鍛冶
「ほおぅ、なかなか察しがいいじゃないか。」
キュクロはそう答えた。相手が神の場合はさん付けか様付の方がいいのかな?
「えっ?どういうことだ?キュクロさんが神だって?」
俺より驚いたのがルドルさんだった。ルドルさんはキュクロが神だという事を知らなかったのか?
「えっとキュクロさん?それともキュクロ様とお呼びした方がいいんでしょうか?」
「いや、別に単にキュクロでいいぜ。崇め奉りたいなら別がな。俺は普通に接してもらった方がいいがな。」
「でしたらキュクロさんとお呼びすることにします。俺が勇者であることが分かったのは何かスキルを使ったんですか?」
「いや、俺達神はスキルなんて持ってないぞ。神が持ってるのはもっと違うものだ。神通力だな、神それぞれ違う力を持っているんだ。」
「そうなんですね、失礼ですがキュクロさんは何の神なんでしょう?」
「ん?俺は鍛冶の神だ。」
なるほど、だからドワーフの町にいるのか。しかし俺とキュクロさん以外の皆は固まってるんだけど。やっぱり目の前に神様がいたらびっくりするのが普通なのかな。俺は既に神レスティアに会ったこと事あるからな。まぁあれを会ったと言ってもいいのかどうかわからないが。
「そう言えば神であることをバラしてしまったようなんですけど良かったんでしょうか?」
「あぁ、この町でも何人かは俺が神であることを知っているからな。別にそこまで秘密にするもんでもない。」
キュクロさんは結構話が分かるっぽい。だったら。
「先程の話なんですけど、俺達に武器を作ってもらえませんか?」
「あぁ、そいつは無理だ。俺達神は人の世界にあまり干渉出来ないんだ。」
「そうなんですか?」
「神々での決まりでな。流石に勇者に俺が武器を作ってやるわけにはいかない。俺の神としての本分だからな。他の事だったら少しぐらいは手伝ってやらんこともないが。」
「そうですか、ではこれがなんだかわかりますか?」
俺はそう言って黄色い球をキュクロさんに渡した。
「おい、これは・・・。なるほどな、そういう事か。」
キュクロさんは黄色い球を見て何かわかったようにひとり呟いた。そしてキュクロさんは近くにあった小さ目のハンマーを手に持った。そして手に持った黄色い球に目掛けハンマーを振り下ろす。
キンッって音がして黄色い球が砕ける。そして砕けた欠片が光の粒に変わって一か所に集まりだす。光が集まった所に手の平サイズの人が現れる。小人と言っても間違いじゃないだろう。身長5cm位しかない。でも見た目はどことなくドワーフのようにも見える。でもこれって。
「あぁ、やっと自由になれた。」
その小人がしゃべった。
「封じられていたのか、土の精霊よ。」
キュクロさんが小人に話しかける。土の精霊だって?なんか風の精霊のププと全然違うな。話とか出来るんだ。
「はい、封印を破って頂きましてありがとうございます。」
「えっと、すいません。さっきの黄色い球って言うのに土の精霊が封じられていたってことでしょうか?」
どういうことかわからなかったので俺は聞いた。土の精霊とキュクロさんが顔を見合わせから、2人で俺を見た。
「そうだ、さっきの魔法具でこいつは封じられていたんだ。」
「精霊を封じ込めるなんて出来るんですか?」
「現にさっき封じられていただろう。やろうと思えばできるぞ。」
キュクロさんが説明してくれた。
「しかし余程の力がないと出来ないと思うがな。」
キュクロさんがそう補足した。
「でも誰が一体そんなことを?」
「さぁな、俺もそこまでの事はわからんよ。お前はどうなんだ?」
俺の質問にキュクロさんが答え、土の精霊に話を振る。
「俺も良くわからないよ。いきなり誰かが【ガイアドラゴン】のとこに来たと思って、俺が出て行ったらいきなり真っ暗なところに放り込まれたんだ。」
土精霊が怒って答える。誰かが・・・?誰かが土の精霊を封印したってことだよな。何の目的で?いや、目的は【ガイアドラゴン】死骸を使って【アンデットカースドラゴン】を作るのが邪魔だったから?土の精霊を封印した魔法具を【アンデットカースドラゴン】に取り込ませていたみたいだしな。
でも今のままでは情報が少なすぎるか。土の精霊もなぜ封印されたかわかってないみたいだしな。
「とりあえずそっちの勇者に礼を言っておいた方がいいぞ。お前を助けたのもこいつらだしな。俺は封印を壊しただけだ。」
キュクロさんがそう言った。
「そうか、助かったよ。ありがとうな、俺は土の精霊のドガって言うんだ。」
「俺は勇者のダイゴと言います。
俺も土の精霊が封印されていたとは知らずに持って帰ってきたんです。
一体どういう事なんでしょうかね?」
「俺にもさっぱりだよ。」
俺と土の精霊は一緒に頭を悩ませる。
「それより、そっちは良いのか?他の奴らずっと固まっているけど。」
キュクロさんが皆を指してそう言った。
「そうですね、少し落ち着いてお話してもよろしいですか?」
「あぁ、俺は構わない。じゃあ上に戻るか。座って話した方がいいだろう。」
キュクロさんがそう言ってくれたので、皆で来た階段を上がると居間の様な所に通された。神でも普通に生活してるんだよな。ご飯とか食べるんだろうか。
皆でテーブルを囲んで椅子に座った。
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