いついたことを確認できないしな。ここは神器を手に入れる為に迷宮に潜らないといけない感じだな。
「しかし迷宮が100階もあるなんて一度入ると全て攻略するのにはどれぐらいの時間がかかるんですか?」
「あぁ、途中で外には出れるぞ。」
前向きに迷宮の攻略を考え出した俺がキュクロさんに聞いたらそんな答えが返ってきた。
「途中で出れるんですか?」
「そうだな、俺がそう作った。10階ごとの魔獣を倒すと証が手に入る。そして次の階層に続く階段と転送用の魔法陣が出てくるんだ。魔法陣に乗れば入口に帰れるぞ。
それに魔獣を倒した証を持っていたら入り口近くの転送の魔法陣に乗ったらその階まで行けるようになってる。」
キュクロさんがそう言った。どんな親切設計だよ。簡単なのか難しいのかよくわからんな。なんかアトラクションみたいな感じで作ってないか。
「しっかし作るの大変だったんだぞ。色んな神と相談しながら作ったんだ。中にいるモンスターは倒しても勝手に復活するんだぜ。一回倒していなくなると補充するのが大変だからな。そこは他の神に頼んでちいとばかり神通力を借りてたりするんだけどな。10階ごとの武器なんかも補充するの大変だしな。」
「補充?勇者以外もその迷宮に入ったりしているんですか?」
「えっ?あぁ。普通に冒険者の奴らが入ったりしてるぞ。冒険者の中では有名らしい。レベル上げに使う奴もいると聞く。まぁそこら辺の冒険者だったら20~30階ぐらいしか潜れないだろうがな。」
「そうなんですね。ブラン知ってた?」
「えぇ、知っております。その迷宮は昔からありましてな、そこに町も出来ております。しかし目の前のキュクロ様が御造りになったとは知りませんでし、わしも行ったことはありませんのう。」
そうなんだ。まぁブランにこの世界にダンジョンってあるの?とか聞いたことなかったしな。聞かれてもいないことをわざわざ話したりしないよな。
「でもとりあえず俺達もその迷宮に挑戦するしかない様だな。」
俺はそう言って皆の顔を見る。
「あぁなかなか面白そうじゃないか。」
「そうじゃな。主の武器を手に入れんといけないしのう。」
「仕方ありませんが、行くしかない様です。」
「シータも行くよ。」
皆ついて来てくれるみたいだな。
「まぁお前ならもしかしたらな。
お前が持ってるスキルなんて初めて見たぞ。」
キュクロさんが言った。俺のスキルを見れるのか。勇者であることも見破られたしな、見れてもおかしくないか。【八百万のスキル】の事を言ってるんだろ。そりゃ俺が勝手に作って貰ったスキルだから他の誰も持ってないスキルだからな。
「とりあえず迷宮の完全制覇を目指します。」
俺はキュクロさんにそう言った。
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俺達の次の目標も決まったのでキュクロさんの家を後にした。
「しかしそうすると報酬はどうしたらいいんだ?」
俺達の後ろから付いてきていたルドルさんがそう言った。
そう言えば忘れていたな。【アンデットカースドラゴン】を倒した俺達への報酬は武器を作ってくれる職人さんの紹介と、その武器の制作料と言う話だったしな。
「そうですね、どうしましょうか。俺達もすぐにその迷宮のある町に行こうと思ってますし。
そうだ、鉱山で取れた魔石をいくつかもらえませんか?迷宮で役に立ちそうな魔法具を自分で作ってみようと思ってるんです。」
「あぁ、それでいいんだったら。加工も何もしていない魔石ならそこまで高くないし、皆今採掘に行ってるので数は確保できるだろう。」
「じゃあそうして下さい。俺達はそれを受け取ったら町を出ます。」
「わかった。明日にでも用意できるように手配しておこう。」
「お願いします。」
俺達はそう言ってルドルさんと別れた。
土の精霊ドガはキュクロさんの家を出る時に1人で鉱山に戻ると言って別れた。聞きたいことがあったんだけどな。鉱山の【ガイアドラゴン】の死骸をそのままにしておくわけにもいかないってことで何か話があったらまた鉱山を訪ねて欲しいと言われた。また会いに行って話を聞いたらいいだろう。
なんか次々に色々起こってくるな。やっと少しゆっくりできると思ったんだけどな。まぁ今回の迷宮への挑戦は時間制限がある訳でもなさそうだしゆっくり攻略していってもいいか。しかしダンジョンか。どうなるんだろうか。
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