聡明生徒会長 4
軽音部のドアをノックすると、すぐにドアが開いた。
「はーい・・・って、なんだよお前」
僕の姿を見てげんなりする伊達先輩。
でも僕も引くわけにはいかなかった。
「僕もご一緒させていただいてもよいでしょうか?」
「ダメダメ。せっかく飛島さんに俺の魅力をアピールしようとしてんだからよ」
「・・・本当に、アピールだけですか?」
「なんだお前、可愛い顔して失礼なやつだな。アピール以外に何をするんだ?」
「そ、そうですよね・・・」
ちらりと飛島さんの方を見る。
そしてお互い、安堵した。
会長たちが変なことを言うから、
伊達先輩に失礼な疑いをかけてしまった。
この人は純粋に、飛島さんのことが好きなんだ。
「では僕は、外で待っています」
「おう、ありがとな。じゃあ飛島さん」
「は、はい」
飛島さんは伊達先輩に続いて、部屋に入る。
そして、ドアが閉められた。
どうやら心配はなさそうだ。
校内デートのようなものだろう。
・・・だけど、
ただ待っているのもつまらない。
一度、生徒会室に戻ろうか。
そう思って歩き出そうとした、そのときだった。
「きゃああああっ!」
「っ!」
い、今の・・・
すぐに回れ右をして、軽音部のドアの前に戻る。
「飛島さん!」
そこにいたのは、伊達先輩に両手を掴まれている飛島さんだった。
「・・・何をしてるんですか!」
「何って、アピールしてんだよ」
そう言って伊達先輩は飛島さんに顔を近づける。
「い、嫌、です・・・やめて!」
「やめてください!」
僕は二人を引き離そうと、慌てて近づく。
「・・・だからさ、言ってんじゃんか!」
「ぐ・・・っ!」
その瞬間、
伊達先輩の蹴りが僕の腹部にヒットする。
「恋路を邪魔したら・・・馬に蹴られるってよ」
「・・・ぁ」
襲ってくる痛みと吐き気。
耐えられずに、膝をついてその場に蹲った。
「森本さん!」
「ったく・・・コトが終わるまでそうしてろ。バーカ」
思うように息が吸えない。
そんな僕をよそに、伊達先輩は飛島さんの顔に触れる。
「俺さ、アンタのこと好きなんだって。
アンタみたいな・・・まだ男を知りません、みたいな女。大好物」
「・・・い、や」
「俺が男を教えてやるよ。俺のやり方で、俺にしか服従しないようにしてやる」
震える声の飛島さんに、迫る伊達先輩。
だめだ、そんなの・・・
絶対に、させない!
「・・・ん?」
「やめ・・・て、くださ・・・」
「足掴むな。離せ」
僕は必死に手を伸ばし、伊達先輩の足首を掴む。
足を振られるけど、手を離さなかった。
だって、離したら飛島さんが・・・
「しつけぇな・・・わかったよ。じゃあお前に選択権をやる」
選択権?
見上げると、伊達先輩は厭らしい笑みを浮かべていた。
「お前を好きにさせてくれるっていうなら、俺はこの女に手を出さない」
僕を・・・好きに?
それって、
飛島さんの身代わりになって、暴行を受けろっていうことなのか?
「どうする?森本クン」
伊達先輩はからかうような口調で訊ねる。