報告3
俺達は【アンデットカースドラゴン】を討伐してその場を少し調べた。
土精霊が守っているはずである【ガイアドラゴン】の死骸に【アンデットカースドラゴン】がなぜ取り付けたのかと言う疑問点を解消出来るものがないか調べてみることにした。
ただ元々がどういう場所だったのかが分からないから何が怪しいかとか判断が付きにくいんだけどな。
俺達はそれぞれに【アンデットカースドラゴン】がいた空間を調べることにした。ブランに聞いた話だがこうした神殿風にしたのは昔のザールの町を作ったドワーフ達がしたらしい。その時に精霊魔法を使える者がこの場所を守ってもらえる様に土精霊と契約を交わしたとの事。
俺はスキルで色々部屋の中を探ってみる。特に何かの違和感や、気配を感じることはないんだけどな。と思っていたら【アンデットカースドラゴン】と言うか【ガイアドラゴン】死骸の中に何かを感じた。なんだろうと思ったけど死骸の奥の方にあるっぽいんだよな。腐った肉をかき分けて探すのもあれだしな。
「【水蛇演武】」
俺はそう唱えて水で蛇を作った。これも【水龍演武】の流用だ。体長1m程の水の蛇を作る。その気になったら何十匹も作れるが今回は1匹だけにした。基本的に狭いところの探索用としている。
「行ってこい。」
俺が命令すると水の蛇はスルスルと体をくねらせて地面を進んでから【ガイアドラゴン】の死骸の肉の隙間に身体を潜らせていった。水で形作っているからどんな隙間でも自由に入って行ける。
しばらく待っていると水の蛇が死骸から顔を出して俺のところに戻ってきた。水の蛇の体を見ると中に何か球の様なものが入っているのが見えた。俺は水の蛇に俺が感じた何かを見付けてくるように命令をしていたから、その球が俺が感じ取った何かなんだろう。
戻ってきた水の蛇を元の水に戻すとそこには直径5cm程の黄色の球が転がっていた。俺はその球を拾い上げてみる。良く見ると表面には何か文字が刻んである。まるで魔法陣の様だな。もしかして何かの魔法具なんだろうか?俺も魔法具は作り始めたばっかりだから全てを知ってる訳でもない。
「ブランちょっといいか?」
俺は少し離れたところで何かないかと探しているブランに声を掛けた。
「なんでしょう主。」
ブランが俺の方に来てそう言った。
「これなんだけど。【アンデットカースドラゴン】と言うか【ガイアドラゴン】の体内にあったみたいんだけど何かわかるか?」
俺はそう言って手に持った黄色の球をブランに渡した。
「いえ、わしもさっぱりわかりませんな。何か魔法具の様な感じもしますが・・・。ザールに持ち帰り詳しく調べた方が良いかと思いますぞ。」
「そうだね、そうしようか。もうこれ以上は特には目ぼしい物は見つかりそうもないから町に戻ろうか。」
「そうですな。それが良いかと思いますぞ。」
俺は他の皆にも声を掛け、町に戻ると伝えた。
【アンデットカースドラゴン】を討伐した証としての2つに分かれた赤い核と、後で見つけた黄色い球だけを【倉庫持ち】に入れて町に戻ることにした。
しかし坑道を出てからシータがあまりにも腹が減ったというので途中で昼飯を取ったんだけどね。
町に戻って俺達はまず冒険者ギルドに行った。
冒険者ギルドに行くと俺達の姿を見たギルドの人達が歓声を上げた。俺達が【アンデットカースドラゴン】を討伐に行くことを知っているからだろう。まぁ俺達が逃げ帰ってきたという可能性もあるんだけど、それでも生きて帰ってこれたのが凄いと思うのかもしれないけどね。
「ルドルさんはいますか?」
俺が受付にそう告げると奥でバタンと扉の開く大きな音がした。見るとルドルさんが慌てた様子で来たみたいだ。俺達が帰ってきたのを見てすでに誰かがルドルさんに報告しに行ったんだろう。
「お前たち無事か?」
俺達の方に走ってきてルドルさんが言った。
「えぇ、全員無事ですよ。それにちゃんと【アンデットカースドラゴン】も討伐してきました。」
俺がそう伝えるとギルドの中は大きな歓声に包まれた。ギルドの中にはいくつかの冒険者のパーティもいた。噂で俺達が【アンデットカースドラゴン】を討伐に行くって広まっていたんだ。それを聞いた冒険者達が今日ギルドに集まっていたみたいだ。
俺は【アンデットカースドラゴン】の核を取り出してルドルさんに渡した。
「おぉ、本物の【アンデットカースドラゴン】核じゃねぇか。おい、お前らホントに【アンデットカースドラゴン】を倒してくれたんだな。ありがてぇ。っとそうだ、お前らさっさと町の連中にこのこと伝えて来い。鉱山はもう安全だってな。」
俺から核を手渡されたルドルさんがギルドの職員にそう言った。言われた職員は慌ててギルドを出て行った。
「そうだ、ゆっくり話を聞きたいし。俺の部屋に来てくれ。」
ルドルさんがそう言ったので俺達はギルドマスターの部屋へ移動した。
「とりあえずドワーフを代表してお礼を言う。今回は本当に助かった、ありがとう。」
ギルドマスターの部屋に移動して、俺達が座ったのを見たルドルさんが頭を下げながら言った。
「いえ、とんでもないです。」
俺も恐縮していった。今回もそんなに大変だったという気がしない。Aランクのかなり上の方の魔獣だと言われてもこちらには何の被害も受けてないしな。回復魔法の1つも使っていない。しかし俺達が強かったとここで自惚れない様にしないとな。今回も事前に情報があって対策をたてられたから上手く行ったんだ。レベルを上げて、スキルを鍛えて、色んな準備をしたから簡単だと思えるような勝負が出来たんだ。これからもずっとこういう風になるかわからない、いきなり戦うことになるっていう事もあるかも知れない。でもまぁ準備をしたらAランクの魔獣でも倒せるってことが分かったからよかったけど。
「それで報酬の件なんだが・・・。正直あのクラスの【アンデットカースドラゴン】を倒して町を救ってくれた場合の報酬がどれぐらいになるか皆目見当がつかねぇんだ。」
ルドルさんが頭をかきながらそう言った。まぁな、Aランクの魔獣倒すって一般的には結構な事だろうし。
「今までこのギルドではAランクの魔獣討伐の依頼って出したことないんですか?」
俺が聞く。
「そうだな、俺が知ってる限りはねぇな。」
前例があったらその時どれぐらいの報酬だったのかで大体決めれそうなんだけどな。
「俺達はそこまで報酬を求めてません。それよりもお願いがあるんですが・・・。」
「お願い?なんだ言ってみてくれ。」
「出来れば俺達の武器を作ってくれる職人さんを紹介してもらえませんか?折角ドワーフの町まで来たので自分の武器を作ってもらいたいんです。
後それとこれがどういうものかわかる人も紹介してもらいたいんですけど。」
俺はそう言ってテーブルに先程手に入れた黄色い球をテーブルに置いた。
「なんだこりゃ・・・。見たとこなんかの魔法具みたいだけど・・・、う~ん、わからんな。」
ルドルさんは黄色い球を手に取ってじっくりと眺めてから言った。
「武器に、魔法具の鑑定か・・・。」
ルドルさんは黄色の球をテーブルに戻しながら呟いた。
「そうだ、ぴったりの人がいるな。ちょっとばかり偏屈だけど腕は確かなんだ。」
ルドルさんは何かを閃いたような顔をして言った。
「じゃあ、今回の報酬はお前らの武器を調達するってことでいいか?俺が作ってもらうように頼むし、材料や製作費を出すってことでどうだ?」
「えぇ、俺達はそれで構いません。必要であれば素材も俺達が準備しますよ。」
「あぁ。こちらとしてもありがてぇ。じゃあとっととその人の所に向かうか。」
ルドルさんはそう言って腰を上げた。俺も黄色い球を【倉庫持ち】になおして続く。
ルドルさんは普通に冒険者ギルドから出てきた。ギルドマスターが不在で大丈夫なのか心配になるが今はこちらの方が大事という事でギルドで働いている人も納得したらしい。
町に出ると凄いことになっていた。町のありとあらゆるところから馬車が町の外に向かって走っていく。ルドルさんに聞くと皆恐らく鉱山に行くんだろうとの事。採掘がまた出来るようになって我先にと町を出ているんだろう。個人的に採掘にしに行く人もいれば、業者として鉱石を取りに行くところもあるらしい。この世界では土魔法を使えれば簡単に採掘なんて出来るだろうしな。
そんな光景を見ながら俺達はルドルさんの後について町を歩いた。
ルドルさんに先導されて付いたところは町の外れにある一軒の家だった。特に店と言う看板はかかっていない。
ルドルさんは特に気にした様子もなく扉を開けて勝手に入って行った。俺達も顔を見合わせてからルドルさんに続いて家の中に入った。
「キュクロさーーーん。」
ルドルさんが大きな声で誰かを呼ぶ。この家の主だろうか。
「なんじゃい、こっちにおるぞ。」
下に向かう階段の奥から返事が聞こえた。
ルドルさんは下へ向かう階段を下りていく。俺達もそれに続いて階段を下りる。階段を下りた先は1つの大きな部屋になっていた。ゾランさんの攻防の様な雰囲気もあったが、それ以外にも元の世界のTVで見たことのある炉の様なものもあった。
そして部屋の中心には熊がいた。正確には熊の様な人だけど。
身長は2mぐらいあるだろうか。髪は短めのブラウン、髭もブラン達ほどではないがもみ上げから顎、口の下にも生えている。目は鋭くどこか肉食動物の様な印象を与える。体はごつくてホントに熊の様で、服の間から見える胸や腕にもかなりの毛が生えている。てっきりドワーフの職人さんでも紹介してくれるのかと思っていたらどう見てもドワーフ族には見えない人だ。しかし俺的にはかなりタイプだな。こういう感じも悪くない。
「キュクロさん、今日はお願いがあってきました。出来ましたらこちらの方々の武器を作ってあげて貰いたいんです。」
ルドルさんがそう言う。目の前の人はキュクロさんと言うらしい。
そのキュクロさんは俺達の方を見る。
「ん?勇者がわしに何の用じゃ?」
「なっ!?」
俺はそう言われてとっさに身構える。そして【鑑定眼】を使ってキュクロと言う人物のステータスを確認する。
しかしいくら確認しようとしてもノイズが走ったように何も読み取れない。
相手も【鑑定眼】を持っていて、そして自分のステータスを見られない様なスキルを持っているのか?いや、普通そんなスキルを両方持ってる人なんていないと思う。だったらっと思って俺は思いついたことを口にする。
「もしかしてあなたは、神なんですか?」
お読み頂きありがとうございます。
ついに100話目になりました。
しかしながら頭で考えている構想の約3割ぐらいしか話が進んでいません。
考えているものを文章とするとこんなにも長くなると思いませんでした。
今まで書いた中で一番長い作品になってます。
いつまでたっても他の勇者だったり魔王だったり出てこないですもんねぇ。
って全ては私の匙加減一つなんですけど。出てくるのはまだもう少し先でしょうか、恐らく。
物語はまだ続くと思いますので宜しければお付き合いください。




