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イレブンスから襲撃から三日後。
狼は鳩子と共に、救護棟へと向かっていた。その通り道には、全壊状態となった部室棟の修復工事が行われている。
「もう工事が始まってるよ」
「それはそうでしょ。修復してやらないと一軍の生徒から批判の嵐が吹くもの」
「確かに」
だが、生徒たちから文句を言われ、困惑している宇摩豊の姿を少しばかり見てみたいと狼は思った。だが、そんな事態になることはまず無いだろう。
抜けてそうに見えて、抜け目がないのが宇摩豊なのだから。
「それはそうと、狼はメイっちやネズミちゃんのお見舞い行く余裕あるの?自分も怪我してるくせに」
狼の怪我を気にしてか、鳩子が訊ねてくる。
「まぁ、怪我はしたけど、重傷って程でもないから」
「本人がそう言うなら、別に良いけど。でも、無理はしないように」
「了解。心配してくれてありがとう。鳩子ってけっこう面倒見良いよな」
鳩子にお礼を言いながら微笑む。
すると、急に鳩子は顔を逸らし、
「卑怯な奴め」
と小さい声で呟いている。
その呟きに何が?と聞き返したくなったが、やめておくことにした。
狼と鳩子は名莉と根津が入院している病室に入る。
病室には規則的に四つのベッドが置かれている。そしてその内の窓側のベッドに名莉と根津が使用していた。希沙樹は個室らしく、ここにいるのは名莉たちだけだ。
「すぐ退院できるんだから、わざわざ来なくてもよかったのに」
と根津が少し照れくさそうに、顔を赤らめている。
そんな根津をからかうように、鳩子がニヤッとした笑みを浮かべる。
「ネズミちゃんったら、照れ隠しなんかして・・・・」
「うっさい!!」
普段と同じようなやり取りに、狼は心底ほっとした。
そして、反対側のベッドにいる名莉を見ると、名莉もまたいつものようにぼーっとしたような表情で、根津と鳩子のやり取りを見ていた。
「メイ、怪我の調子はどう?」
「平気」
名莉の返事はとても短いが、顔は微笑んでいた。
「そう」
その名莉の表情につられて、狼も自然と微笑む。
「狼は平気?」
「平気だよ。メイが助けてくれたし。あの時はありがとう」
「うん」
名莉はこくんと頷く。その仕草はとても名莉らしいと狼は思った。
「それにしても、狼、あんたって本当、悪運が強いわね」
と根津が呆れ顔で言っている。
「どうして?」
「だって、鳩子を除いて軽傷で済んだの狼だけじゃない」
「それはそうだけど・・・僕だって、一回入院してるし。・・・・はぁ、こんなこと小世美が知ったら心配させちゃうよ・・・」
狼は力なく言うと、何故か誰一人からの返事が返ってこない。不思議に思い狼が顔を上げると、三人がじっと狼の方を見ている。
「えっ、なに?」
狼が嫌な視線を送っている三人を交互に見る。
「・・・小世美って誰?」
そう言ったのは根津だ。その声はとても低い。
「あれ、言ってなかったっけ?」
「あっれぇぇ、鳩子ちゃんも知らないなぁ」
わざとらしい鳩子の声に、狼の背中に悪寒が走る。
何もしゃべらない名莉の方を横目で見ると・・・・・何故か手に復元されたBRVを手にしている。無言なだけに恐怖が倍増されるのは言うまでもない。
「あ、名莉。その考え良いわね」
そう言って、根津も自身のBRVを復元する。
「邪魔が入らない様に、部屋のロックシステムをオンにしておくから、安心してね」
いらない手助けを鳩子が嬉々として言っている。
「ちょっと怪我人なんだから、安静にしてないと」
「あら、心配してくれるの?心遣いだけ受け取っておくわ」
にこっと微笑んだ根津を見てから、狼の声が病室に響いた。
「こんなのなしだろーーーー」
そしてさらに一週間後に狼たちは無人島へと放り出される。
榊のこの言葉によって。
「サバイバル訓練、開始だ」
なんとか、区切りのいい所まで行きました。
途中、何度投稿してもエラーになってしまう事態に襲われましたが・・・
次は無人島サバイバルです。
新キャラも出しますッッ!!