第一話:レーダー
宇宙歴120年・・・
太陽系の外に位置し、地球外生命体に対する防衛基地 [D-300]
とはいってもこの基地ができてから、いや人類が宇宙にでてからというもの他の銀河系から、エイリアンなど攻めては来ず、すべての人がエイリアンなど映画の中だけの話、と思っていた。
だから防御基地とはいっても他の所から大きな隕石がこないか異常はないか、というようなことを監視するような、監視塔のような物となっていた。
しかも隕石さえほとんどくることはなく[D-300]で任務をこなしている者達も楽な仕事だと気が抜けきっていた・・・
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レーダーの監視員が機械をコツコツと叩き、しきりに首をかしげていた。
「おいおい、そいつはいいやつだから壊してくれるなよ。」
監視員の後ろには身なりの立派な一人の男が立っていた。どうやらここで一番偉い人らしい。
「司令官、なにやらレーダーに写っているのですが・・・」
司令官といわれたさっきの立派な男は慌てて手に持っていたコップを落としてしまった。
中に入っていたコーヒーが服にかかる。
「あぁ、くそ!服が・・・」
司令官が監視員をにらむ。コーヒーのせいでいっきに機嫌が悪くなったようだ。
「おまえなぜはやく報告しなかった!隕石だったらどうする!」
「隕石ならばとっくにしています。いかしこれは・・・」
そういうとその監視員は司令官にレーダーを見せた。
そのレーダーの上部ほとんどは「何か」で埋め尽くされていた。
「なんだこれは・・・」司令官が言った。
「故障ですかねえ?」
「だから、さっきもいったろう、このレーダーは最新式だぞ。壊れるはずがない・・・」
そういった司令官も、目の前のレーダーを見て、さも自分の言葉が信じられない、といった風に首をかしげた。
「じゃあなんなんでしょうか?レーダーに写ったものを信用するならばこれは100km超えますよ。」
司令官は自分の服に付いたシミを取りながらしきりにうなっていた。
「地球に連絡しますか?」
「ああ、たのむ。」
司令官はそういわれると今のレーダー画像のデータを地球に送信しはじめた。
「おい、まさか地球侵略者、じゃないだろうな・・・」
ふいに司令官はそうつぶやいた。
監視員が笑い出す。
「司令官、それはSF映画の見過ぎでは?」
「どうかな。見ろ、こいつらの動きは隕石ではまずない・・・」
監視員はレーダーに目を向けた。確かに隕石とは思えないほど速い・・・
「それでもエイリアンと断定するには・・・」
監視員もさすがに笑えなくなったようで、しきりに爪をかんでいた。癖なのだろう。
「そうかもしれんな、しかしもしエイリアンだったら俺らよりは強いだろうな・・・」
そう司令官がつぶやいたときだあった。
「司令官!未確認物体からとてつもないエネルギー反応です!」
別の監視員が悲壮な声を上げる。
「すくなくとも我らに危害を加えるものだな・・・総員!配置につけ!」
「司令官、このエネルギー・・・とてつもない数値です・・・」
監視員がおびえた様子で言った。
「この数値だと我々までとどきます・・・」
「我々ならまだましだ・・・おそらくこいつらは俺らをねらっているんじゃない・・・」
「ど、どういうことです?」
監視員が訪ねた。監視員の手は震えていた。
「地球ををつぶす気だ・・・この基地など眼中にない・・・」
司令官はうなだれてそう答えた。
「至急地球に連絡を!もう遅いかもしれんがな・・・」
監視員はそういわれるとビクッとして慌てて送信を開始した。
「総員に次ぐ!今すぐにここを離れよ!」
そう命令を告げたときだった。別の監視員が叫んだ。
「未確認物体からのエネルギーが放出されました!」
だがその報告はあまり意味をなさなかった。目の前に見えていたからだった。
目の前のガラスには一面が光の世界に入っていた・・・
地球を壊してなんになるというんだ・・・
と司令官はつぶやいたが、周りの叫び声でかき消された・・・
今回はSF物をかいてみました。これからこの連載の応援のほうよろしくお願いいたします。