聡明生徒会長 13
ドサッという音がして。
ゆっくりと目を開いた。
そこにいたのは・・・
「おはよ。臣ちゃん」
朝日に照らされた、会長だった。
音の正体は、会長が買い物袋を下ろした音で、
会長はニコニコしながら僕を見ていた。
この状況はなんだ。
どうして僕は会長と・・・
そうだ、昨日、
僕は会長に慰められて・・・
そのまま、眠ってしまったんだ。
「・・・・・・っ」
そのときのことを思い出して、すごく恥ずかしくなる。
まともに会長の顔が見られなくて、視線をそらした。
「臣ちゃん、朝ごはん買って来たから、食べようよ」
「あ、朝ごはん?」
「だって、もう6時だから、一旦家に帰るわけにいかないでしょ」
会長は笑いながら、袋の中身を外へ出す。
そんな会長を見ながら、ふと思い出す。
夢の中での会長の声を。
『・・・よかった。無事で・・・本当によかった』
あの声は、確かに会長だった。
切なそうで、苦しそうだったけど・・・いつもとは180度違ったけど、
会長の声だ。
ということは、
頬や・・・唇の、あの感触も?
人差し指で唇に触れる。
あのときの温かさは失われていたけど、
感触は覚えてる。
だから、きっとあれは
夢じゃない、はずだ。
「ん?臣ちゃん、どうしたの?」
「・・・あ」
「ひょっとして、どこか痛む?動けないとか?」
会長が一歩、また一歩近づいてくる。
僕は慌てて、首を横に振った。
「だ、だだだ、大丈夫です!」
「・・・そっか」
だってこれ以上近づかれると、気づかれてしまうから。
僕の心臓が、ドキドキしていることが。
おかしい。
会長相手に、こんなにも動揺するなんて。
・・・こんなに会長のことを、意識するなんて。
「ほら、臣ちゃん」
条件反射で見上げると、
そこには手を差し出した会長がいた。
「早く食べよう、ね」
眩しすぎるほどの笑顔。
僕はできるだけ平静を装いながら、
その手を取った。
温かくて力強い、その手を。