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地球侵略  作者: 亮孔
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第4話:刃が光る時

丘の上はシンと静まり返っていた。丘の下ではもはや壊滅状態に近い簡単な基地が見えた。いや、基地というよりも破壊された廃墟の街にあの兵達は立てこもっていたのであろう。その真ん中で隊長らしき人物と小柄な人が手を振り合図を送っていた。その隊長の兵ももはや二千にも満たなかった。

孝太は腰にある鞘から刃渡り30cmもある「ナイフ」を取り出した。すると後ろにいた兵達が銃を前に構える。全員の銃の先にはやはり「ナイフ」(銃剣)がついていた。

「お前ら遅れるなよ・・・。」

孝太はそういうと走り出した。


「あの者達はなんなんですか?」

小柄な男は隊長にむかって尋ねた。数はどうみてもせいぜい五百人。今までの戦いから見てとてもかなう人数ではなかった。

狐の牙。 隊長は落ち着いた表情でいった。「やつらを知らないとは驚きだな。」目の前に来た虫に銃弾を十分に浴びせながら少し皮肉っぽく小柄な男に言った。虫から緑色の液体が噴出しその体は地面に沈んだ。

「奴らの援護に向かう!」 隊長はそう叫んだ。

小柄な男は狐部隊(狐の牙のこと)を見た。五百人の人々は走り出している。虫たちも気づいたようで100匹ほどが狐部隊にむかっていた。

と、前方から甲高い鳴き声が突如聞こえた。聞きなれた嫌な音だ・・・。小柄な男はその声に反応するかのように前を向きライフルを構えた。予想どうり前には虫がいた。虫が牙をむき出してうなっている。

小柄な男は自分に飛び掛ろうとした虫の口の中にライフルを突っ込み発砲した。ズドンという重い音とともに虫の体はバラバラに吹っ飛んだ。緑の液が体にかかる・・・。

「くそ!洗ったばっかだぞ・・・。」小柄な男は服についた殻の破片を払うと視線を狐部隊に戻した。

しかしそこには虫はいなかった・・・。

狐の牙の応戦に向かった100匹ほどの虫はすべて地面に倒れていた。

「馬鹿な・・・。」自分が一匹と戦って狐部隊から視線をはずしたのはほんのわずかな時間でしかなかったはずだ・・・。第一、狐部隊のほうからは銃声などほとんど聞こえなかった。

奴らはな・・・。隣に来た隊長が話しかけた。「銃をあまり使わん。奴らの主な武器は・・・。」隊長は自分の腰にコンコンと叩いて言った。

「ナイフだ。」

「ナイフ?!」小柄な男は驚いた。そんな武器でとても虫に応戦できるとは思えない。自分も持っているが、敵の前で使ってみようとは思わなかった。

「まぁ、彼らが言うには銃よりよっぽど役に立つそうだ。」


孝太は目の前に突進してくる虫の呼吸を聞いていた。1,2,1,2。自分達とは違うテンポの呼吸なのにそれもまた自然に聞こえてくるようになった。

虫が噛み付こうとする。孝太はそのでかい図体を蹴倒した。虫が倒れる。

虫の甲羅と甲羅の隙間が見える。孝太はそこにもうすでに緑色に染まっているナイフを思いっきり突き刺した。見慣れた緑が噴出す・・・。すると虫はすぐに動かなくなってしまった。

ヒュン、とナイフで空を切り緑の液体を払った。地面は緑で染まったが乾いた土によってすぐに吸収されてしまった。

ポン、と肩を叩かれる。振り向くとそこには見慣れた幼馴染の顔があった。

「何匹?」幼馴染は少し笑って尋ねる。

「12。明菜は?」

「残念、15匹♪」明菜は孝太の目の前にVサインをつくった。

孝太の目の前には虫はいなく自分の部下とさっきの隊長がわずかな部下とともにたたずんでいるだけだった。


すまなかったな。

隊長の第一声はこれだった。孝太は少し肩をすくませると、少し笑って、「なに、獲物を分けてもらっただけです。」と、言った。

「はっは獲物、か。あきれた奴らだ、まったく。」隊長はほとんど無傷の孝太を見て言うと大声で笑った。

孝太の後ろにいた兵もそんなに疲れた様子はない。どれだけの訓練を受けてきたかがうかがえる。

「死傷者は?」

「はぁ、死者はいませんね。重症が一名、軽症が五名ほど・・・。」

孝太がそう聞くと部下の一人がそう答えた。

まぁまぁだな、負傷兵を治療しておけ。 孝太は空を見上げてそう言った。あっちの隊長の兵はもうほとんどいなく、戦闘できる状態ではなかった。

「まいったな。」隊長はさも残念そうに言った。

ここはまだ危険です、安全な土地まで送りますよ。

孝太がそう言おうとした時だった。

ズン。

地が鳴った。まるで大きな太鼓が鳴っているかのようなような衝撃が孝太達を襲った。

孝太はとっさにナイフがあるのとは反対側の腰にある黒く光るものを取り構えた。ロケット弾を発射する武器だ。小型化されていて、50cmほどの大きさである。

「マンティスもいるのか!」隊長にむかって叫ぶ。

「ああ、二体だ。君たちも銃は持つんだな。」隊長は額に汗をかきながらも冷静をたもとうとしていた。

「奴らは特別だ!!戦闘準備!」

孝太は部下にそう叫ぶと小型砲の残り弾数を数えた。五発・・・。ギリギリだな・・・。孝太は前を向いた。隊長の残りわずかな兵も戦闘態勢には入っているがみんな震えている。

ズン。

また地響きがしたかと思うと目の前に突如大きな建物が現れた。いや、建物ならまだましな方か・・・。そこには巨大な「生き物」がいた。高さ20mはあるだろうか。かまきりのような鋭い鎌を持っていた。情報どうり二体いる・・・。

耳をふさぎたくなるような甲高く大きい声が響く。孝太は銃を構えると叫んだ。

「撃て!」

孝太は小型砲のトリガーを引く。ドン、という音と共に白い煙がすっと伸びていく。後に続いて狐の牙の兵士の砲弾と隊長達の兵の弾が飛んでいった。

たくさんの弾はマンティスと呼ばれた巨大な生き物に吸い込まれるように飛んでいくと、ズドンという音がして巨大な生き物のうめき声が聞こえた。

隊長の兵が歓声をあげる。

前方は煙でマンティスは見えなかったがウゥゥという音が鳴っている。

「まだだ・・・ふせろー!」

孝太は後ろにいる兵達に叫んだ。

孝太の頭上を光が飛んだ。いや、地獄の炎の方が正しいであろう。

光は孝太の頭上を越えて隊長の兵達に当たった。キュンという音がしたかとおもうと光は爆発し地面ごと兵達は吹っ飛んだ。

孝太や隊長の頭上から砂やすでに「かけらとなった物」がふってきた。

「撃てぇ!」

孝太はそれにかまわず叫んだ。

またすぅっと白い煙が放たれる。今度は命中すると巨大な「生き物」は大きく静かに倒れた。

砂が舞い上がり孝太たちの視界を塞いだ。

「気を抜くなまだ一体いる!発砲準備!」

兵たちはまたすぐに銃を砂ぼこりで見えない前へと構えた。

小型砲を持つ手に汗がにじむ。

視界が晴れる・・・。

しかしそこにはあの巨大な化け物はいなかった。

かわりに動かなくなったその化け物の上に葉巻の煙を吸って立っている男が一人いただけであった・・・。

久しぶりの投稿です。はぁ・・・時間がねぇや^^;

みていただいて感想でもいただければ幸いです。

あと、サブタイトルの「刃」は「やいば」と読みます。まぁ、一応言っておくだけです・・・。

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