表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
プロローグ
1/237

選ばれしもの

 今いるのは一面真っ白な世界。

 辺りを見回せど、どこまでも白一色しかない。


 おかしいなと首を捻る。

 確か俺は家に帰りついて玄関のドアを開けて・・・。

 そこまでの記憶はあるが、それからの記憶がない。


 とりあえずどうしようかと思っていると声が聞こえた。



「初めまして。」



 澄んだ女性の声だった。

 周りを見回すが、その声の主は見当たらない。



「どうも、初めまして。」



 挨拶をされたし、こちらからも挨拶を返す。

 今の状況がわからないし、もしかしたら声の主と話をしたら何かわかるかもしれない。

 ここは友好的に話す方がいいだろう。



「突然申し訳ありませんでした。」



 声の主はなぜかいきなり俺に謝った。



「えっと何のことについての謝罪でしょうか?」



 いきなりこんなことになってる事への謝罪なのか、と思ったが聞いてみた。



「まずはあなたが置かれている状況を説明させて頂きたいと思います。」



 順に説明してくれるみたいだ。



「私はあなたが言うところの別の世界の神です。」



「はぁ。」



 いきなり突拍子もない話で相打ちが適当になる。



「今、私の世界では勇者の召喚が行われています。そしてあなたが選ばれたのです。」



 ファンタジーだ、どっかで聞いたことのあるファンタジーが目の前で繰り広げられている。



「申し訳ありませんがあなたの記憶を少し拝見いたしました。

 これからあなたが召喚される世界は、あなたの暮らしていた世界とは大きく異なっています。」



 まぁまったく同じような世界なら勇者なんて召喚されないと思うしな。



「あなたには勇者になって頂き、魔王を打ち滅ぼして頂きたいのです。」



「いやぁ、いきなりそんなこと言われても・・・それって断ったりできるんですか?」



「いえ、もう召喚が行われているので、それは出来ません。」



 もう決定事項なんだ。



「しかしただ魔王討伐をお願いするのも難しいでしょうから、ささやかですが私から一つ贈り物をしたいと思います。」



「贈り物?」



「はい、スキルです。」



 贈り物と聞いたから物かと思ったら違った。

 スキルってよくゲームとかであるあれだよな。



「召喚された世界には様々なスキルがあります。それで成り立っている部分もあります。

 あなたには数あるスキルの中から1つ選ぶ権利と、その選んだスキルを授けましょう。」


 

 1つだけかよ。

 心の中で突っ込む。小説やゲームなんかでは勇者って結構いろんなスキル持ってなかったっけ?



「1つだけですか?なんだか心もとないような気がするんですが・・・」



「今から行く世界では生まれる時にスキルを選ぶことはできません。

 生まれてからは修練や鍛錬、加護を得てスキルを習得することがほとんどです。

 そして今からあなたに選んで頂くスキルは、常人は持つことがないであろうスキルです。」



 声の主がそう言うと俺の頭の中にはパソコンのメニュー画面様なものが広がった。



「あなたが選びやすい様に、あなたの持っている知識に合った選択方法にいたしました。」



 凄いの一言だが考えてみたら神だと言っていたし、これぐらいは出来るのかもしれない。

 俺は少しだけそのスキル一覧に目を通す。


 頭の中にはパソコンの画面の様なものがあっていろいろと単語が書かれている。その書かれている単語がスキルの名前なんだと何となくわかる。

 パッと目に付いた単語に意識を向けるとそのスキルの詳細が分かった。本当にパソコンで調べ物をしてクリックしたような感覚だった。

 俺のわかりやす方法でって言ってたし自然とどう使えばいいかわかる。しかし目の前には膨大な単語が並んでいる。

 スキルってものすごくあるな。全部見てる訳にもいかないだろうし。

 って。


「時間とか大丈夫なんですか?さっき召喚が行われているとかおっしゃってましたけど。」



 俺は疑問に思ったことを聞いてみた。



「えぇ、ここは時間の概念からは切り離されているのでいくら悩んで頂いても問題ありません。」



「そうなんですね、もう少し質問してもいいですか?」



 時間に制約がないって聞いたので俺は持っている疑問を少しでも晴らそうと思った。



「はい、答えれる範囲でお答えいたしましょう。」



「じゃあ、最初の質問なんですが勇者って俺1人がよばれるんですか?」



「いえ、今回は3人の方が召喚されます。あなたはその内の1人です。」



 今回は?っていうことは何度もこんなことあったのか?しかし俺以外にも2人いるのか勇者。

 ってあと2人もいるんだったらそいつらに任せたらいいんじゃないのか?



「別の2人がどんなスキルを選んだかわかりますか?」



 そう質問する。

 後2人いたとして全員同じスキルを選んでたらびっくりする。

 もし3人で魔王討伐に行って同じ攻撃系のスキルしか持ってなかったりしたら、どう考えてもバランスが悪いだろうし。



「申し訳ありませんが他の方も今選んで頂いているのでお答えできません。」



 今選んでるのか、同時進行?神様だしそれぐらいは出来るかもしれないけど。



「お勧めのスキルとかってありますか?」



 どこぞのご飯屋さんの店員に聞くような内容だ。たが相手は神と言っているんだし、いいスキルを教えてくれるかもしれない。



「そうですね、以前の勇者などは【福音(ギフト)】や【絶対防御(イージス)】を選ばれましたね。」



 そう聞いてそのスキルを見てみようと思った。

 頭の中で考えると神が言っていたスキルが見つかる。

 検索機能もあるようだ。



福音ギフト】:すべての事象が有利に働くようになる。


絶対防御イージス】:物理攻撃、魔法攻撃を完全に防ぐ。



 それぞれのスキルを確認するが結構とんでもないスキルだった。かなりなスキルだったが一応デメリットもあった。

 【福音(ギフト)】の方は意識があるときだけらしい、寝てたり気絶してる間は効果がないみたいだった。

 【絶対防御(イージス)】も使っている間は一切動けないとか。

 う~ん、まぁ使えるスキルなんだけど。



「このスキルとかって生きてるうちに習得できたりするんですか?」



 さっきの神の話の中に修練だったり加護でスキルを得るという話があったので、もしかしたらこのスキルも何かしら行動すれば得ることが出来るのかもしれない。

 だとしたら別のスキルを選ぶと言う選択が正解かもしれない。



「不可能ではありません。しかしながらあまり現実的ではないでしょう。


 【福音(ギフト)】は何名かの神の加護を得れば自然と得るスキルですが、常人が何名もの神に加護を得ることはほぼありません。

 【絶対防御(イージス)】もそれこそ死ぬかもしれない攻撃を何度も受けきって初めて習得できるので常人であれば命がないでしょう。」



 なるほど、そんな簡単にこんなスキルが手に入ると思わないが。

 そう考えるとどんなスキルでも1つ貰えるというのがかなり破格なのか。



「何名かの加護って神は他にもいらっしゃるんですか?」



 今の話を聞いてて思ったことを口にした。



「えぇ、います。人と同じ世界に暮らしている者もおりますし、私の様にこうして召喚の時に姿を現す様な者もいます。」



「今俺がお話しさせて頂いてる神様って召喚か何かの神様なんでしょうか?」



「違います。私はそうですね・・・・スキルを管理する神と思って頂ければよろしいかと思います。必要があればスキルを与えたりします。」



 ふむ、そういう神だったのか。

 と今の話を聞いて俺は思いついたことがあった。そしてその話を神に伝えた。



 こうして俺は神から貰うスキルを決めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ