不思議な爺
のんびり読んでください
「え?俺死んだんじゃないのか?」
気づけば俺は知らない場所に居た。
白を基調とした。どこの家にもありそうな4畳半ぐらいでタンスとベッドとクローゼットしかない飾り気がない部屋だ。目の前には背もたれの無い椅子に座った。高価そうな服を着た。白い髭を生やしている爺がいた。年はおそらく70代以上だと推測できた。
「あの~すいません、ここはどこですか?」
とりあえず今この状況を知ってそうな爺に話を聞こうと話しかけると
「とりあえずそこに座れ」
爺がそう言うと目の前に椅子がうっすらと現れた。あの爺一体何をした。目の前で起きていることが信じられない。軽いパニックだ。
「え!な、なに!」
なんだこれ?ありえない…科学的にありえない、夢の中なのだろうか?
椅子が突然現れたことにびっくりしていると
「座れ…」
爺がほんの少し声を変えて同じことを言った。少し低くしたような声だ。その言葉が妙に頭の中に響いた。
「な…んだよ…これ……」
自分の体が言うことを聞かなくなり俺はびっくりする暇もなく椅子に無理やり座らされた。この爺がだんだん怖くなってきた。目を合わせづらい。
「まあ落ち着け、霧林 義郞」
は、どういうことだ!?どっから手に入れたんだその情報は!当然俺はこの爺を見たことも聞いたこともない
「何で?俺の…名…前を」
「さて、なんでじゃろうなぁ~」
そう言いながら爺は俺の反応を見て気持ち悪い顔でニタニタと笑っていた。性格が悪い
「ククク、まぁ、そんなことより霧林 義郎、お前には今からとある場所…いや、世界に行ってもらう当然拒否権は無い、因みに、そこは最近の若者が好きそうなファンタジーな世界じゃ、モンスターとやらも沢山おる、嬉しくはないか?お前は選ばれたんじゃぞ」
爺はそう言いながらまたニヤニヤしていた。ここまで不可思議なことが起きている以上、爺は本当に出来てしまうのかと思った。
(はぁ!嬉しい訳無いだろ!?誰が見知らぬ土地に行って嬉しいんだよ…)
心の中ではそう言っていても、口には出せない、そういう性格なんだ俺は。
「…」
少しお互い無言になる
「何で、自分がそんな所へ行かなくてはならないのですか?」
落ち着きを取り戻した俺は爺に質問する。
「それは教えられんの~」
そう言いながらまたもニヤニヤしている。
(チッ、この爺、人の反応を見て楽しむ癖でもあるんだろうか、心底ムカつくな、初対面なのに失礼だろうが)
「それは、何故ですか?」
落ち着きを保ってさらに質問する
「それも教えられん」
またも返答は同じだった。だんだんイライラしてくる。
(チッ、こいつふざけてんのか?)
当然である、何しろこの男は今起きている現状を何も理解できていないのだから。イライラもしてくる
「あ!そうそう余りにも楽しくて忘れとったわ、向こうの世界にはこちらの世界には無いステータスという自分の実力を知ることができるシステムがあるんじゃが…お前のステータスは………」
そう言いながら爺は俺に指をさしながら「ステータス」と言った。
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STR・力 10
VIT・生命力 1
AGI・敏捷性 10
INT・知力 1
スキル
メイン・鎌術
サブ ・痛察知力
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すると目の前にPCで見るウィンドウらしきものが出てきた。
「…クククやはりな、間違えてなかったわ」
ステータスを見ながら爺は口を釣り上げていた。
このステータスを見る限り………目の前のステータスはSTR・力やAGI・敏捷性に偏りを持っていた。こんなステータスじゃすぐ死んでしまうと、すぐに分かった。そして地雷だというのも簡単に推測できた。
地雷というのはつまりオンラインゲームで言う、雑魚や誰にも相手にされない存在、努力をしても報われないようなことだ。よってみんな地雷を嫌う
スキルもそうだ
死神が持つとされる鎌だが、皆さん知っての通り、鎌なんて農具、あんな形をした武器…リーチが短いし防御だってできやしない。
ただ痛察知力は期待してよさそうな気がした。なんだか強そうだから
「覚えとけよ、しばらくの間ステータスは見れないだろうからな」
また訳のわからないことを言い出したぞ、この爺
「何でですか?」
どうせ答えてくれないと思うが聞いてみた。
「おっと!もうこんな時間じゃ、ほな元気でがんばれよ義郎」
話を逸らすなぁぁぁ!!!!いい加減にしろ、なんも答えてねえじゃねえか!もう会話ですらねえよぉ!!心の中では顔真っ赤である
こうして俺はまた意識を失った。
この時俺はやっと悪い夢から覚める。そう思っていた。だがその期待は大きく外れた。最悪な方向へと
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「アガッ!」
「起きろ!!!おら、酒を取ってこい!」
目が覚めると同時に俺は腹部に鈍い痛みを感じた。肺の空気が全て外へ出されるのを感じた。鳩尾が痛い。あまりの痛さにうずくまりながら肺を押さえた。
目の前には身長170cmだと思われる。50歳ぐらいの不潔なおっさんがいた。
「聞いてんのか、おい!」
そう言いながら俺の鳩尾をさらに蹴る。
「うっ…ぐふぇえええええええええええええ」
蹴られた衝撃でゲロを吐いてしまった。不思議なことに胃液しか出てこない。
「ちっ、汚ねえなぁ、掃除しとけよ!」
そう言いながらクソ野郎はどこかへ行ってしまった。