聡明生徒会長 7
もしかして、会長か武山さんが来てくれたのかもしれない。
そう思って口を開こうとすると、
伊達先輩によってふさがれてしまう。
「・・・声出すんじゃねーぞ」
さらにノックの音がして、外から声が聞こえた。
「誰か、いないの?」
女の人の声。
「この声、花沢か?」
伊達先輩のつぶやきで気づく。
そうだ、花沢先生の声だ。
「ねえ、誰かいないの?・・・おかしいわね。飛島さんがいるって聞いたんだけど」
飛島さん?
花沢先生は、飛島さんに用があってきたのか。
だけどその飛島さんは、
軽音部の人たちによって口を塞がれている。
「誰もいないんじゃ、仕方ないか」
「んー、んーーーっ!!」
飛島さんは声を出そうと必死になる。
けど、塞がれている口から声が漏れることはなかった。
花沢先生、帰らないでください!
せめて飛島さんだけでも・・・・・・助けて。
「あ、そうだ。合鍵借りてたんだ」
チャリンという音が聞こえて、伊達先輩を含めた軽音部の人たちがビクッとした。
よし、その合鍵でドアを開けてもらえば・・・
少し安堵していると、伊達先輩は一人に手招きをする。
「俺が花沢の相手するから、お前こいつを押さえとけ」
「はいよ」
飛島さんを抑えていた一人が離れ、
僕の身体と口を押さえつける。
伊達先輩は衣服を整え、
中の様子がわからないように、少しだけ扉を開いた。
「あ、いるじゃない」
「悪いっすね、花沢先生。俺ら真剣にミーティングしていたもんで」
「そうなんだ、邪魔してごめんね。中に飛島さん、いるかな?」
「彼女ならちょっと前に帰りましたよ」
「そうなの?急用だったのに・・・帰っちゃったかな」
「さあ。もういいっすか?続きしたいんで」
ドアを閉めようとする伊達先輩。
だけど、閉められないようだ。
「ちょ、手、放してくださいよ。ここにはいないって――」
「いるじゃない。後ろの窓に、映ってるけど」
「!」
伊達先輩が動揺したその瞬間、
ドアが勢い良く開け放たれた。
そして、武山さんが飛び込んでくる。
その勢いに、伊達先輩が数歩下がった。
「飛島、臣・・・っ、伊達、この野郎!」
花沢先生も中に入ってきて、この状況を見て愕然とする。
「あなたたち・・・なんてことを。今すぐ二人を放しなさい!」
窮地に立たされたはずなのに、
伊達先輩は笑い出した。
「はははは、え?これ、パフォーマンスですよ。今度開催するライブの」
「パフォーマンス?」
「そ、飛島さんと森本くんには、そのパフォーマンスの予行練習に付き合ってもらってるんです」
「なにがパフォーマンスだ!こんなんただのレイプじゃねぇか!」
「違ぇよ」
違う。伊達先輩の言うことはデタラメだ。
そう言いたいのに、ふさがれた口は開かない。
・・・悔しい。
「っていうかさ、飛島さんはそう見えるかもしれないけど、森本くんは絶対違うじゃん」
「でもこのパンツ一丁の姿見たら、誰だって・・・」
「気持ち悪いこと言うなよ。俺、男に手出す趣味ねぇし」
う、嘘だ!
だってさっき伊達先輩、僕のことを犯してやるって・・・
「まあ、確かにそうよね」
「ですよね、花沢先生!っていうか、森本くんが調子に乗ってパンイチになって暴れるから、押さえてたんですよ」
ち・・・違う!
僕は、そんなことしていない!
花沢先生と武山さんが、信じられないといった目で僕を見下ろす。
違うと目で訴えても、きっと伝わらない。
どうすればいいんだ・・・