本編とは関係ない、主人公三人の雑談編
狼「明けまして、おめでとうございます。いや、むしろ挨拶が遅れてすみません」
真紘「黒樹、謝ることはないぞ。今黒樹は大変なときだからな」
狼「いや、真紘……ここで本編のこと持ってこられると、なんか微妙なんだけど……」
出流「仕方ないだろ。バカ殿は左京に感化されて、空気読めない男になってるんだから」
真紘「なっ、別に空気を読んでいないわけじゃないぞ。俺はただ黒樹を友人として励ましているだけだ。それと、貴様には言おう、言おうと思っていたんだが……そのバカ殿という呼び方はやめろ」
出流「却下。俺がおまえを名前呼びするなんて……うわっ、今更すぎて寒い」
狼「あー、確かに。出流が真紘のことバカ殿呼びするの定着してるよね」
真紘「俺としては、不服だ」
狼「でも、真紘だって反応してるじゃないか」
真紘「それは、そうだが……しかし、認めたわけじゃない」
出流「細かい事気にするなよ。それでも名家の当主だろ? 当主は懐も大きくないと」
真紘「こういう所で当主という立場を利用するな。むしろ当主だからこそ、その呼び方は認められないんだ」
狼「まぁ……ね。かっこはつかないかもね」
真紘「そうだろ。だから俺をバカ殿と呼ぶな」
出流「マジか……俺的には結構、情がわいてたんだけどな」
真紘「貴様がそれを言っていると、他の者にも移りそうだ」
出流「別に良いだろ?」
真紘「……良くない」
狼「まぁまぁ、新年なんだから不穏な空気を流すのはやめてさ」
出流「そうだぞ。これこそ場の空気読めって」
真紘「そう言われると、そうかもしれないな……では話を変えよう」
出流「逃げたな? まっ、いいけど。で? どんな話するんだ?」
真紘「そうだな……何がいいか……何が良いと思う?」
出流「言い出しといて、人に訊くなよ。……あっ、そうだ! 狼おまえ、あのピンクのことはどう思ってるんだ?」
狼「ピンクって?」
出流「ほら、ピンク色の髪で二丁銃使う奴」
狼「ああ、メイのことか……って何いきなり何だよ?」
真紘「ああ。俺も少しばかり気になっていた。どうなんだ?」
狼「うわっ、ここぞとばかりに、真紘も話に乗ってきた。絶対に自分に関係ないとか思ってるだろ?」
真紘「いや、そういうことは思っていないが、話が丁度出たからな」
出流「ほら、バカ殿だって気になってるんだから。男らしく白状しろよ」
狼(絶対、自分たちのことになるとはぐらかすんだろうな。この二人)
狼「別に……メイのことは大切だけど。仲間だし……」
出流「ふーん。じゃあただの仲間だと」
狼「まぁ……」
出流「言葉濁すとか怪しいな。バカ殿、どう思う?」
真紘「ああ、怪しいな。名莉は俺にとっても大切な友人だ。それこそ、はっきりさせて欲しい」
狼「真紘にだけは言われたくないよ!!」
出流「確かにな。バカ殿に言われたらおしまいだよな」
真紘「何故だ?」
出流「もう聞き返してくる所で、アウト」
狼「五月女さんたち、可哀想」
真紘「だから何故、そこで希沙樹たちが出てくる?」
出流「いや、もう俺たちから言える事は何もない」
狼「うん。確かに……」
真紘「不服だ……」
狼「でもさ、出流はどうなのさ? 出流の周りにも綺麗な人がいるじゃないか」
出流「……黙秘する」
狼「自分だけずるくないか!?」
真紘「先ほど男らしく白状しろと言った己の言葉を忘れたか?」
出流「はい、黙秘」
狼「ずるっ!!」
真紘「そうか。だが杜若教官とはかなり親しいげな気がしたが?」
出流
狼「確かに。でもヴァレンティーネさんを大切にしてるみたいに見えたけど」
出流「いや、まぁ……うん」
真紘「一人で勝手に納得するな」
狼「そうだよ。僕たちに訊いたんだから、答えてもらわないと」
出流「ほら、色々答えにくいってことも人間誰しもあるからな」
真紘「まったく、適当な奴だ」
出流「鈍感すぎるおまえに言われたくない」
真紘「どういう意味だ?」
出流「さぁな。自分の胸に手を当てて考えろ」
狼「多分、真紘じゃ気づかないだろうな……」
こうして、主人公三人の正月は幕を閉じていく……




