09
やっぱり、かなり顔がいい。
いままで見たどのライオンの獣人よりも綺麗だ。
リオナの目は、意外にも金色だった。満月がそのままはまったかのように綺麗な金色がアイレを映す。
長いまつげがせわしなく動くのを見て、アイレはにたりと悪い笑みを浮かべた。
「あ、そう。そういう態度。いいけど、別に」
本来なら、もっと丁重に運んでやるつもりだった。けれど、この王様は自分で言ったことすらお忘れのようだ。
「その“首”をくれるって言ったの、覚えてるよなあ? つまり、俺があんたをどう扱おうが、俺の自由ってこと」
「はっ!?」
リオナがやや慌てたように声を出したが、もう聞く耳など持たない。アイレはひょいと風の足場から飛び降りた。
いきおいよく風が身体を撫でる。この感覚が堪らなく好きだ。
大笑いしながら風を感じるアイレの顔に、リオナの髪がバサバサと掛かる。
そのせいで顔は見えないが、リオナの手は明らかにアイレの服をしっかと握っていた。
地面にぶつかる直前で、アイレは予め用意しておいた魔法陣にエレメントを吹き込んだ。五芒星の魔法陣が地面で光り、風の反作用で身体が浮く。
アイレは満足げに笑いながらリオナを見下ろした。
「到着ぅ。風の心地はどうでした、王様?」
リオナは無表情だけれど、明らかに顔が強張っていた。
耳が髪の毛に隠れるんじゃないかと思うほどに寝そべって、それからしっぽがぶわっと広がっている。
アイレは今日一番の笑い声をあげた。




