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武士と騎士

「で?これからどうするんだ?」

 狼たちがいる無人島より一回り小さい別の無人島にイレブンスたちは着陸していた。

 ヴァレンティーネに言われるがままに、ヘリに乗り込んだが、はっきり言って何がしたいのかわかっていない。

 そのため、殺風景な砂浜を眺めながらイレブンスは呟いていた。

「どうするって、それはもちろん、イザナギ・イザナミを持ったあの子たちと戦うに決まっているでしょ?」

 そう答えたのは、一番最後にヘリから降りたヴァレンティーネだ。

「なんだ、あいつらこんな無人島に来てるのか?」

「ええ。組織が調べた情報によると、今日から3日間、あっちの無人島にきているらしいわ」

「なるほどな・・・」

 ヴァレンティーネが見ている方に、イレブンスも顔を向けニヤリと笑う。

「じゃあ、今からでも仕掛けにいくか?」

「いいえ。それは明日にしましょう」

「なんでだよ?」

 戦う気満々でいたためか、ヴァレンティーネの言葉を不服に感じる。だが、ヴァレンティーネは、狼たちが向こう側の無人島にいることを調べたくらいだ、なにか理由があって、明日にすることを提案しているのかもしれない。

 そう思い、ヴァレンティーネの言葉を待つ。

 けれど、彼女から帰ってきた返答はイレブンスの期待を裏切る物だった。

「だって、こんな綺麗な海が広がってるのよ?楽しまないと勿体ないじゃない。私ね、こんな間近で海を見たの、初めてなの!」

 意気揚々と話すヴァレンティーネにイレブンスは絶句した。

「そんな馬鹿げた理由に、明日にしようって言ったのか?」

「もちろん」

 ニコッと笑うヴァレンティーネに対して、イレブンスの顔は引きつっている。

 こいつ、ありえないだろ。

 それがイレブンスの本心だった。

 イレブンスの内心を分かっていないヴァレンティーネは、イレブンスの表情を不思議そう見ている。

 いや、俺的にはどうしてこの状況で遊ぼうと思えるのかが、不思議だ。

「海来たからって、はしゃぐ奴がどこにいんだよ?」

 イレブンスは辟易としながら、ため息を吐く。

「そうかしら?みんなとても楽しそうよ?」

「はぁ?」

「ほら、見て」

 ヴァレンティーネが海の方を指差す。言われるがままに指差された方をイレブンスが視線を向けると、そこには驚く光景が広がっていた。

 広がっていたのは、いつの間に着替えたのか分からないが、サードやナインス、そしてフォースやファーストまでも水着の格好をしている。

「はっ?なんで?」

 イレブンスの言葉は驚きのあまり出た呟きだ。

 サードはこれまたどこから持ってきたか分からない浮き輪で水面に浮いている。ナインスは浜辺に生えた木の陰に座り、読書をしていた。

 ファーストは特に何かをするわけでもなく、木の陰に立っている。

 おまえ、なにもしないなら何で水着に着替えたんだよ。とイレブンスは思ったが、言っても仕方ない。

 フォースはと言うと、海面から少し突き出た岩の上に乗り、仁王立ちで海を眺めている。

 そう、イレブンス以外のメンバーは思い思いに海を満喫していた。

「こいつら・・・全員、阿呆だろ」

 もはや驚きを通り越したイレブンスは、呆れていた。

「何故、貴様は水着に着替えていないのだ?」

 そう訊いてきたのは、木の陰で突っ立っていたファーストだ。

「いや、何故じゃないだろ。俺はおまえらが用意周到すぎて、引いたぞ」

「何を言っている?今日の予定はヘリの中で、ヴァレンティーネ様が言っていただろ。聞いていなかったのか?」

「いや、聞いてねぇよ」

「そうか。貴様のことだ。きっと寝ていて聞いていなかったのだろう」

 イレブンスは不機嫌そうに眉を潜めながら、反論はしなかった。

 寝ていたのは事実だ。

 でも、だからと言って、何故全員が水着を持参しているのか意味がわからない。

 そんなイレブンスの考えを読み取ったのか、ファーストが口を開いた。

「ちなみに、この水着はヘリの中に用意されている物だ。貴様も着替えたいのなら用意はあるぞ」

「そうよ。イレブンスも着替えてくるといいわ」

 ファーストの意見にヴァレンティーネが手を合わせながら、賛同している。

「おお、イレブンス。おまえさ、そんな格好してて熱くないのか?」

 また、めんどくさいのが来た・・・・。

 野次を入れて来たのは勿論、フォースだ。

 絶対にフォースだったら、イレブンスが寝ていて話を聞いてなかったことくらい、お見通しのはずだ。

「茶化すな。うざい」

「いやいや、こんな爛々とした太陽の下で、水着にならないなんて、勿体ないだろ。まぁ。一人だけ、個性を出したいなら、おじさんは止めないけどね」

 わざとらしい独り言のような、フォースの言い方に、イレブンスは苛立ちを隠しきれない。

 さらに、フォースは火に油を注ぐ言葉を続ける。

「もしかして、イレブンスという者が泳げないとか言わないよな~、いやー、それはさすがにないよなー。でも、なんで海に近づかないんだろ?おかしいなー」

 かなり棒読みのフォースの言葉だったが、負けず嫌いのイレブンスにとって、良い起爆材料になった。 

「俺を舐めるなよ?海くらい、いくらでも泳いでやるっつーの」

 そう吠えるような声を上げながら、イレブンスがヘリの中へ戻っていく。

「上手い誘導の仕方ね」

「そりゃあ~、長年の経験からだね。若者の扱いにも慣れてくるもんだ」

 顎に手を当てながら、満足そうにフォースがポーズを決めている。そのフォースを「お見事」という感嘆をヴァレンティーネが漏らす。

 イレブンスがヘリに戻って5分後。

 水着姿になったイレブンスが戻ってきた。

「おまえら、人には散々海に入れとかなんだとか、抜かしてたくせに、おまえらも入ってねぇのかよ?」

 イレブンスが不機嫌そうに、眉を潜めていると、一際大きい声でサードの黄色の声が上がる。

「うわーっ、イレブンスも水着に着替えたんだ!!じゃあ、じゃあ、私と海に入ろうよ」

 そう言って、駆け寄ってきたサードはすぐにイレブンスの腕に絡まる。

「なんで、おまえと泳がないといけないんだよ?」

「えー、いいじゃない。別に。Don’t(ケチケチ) be(しないの) mean!」

「ケチとかの問題じゃないだろーが。よし、ファースト、あっちで競争するぞ」

 自分の腕に絡みついているサードを引き離し、イレブンスはファーストと共に海へと向かった。

「あー、ひどい。一緒に泳ぐならあたしでもいいのに~」

「おまえ、泳ぐの遅いだろうが」

 そんなイレブンスの言葉にサードが口元を膨らませている。

「だったら、サードは私と泳がない?」

 微笑みながら提案したのは、もちろんヴァレンティーネだ。

「別にいいけど。あたしより遅かったら置いていくからね」

「ええ、私はまったく構わないわ」

 上の者への配慮がないサードと、そんなサードをまったく気にしていないヴァレンティーネは、イレブンスたちとは別の場所で泳ぎ始めた。

「悪いけど、最初から引き離すから」

 そう言い残して、サードが一番得意なクロールして泳ぐ。イレブンスには遅いと言われたが、これでも泳ぎには自信がある。だから、あんなどこぞのお姫様オーラが漂ったヴァレンティーネに負けるはずがない。そうサードは高をくくっていが、次の瞬間にサードの天狗の鼻は折られた。サードが泳いでいる所の右斜め前から物凄い勢いの水しぶきが上がって、立ち止まったサードの顔を濡らしている。

「嘘・・・でしょ・・・」

 大きく水しぶきを上げながら、泳いでいるヴァレンティーネを見て、サードは目を丸くしている。

「どこからあの力出してるのよ?・・・もしかして、ゲッシュ因子でも使ってるわけ?」

 ぶつぶつと呟きながらサードは、再び泳ぎ始めた。

 今度はゲッシュ因子により、肉体的運動能力を高め、さっきとは比べ物にもならないほどのスピードでヴァレンティーネとの差を縮める。

「よし、いける!」

 ヴァレンティーネを抜かすことに躍起になっていたサードだったが、ヴァレンティーネのすぐ横を抜けた瞬間、急激にサードの速度が減速してしまった。

「なんでよ?」

 驚きながら呟いているサードの横をヴァレンティーネがさっきと同じように抜かしていき、あっという間に折り返し、砂浜へと戻ってしまった。

 それから少し遅れるように、息を切らしたサードが海から上がる。

 そこに心配そうな顔をしているヴァレンティーネがやってきた。

「いきなりスピードを落としたみたいだけど、どうかしたの?」

「別に大丈夫・・・」

 ヴァレンティーネにそう答えながら、サードは体にゲッシュ因子を流してみる。

 静かに横隔膜を膨らませるような感覚で息を吸い、ゲッシュ因子が正常に体内を廻っているかを確かめる。

 確かめてみると、因子の流れはいたって通常だ。どこもおかしいところなんて、感じない。

 では、さっきのは何だったのか?

 サードは少し黙考して考えてみたが、答えを導き出せるわけでもない。

 そのため

「今はなんともないし、まっいっか!」

 と明るい声で呟き、考えるのをやめた。

 小難しいことを考えて悩むという事は、自分向きではない。そういうのはもっとナインスのような真面目な者に任せればいい。そうサードは考えた。

 自分が一番の悩むことといえば、美容、おしゃれ、そして恋愛についてだけで充分なのだから。

 そのあとは、競泳から戻ってきたイレブンスとファースト、ナインスを半ば強引にヴァレンティーネとサードがビーチボールに誘い、一日を過ごした。

 最初は文句を言っていたイレブンスも、最後の方はまんざらでもないらしく、勝負に厚くなっていた。

 だがやはり、この翌日に厄介事はイレブンスたちにもやってくるのである。



 二日目の演習を始めた真紘たちは、確実に得点を伸ばしていた。二位の位置づけとなっている狼たちとの差は歴然だ。

 だからと言って、余裕を持つわけでもない。

 狼たち以外にも脅威となる者はたくさんいる。

 そう真紘は考えているからだ。

 だが・・・

「クソ、黒樹の腑抜けめ、どこに隠れている?」

 昨日から狼を目の敵にしている陽向が睨むようにして、周りを見ている。真紘はその姿に短くため息を吐いた。

「陽向、敵は黒樹たちだけではない。もっと違う者への警戒もしなければ」

「わかっている。わかっているが・・・くっ。輝崎、もしや貴様、あいつの味方ではないだろうな?」

「いや、別に俺は黒樹たちの味方ではない。それは当然だろ、別の班なのだから。まったく、陽向、貴様も無粋な質問をする」

「ふん、あまりにも貴様が黒樹に肩入れをするのでな、ついな」

 そう言いながら、陽向は真紘から視線を外した。

 俺はなにか、間違ったことでも言ってしまったのか?

 腹の虫が治まらない陽向を見て、真紘は陽向の意図が読めず首を傾げる。

「真紘は別に気にしなくてもいいわ。その内、治まるわよ」

「そうそう。陽向があーなのは、今に始まったことじゃないしな」

 そう言って、真紘を励ましてきたのは隣にいる希沙樹と後ろを歩く正義だ。

「おい、棗!あいつらの動きを掴んだか?」

 陽向の怒りの矛先は、今度は棗にチェンジしていた。

「はぁ~。今調べ中。大酉のジャミングにあって、そう簡単に行くわけないだろ」

「どいつもこいつも俺を虚仮にして~~。こうなったら、あいつらとの差をもっと、もっと、もーーーっと開けて、完封負けをさせてやる」

「まったく、子供なんだから」

 頭を抱えるようにして、希沙樹が呆れている。

「そうか?俺は、陽向のあーいう所が良い所だと思うけどな」

 と頭を掻きながら正義が笑っている。

「まぁ、どんな理由で黒樹を倒したいのかは分からないが・・・やる気を出している分には悪くないだろう。棗、引き続き、周りの者たちの動きを知らせてくれ」

「了解」

 真紘の言葉に棗が短く答える。

 それから、真紘たちは生い茂った密林の中を、注意を怠ることなく進む。

 湿気の高いじめじめとした密林の中では、何もしなくても汗が出る。真紘たちは水分を確保するのと、熱を奪われ過ぎない様に、島内にあるいくつかの川岸で休息を取ることにした。

「しっかし、この無人島も広いよなぁ。注意しないと遭難しそうだぜ」

「ああ、そうだな」

 真紘は正義との談笑をしながら、水分を補給する。ここら辺を流れているいくつかの川はどれも清流で、どれも飲料水として活用できる。それが人工的なのか自然の賜物かはわからないが、普通に水が確保できるのは有り難い。

「ここから二時の方向に、3つの反応あり。距離は100メートル弱って感じだね。二軍の生徒みたいだけどどうする?」

「そうか。ではすぐに戦闘態勢に入れるように待機だ」

「わかったわ」

 真紘の言葉に、希沙樹が答える。

 正義と陽向は答えるまでもなく、戦闘態勢に入っていた。

 戦闘態勢に入り、相手が現れる方向に見つめる。そして数十秒後。草むらが揺れた。それから二軍生と思われる女子の声が聞えてくる。

「もう、ヘトヘト。ここ暑いし~。あたしもう無理」

「もう夏なんだもの。仕方ないじゃない。文句言わないの。1回戦ったくらいでへばりすぎなのよ。マルガは」

「だって~」

 短い赤茶髪をしたマルガと呼ばれた女子は肩を前に垂らしながら、唸っている。それを長い髪を一つの三つ編みにして、束ねている女子が軽いリアクションで流している。

「あーあ、私的にはもっと手ごたえが欲しかったかも」

 そう言ったのは、先に会話していた二人より遅れてやってきた金髪の髪を一つにまとめた女子だ。

「いやよ。はぁ、セツナに付き合ってたらこっちの体力が持たないもの」

「それは言えてる」

「えー」

 三人の女子は話に夢中になっているのか、まったく真紘たちに気づいていない。

「これだから二軍の奴らは」

 緊張感が皆無な三人の女子を見て、陽向が言葉を吐き棄てる。

「貴様等、いつまでうだうだと話してる気だ?」

 低いながらも相手を威嚇するには十分な陽向の声に、三人の女子が視線を真紘たちと合う。

 視線を合わせた三人の顔は驚愕に満ちている。

「ちょっと、えっ、嘘でしょ?あれって、一軍のキザキ マヒロたちじゃない!」

 赤茶の髪をした女子がどもりながら、後ろへと一歩後退している。

「あたしたち、相当ついてないわね」

 固唾を呑みながら、三つ編みをした女子が顔を引き攣らせている。そんな二人の反応は、真紘たちにとって、見慣れた物だった。

 真紘たちの班と会って嫌な顔をしない者はまず、いない。みんな幼少の頃から、真紘たちの強さを知っているからだ。

 だがそれでも、根津のような気の強い者、一軍に上がっている生徒などは、己の自尊心を守る為、矜持するために、立ち向かってくる。

 だからこそ、先日狼たちがとった行動は真紘たちにとって、予想外の事だった。

 この者たちは、どうするのか?

 そう真紘は考えていた。

「ごめんなさい。こっちの話に夢中になっていたわ。別に戦うことは構わないわ。あたしはセツナ・ヘルツベルトよ。出来れば、騎士道に沿って、一対一が望ましいけど」

「こちらは一対一の勝負で、一向に構わない。その申し出を了承しよう。皆もそれでいいな?」

「構わん」

 真紘は振り返らず、声だけで陽向たちに問いかける。それに陽向が答え、あとの者は反論をしない。ということはつまり、別に構わないという意思表示だ。

「その心遣いに感謝するわ」

 そう言って、セツナは自信のBRVであるサーベルを真紘の前に突き出すように構える。真紘もそれに応えるように、イザナミを構えた。

 真紘は内心、セツナの対応に喜びを感じていた。セツナは二軍生という枠組みでありながら、真紘たちを見ても、驚くことも、慄き震えることも、ましてや逃げることもしない。その姿勢に真紘は歓喜していた。

 それに加え、武士道と騎士道。似て非なるもの。そんな騎士道精神を持った者と戦えることは真紘にとってこの上ないものだ。

「手加減は一切しないぞ」

「もちろんよ」

 お互い微笑を浮かべながら、二人の間を普通とは異なる空気の流れが漂い始める。

 それは熱風。

 真紘が醸し出す空気の流れ、風の流れにセツナの炎を帯びたゲッシュ因子の流れが混ざり合い、物凄い熱風を辺りに吹き散らす。

 刀と剣を構えた二人は動くことはせず、間合いを取る。

「あーあ、セツナったら、相手を考えずに暴走して!もう!」

「痛い目見ないといいけど」

 セツナと同じ班の女子は、後ろに下がりながら心配そうな表情を浮かべている。

「では、最初の初太刀で決めさせてもらう」

 だが、その声を上げた時にはすでに、真紘はセツナの眼前に跳躍して、イザナミをセツナの頭上へと振り下ろそうとしていた。

 イザナミが振り下ろされる寸前、セツナは今まで感じたことのない恐怖感に襲われていた。

 それは剣の鍛錬をしていたからこそ分かる。

 真紘の初太刀は、避けれないし、受け止められない。その事実を感覚的に理解したからだ。

「でも、私は諦めたくない、逃げたくない!」

 自信を鼓舞する言葉を吐き、セツナは猛烈な炎を真紘へと浴びせ、気を散らす。無論、そんなことで気を散らす真紘ではない。

「俺を見くびるな」

 真紘が吠える。

 その雄叫びと共に、炎が真紘を避けるように拡散する。

「そんなっ!」

 真上からやってくるイザナミの刃に、セツナはまったくの無力だ。

 負けたくない。そう思っていたのに。

 やはり、差は目に見えて分かっている。

「セツナッ!」

 後方にいる友人たちの悲痛な声が響く。

 少しではあったが、自分が今やれることをやった。その上でのこの結果だ。ならそれを受けいれるしかない。そうセツナが覚悟を決めた時、別の場所で変化が起きた。

 それは後ろにいる友人でもない。真向かえにいる一軍生でもない。

 変化が起きたのは真紘だった。

「あれは?」

 そう小さく呟いて、真紘は攻撃をやめた。

 地面へと着地した真紘は、セツナではなく上空を見ていた。

 真紘が見ていたのは、遠くを飛んでいる一機の軍事用ヘリ。

 そしてそのヘリのドアが徐に開く。それを黙って真紘とそして傍で戦っていたセツナが観察していると、次の瞬間。

「「えっ?」」

 真紘とセツナの声が重なる。

 二人の目に入った光景は、ヒラヒラとした服装をした女性と黒っぽい服を着た男性が真っ逆さまに、落下していく光景だった。

 見るからにパラシュートのような物は身に着けていなかった。

「まずい、すぐに救援に行かなくては」

「大変よ。人がヘリから落ちた!!」

 二人はその言葉と共に、一心不乱に人が落下したと思われる地点へと猛進していた。

 落ちた二人がトゥレイターとも知らずに。


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