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核心

「その本題って・・・?」

「あはっ。もちろん真紘くんのことに決まってるでしょ」

「そうよ。どうして真紘がメンバーから外されたのかしら?意味が分からないのだけれど、ちゃんと納得できるように説明してくれない?」

「え、いや、僕もどうして真紘がメンバーから外されたのか分からないんだよね・・・」

 狼がやや困った顔をしながら、そう話すと・・・、さっきまで笑っていた季凛と希沙樹の顔が真顔へと変貌した。

 その豹変ぶりに狼は思わずたじろぐ。

「へぇー、そうなの?真紘が外された意味が分からないの・・・」

「あはっ。やっぱ狼くんって使えないよね」

 いつもの笑顔とは違って真顔のためか、季凛の毒舌が狼の胸に深く突き刺さる。

「・・・ごめんなさい」

 自分が悪いわけでもないのに、狼は何故か希沙樹と季凛に謝っていた。

 そんな狼に希沙樹と季凛は冷たい溜息を狼に浴びせた。狼はそんな二人の冷たい溜息を浴びて、背中に冷や汗を掻きながら、二人の次の言葉を待った。

「あー、狼くんでも少しは心当たりがあると思ったのに・・・やっぱり、懐刀の二人に訊いてみる?」

 打開策として季凛がそう発言すると、希沙樹が首を横に振った。

「あの二人も話さないと思うわ。特に左京さんの方は。それに、私、あの二人にはあんまり頼りたくないのよねぇ」

「あー」

 渋い顔をしている希沙樹に同調しながら、季凛が頷く。

「なんでさ?あの二人なら真紘と一緒に行動すること多いんだし、なにか分かるかもしれないじゃないか?」

「はぁ・・・、わかってないわね。坊や」

 えっ!?

「あは、狼くんが理解できるとは思ってなかったけどね」

 はい?

 二人の言っている意味が分からず、狼は疑問符を浮かべた。そんな狼を余所に二人が狼を挟みながら、会話をし始めた。

「やっぱりさー、あの真紘くんに抱きついてた女が関係してるのかな?」

「ああ、あの子ねぇ・・・まぁ、一番の黒はそうね」

「あの人って、公家の人なんだろう?」

 狼が二人の会話に割って入ると、二人が冷えた視線を送ってきた。

 うっ。

 発言したことを後悔しながら、狼が縮こまっていると、隣にいた季凛が肩を少し上下させた。「もしや、あの女が真紘くんのことを気に入って、権力を乱用して、言い寄ってるとかないよね?あは。マジ、そういうのは勘弁だからね?」

「私だって、御免よ。たとえ公家の人でも権力を振りかざして、真紘を手に入れようなんて許さないわ」

「いや、さすがにそんなことしないと思うけど・・・」

 再び鋭い視線が狼に降りかかる。

「狼くんは女心がわかってなさすぎ」

「そうよ。女は時に凛々しく、そして健気・・・。そして、卑怯なのよ」

 まるで格言かのように、希沙樹がそう言いきった。

 もはや、狼が口を挟む間もなかった。

 二人の頭の中は、確実にあの公家の女の子が真紘を悪の道に、突き落としていると決めつけている。

 狼は静かに溜息を吐きながら、試合後の真紘の姿を思い返した。

 控室に戻ると、真紘が黙って待っていた。暗い表情の真紘に何も声を掛けることもできず、真紘は黙ったまま、その場を立ち去ってしまった。

 あの表情から、やはり何かあったことが分かるが、それが何なのか見当もつかない。

 真紘をメンバーから外した綾芽は、面倒そうに首を回しながら

「ほっとけ」

 と言っただけだ。

 あの言いようだと、綾芽は何かしら知っているとは思うが、綾芽に訊いた所で簡単に答えが貰えるとも思えない。

 そうやって、三人が黙考していると、名莉が声を上げた。

「誠さんと左京さん・・・」

 狼たちも名莉たちが向いている方に顔を向ける。

 そこにはいつものスーツ姿の二人が狼たちがいる席の後ろ通路を、険しい顔をしながら通り過ぎようとしているところだった。

 そんな二人を狼が急いで、引き留める。

「ちょっと待ってください!!」

 狼が慌てて二人の前に駆け寄ると、誠と左京も足を止めてくれた。そこに希沙樹と季凛、そして小世美とデンメンバーが駆け寄ってきた。

「皆様、我々に何か御用でも?」

 表情を崩さないまま、左京がそう訊ねてきた。そんな左京に質問してもいいのかと迷いながらも、狼は思い切って訊ねてみることにした。

「えっと、真紘の様子が何かいつもと違うように見えて・・・それで左京さんたちなら何か知ってないかな?って」

 左京より一歩ほど後ろにいた誠が、少し困ったような表情を見せたが、左京の方は毅然とした態度で首を横に振った。

「いいえ、存じておりません」

 そう言いきった左京に、今度は狼よりも希沙樹が一歩前に出て、喰いついた。

「嘘ね。絶対、あなた達何か知っているでしょう?」

「あはっ。さっさと言っちゃいなよ?楽になれると思うけど」

 季凛と希沙樹が誠と左京に詰め寄る。

「残念ですが、我々は何も言いません」

 そんな頑な左京と誠の態度に、希沙樹と季凛が一斉に溜息を吐く。

「やっぱり、黒ね」

「あはっ。どうせ、公家のあの女が何か関係してるでしょ?」

 季凛が核心を突く言葉を左京たちに投げる。

 すると、今まで頑固とした表情を見せていた左京の眉が動く。その仕草を見た狼は、左京が動揺した事がすぐにわかった。

 前にイレブンスが言っていた左京が「しまった」という時の仕草だ。

 だからこそ、狼も切り込んでみようと思った。

「その子が、真紘と一緒にいるとこ見ちゃって・・・そこから、真紘の様子がおかしくて」

 狼がそう言うと、左京と誠が顔を曇らせ一言。

「言えません」

 その言葉は、すごく真剣な物だった。



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