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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

本人たちが、好んで使う隠語です

作者: 赤川ココ
掲載日:2026/04/12

手慰み、第数弾でございます。

パソコンのIのボタンが外れてしまい、打ちにくいことこの上ないです。

が、何とか投稿にこぎつけました。

矢張り、買い替えるか、タブレットを検討しようと思っております。

お楽しみいただければ、幸いでございます。

 国によって違うようだが、我が国の冒険者のランクは、B・A・Sの三段階だ。

 新人は登録当初はBランクで、ある程度の数のギルトの紹介での依頼をこなしたら、Aランクに昇格するシステムで、成人したての新人冒険家が出て来る春は、Bランクの冒険者が増え、その数か月ほどで同じく、Aランクの冒険者が増える傾向がある。

 数あるギルトの方でも、その時期の冒険者たちのために、様々な分野での雇い主を募るため、この二つの時期にギルトに行けば、どんな新人でも、どんなに使えない冒険者でも、仕事にありつける。

 その依頼を紹介された冒険者たちも、本来ならばシフトを申請しても、仕事を率先して回してもらえるほど、経験値も人望もない者たちで、この時期に救われて仕事にありつけた口だった。

 簡単な依頼をこなして、ようやく少しだけ重要な依頼ができるランクになったばかりの冒険者や、長くAランクにいるものの未だ活躍できず、名指しでの依頼が見込めない冒険者たちが数名、その仕事の依頼に呼ばれた。

 依頼主は、身なりのいい商人で、王都と他国を跨ぐ山に住む、盗賊たちの一掃が依頼内容だった。

 数多くの山に住み着いている魔獣ではなく、盗賊が相手と知り、少しだけ気楽な表情になった冒険者たちに、ギルトの受付嬢は真顔で説明した。

 この依頼があったのは、一年前だと。

 何度か、その都度人数を増やして冒険者を派遣しているが、未だに解決していないと。

 依頼を受けた者たちも、その後行方知れずなのだという。

「……実は、今回この依頼が不履行だった場合、ギルトから国の方に申し出て、討伐をお願いすることになるんです。それと同時に、このギルト商会の管理不行き届きも、問題にされてしまいかねません。そうならないようにどうか、しっかりと成功させてくださいね」

 受付嬢の不穏な釘差しと共に、冒険者たちは目的地に向かったのだった。


 魔獣や魔人でないただの盗賊が、場数は踏んでいないものの、一介の冒険者を凌駕するほどの戦力を持っているものだろうか。

 冒険者たちはその盗賊団に、何らかの力を有した冒険者崩れか、魔人が混じっているのではと考え、慎重に調べ始めた。

 調べると言っても、問題の山に向かい、日の高いうちに不穏な痕跡を探し、そこから解決策を見つけるしかないのだが、やらないよりはましだった。

 初日のうちに、当の盗賊団らしき群れを、見つけてしまったのだ。

 山奥の木々の開けた平地に、いくつかのテントを張った、小規模の旅団のようだったが、きびきびとした空気がそこにはあった。

「……一仕事した後の、移動中なのかもしれない」

 その商団の様子を伺いながら冒険者の一人が、真面目に言った。

 緊張具合から、最近Aランクになったばかりなのだろう。

 頷いた冒険者も、まだ玄人とは言い切れない。

「先ほどの会話からすると、王都に傍にいた少女を売りさばきに行く途中、と言うところだったな」

 先程、旅団の一員らしき二十代の長身の女が、幼い少女を連れて外に空気を吸いに出てきて、こんな会話をしていたのだ。

「楽しそうに、王都での出荷が、待ち遠しいと。子供は首を傾げて笑ってたが……そりゃあ、意味なんか分からないよなあ」

 一緒だった金髪の少女は、遠目から見ても見目がよく、鍛えこまれた体つきの、栗毛色の髪の女とは全く似ておらず、身近な者同士の会話ではなかったことから、そんな背景を想像したのだ。

「……完全に、違法だね」

「ああ」

 思ったほど、人数はいない。

 偵察した限りでは、下っ端らしき若い男女が六人と大柄な男の、計七人と少女が一人だ。

 一体、この数でどうやって、自分たちの前の冒険者たちを、撃退していたのだろう?

 そんな疑問に、少し経験値が高い冒険者が、真顔で答えた。

「あれが全員じゃないんだろう。そうでないと、一応場数を踏んだ冒険者も含んでいたはずの、今までの奴らが、全滅するはずがない」

「という事は、もう少し、様子を見る必要があるか……」

「奴らが一旦、本拠に戻ってくれれば、一番いいんだが……そうは、しないだろうな」

 誰か金持ちに売り払うつもりなのだろうから、これから向かうのは王都の方だ。

 ギルトに来た依頼は、あくまでも盗賊の一掃だから、こんな小規模の団体を捕まえても、意味がない。

 すべての盗賊を捕らえるのならば、王都で無事用事を終えた連中が、本拠に戻る後をつけ、本拠地を攻めて一掃する必要があった。

 だがそうすると、今一緒にいる少女は、見殺しにすることになる。

 冒険者たちは、一様に険しい顔になった。

「どうする?」

 重く考え込んだ冒険者たちは、直にその思考を途切れさせた。

 突如響いた悲鳴が、何もかもを飲み込んでしまったのだ。

 そして、最悪の修羅場が幕を開けた。


 冒険者たちは潜む場所の背後から、突然悲鳴とともに現れたのは、全く知らない女だった。

 どこかの貴族の、旅装束のその女は、恐怖を張り付けた顔で、旅団のテントの方へと駆け寄る。

「えっ」

「い、いかんっ」

 慌てた冒険者の一人が女を引き留めようと駆け出すのと、女が叫んだのは同時だった。

「た、助けてっ。盗賊がっ。わたくしの馬車をっっ」

 一気に緊迫した周囲から、わらわらと人が湧いてくる。

 数は調べ通り七人だが、湧いてきた場所は予想外だった。

「何ごとですか?」

 大きなテントから出てきた大男の隣にいる、先程の長身の女に、貴族らしき女が縋りつく中、鬱蒼とした木々の間を縫って、武装した二人の中肉中背の若い男が出て来る。

 その男の一人は、夕飯用なのか魔獣を肩に担いでいた。

「た、助けてくださいっ。先程、盗賊らしき集団に、わたくしの家の馬車がっっ」

「盗賊? そんなもの、この辺りには出ないはずだが?」

 呆れたような声が、女の言葉に答えた。

 息をひそめる冒険者たちの、背後から。

 弾けるように振り返った面々を、小柄な男が呆れた顔で見下ろしてた。

「っ」

「冒険者なら、ここに隠れていたようだが」

「初々しいですね。新人さんたちでしょうか?」

 先の男たちと同様に、武装した男が小柄な男に呑気に呼びかけたが、それに答えたのは貴族らしき女で、その言葉はとんでもない内容だった。

「っ、その者たちですっ。その者たちが、わたくしの家の馬車を襲い、両親をっっ」

「はああっっ?」

 驚く冒険者たちに、旅団の面々は険しい顔を向けた。

 その様子は、醜悪な表情ではなく、純粋に正義感を漂わせている。

 盗賊団ではないのかと混乱しつつも、冒険者たちは散り散りに逃走を始めた。

 もしものために、落ち合う場所は決めていたから、当初の目的の前に、まずは目の前の危機から脱することにしたのだ。

 だが、その旅団は、思いのほか優秀だった。

 そこにいた団員たちの倍の人数の冒険者たちを、小一時間ほどで全て捕らえて、テントの外に転がしてしまったのだ。

「……さて、ここから、どうするんですか?」

「一応、答え合わせでもしますか」

 丁寧な言葉で問かけたのは、テント内から出てきた大男で、受けたのは小柄な男だ。

 灰色がかった不揃いな髪の大男は、恐ろしく硬い表情で冒険者たちを見下ろしていたが、同色の瞳の奥には、呆れの色がある。

 答えた小柄な男は、この辺りでは珍しい黒色の髪で、肌の色も若干暗い。

 それぞれ違うタイプの整った顔立ちで、本当に商会に属しているのならば、さぞ集客に役立っているだろう。

 様々な職種で失敗し、冒険者としてのその日暮らしを余儀なくされてしまった、新人の一人は、その心境を思わず顔に滲ませてしまい、旅団の面々を不思議がらせていた。

「……まず、お前さんたち、盗賊なのか?」

「違うっ」

 優しく微笑む小柄な男の問いに、冒険者全員が声をそろえてきっぱりと即答した。

「と、主張しているが……」

「嘘ですっ。確かに、この者たちがっ」

「そんなはずはないっ。我々がこの山にやってきたのは、昼過ぎだっ。盗賊ならば、日が落ちた後に活動するはずだっ」

 貴族らしき女の激しい主張に、弁の立つ冒険者が必死に食いつき、勢いづいて小柄な男を睨んだ。

「あんたたちが、怪しい動きをしていたから、盗賊なのではと調べていたんだっ」

 旅団の面々が、それぞれ驚いた顔になった。

 若い男たちは戸惑って小声で会話をし、女たちも顔を見合わせて首を傾げる。

 そんな団員を一瞥してから、小柄な男が問いかけた。

「我々は、王都から強化合宿をしに、ここにやってきたんだが……もう、半年ほどになる」

「?」

「盗賊には、一度も会ったことがないんだが、何処情報だ?」

「はあ? そんなはずはっ」

 驚愕する冒険者の弁に、大男が目を細めた。

「冒険者の方が情報を得るとしたら、冒険者ギルトですね。まあ、確かな情報がつかめるほど、証拠が残されていないですから、盗賊の討伐時装備しか、準備しないでしょう」

「成程、人間相手の装備では、いつまでたっても解決しないな……この手の詐欺は」

 小柄な男は小さく笑い、貴族らしき女を見た。

 目を潤ませる女に、静かに言う。

「この山で先程まで、魔獣狩りをしてたんだが……どこで、盗賊に襲われてたんだ?」

「……」

 縋る目を向ける女が答える前に、大男が堅い声で言った。

「今のうちに、その幻術は解いておいた方が、いいですよ。どうせ、この人たちには気づかれています」

「お医者先生も、気づいてるだろうに。全てをこちらに押し付けないでください」

 優しい笑顔に、少しだけ苦いものを混ぜた小柄な男が、女に言い切った。

「うちの家畜たちは、元々、王城勤務の騎士だったんだ。しかも、最前で魔獣や魔人を相手に、戦ってきた。だからな、気づかれてるぞ。お前が、魔人だと言うのは」

 家畜?

 一瞬、何の事をっているのかと冒険者たちは思ったが、その疑問を深く考える前に、貴族らしき女の姿が溶けた。

「っ?」

「人間の騎士が何だ? ただ少し力があるだけの、獲物だろうがっっ」

 女の代わりに現れたのは、黒い獣人だった。

 蝙蝠のような大きな翼の、大柄の獣人だ。

 それが蔑みの笑い声を立てながら、奇声を発した。

 殆ど空声の奇声で、冒険者たちにも元騎士たちにも聞こえなかったが、何かを呼び寄せる声だったようだ。

 顔をしかめた大男と小柄な男が、耳を抑えて声をやり過ごし、言葉を交わす。

「……よし、計画通り」

「本当に、やる気ですか?」

「当たり前です。あの場所の惨状、見たでしょう? 許す理由がないですし、丁度いいです」

 その会話の間に、女だった獣人の後ろに、巨大な影が数体現れた。

「っ、まさか、あれはっ」

 冒険者の一人が、その陰の正体に思い当たった。

 魔物だ。

 それは、人が近づかない地で発生する、凶悪な自然現象と呼ばれている、王都近くでは見られない存在だった。

「……魔物は基本、魔人となった者たちが好む地域に、発生するものですから、この辺りの冒険者の方には、馴染みがないですよね」

 呑気に若い女が冒険者に呼びかける。

 そして、拘束された縄を解き、促す。

「戦えないのならば、テントの中に避難を」

「っ、どうするんだっ?」

  何とか立ち上がった冒険者の一人が、彼らを庇うように立ちはだかる旅団の面々に、つい呼びかけると、若い男が苦笑いした。

「命令待ち、です」

 そんな会話の間に、獣人は再び奇声を発し、その場から離れる。

 その方向には、一つのテントがあった。

「っ、そういえば、あんたら、女の子は、どうしたっ?」

「それは……」

 はっとした女が答える前に、優しい声が響いた。

「家畜ども、最後の課題だ」

「はっ」

 魔物を前に、旅団の面々の若い五人が、背筋を伸ばして立つ。

 その後ろに立った小柄な男は、そのまま続けた。

「魔石の回収を命じる。ただし」

 優しい声が、少し剣を帯びた。

「怪我は一切、許さないぞ。もし、多少でも手を抜いたら、完治するまで全身麻酔で、痛みを全て奪ってやるからな。出荷も、その分遅らせてやる」

「分かりましたっ。ご主人様っっ」

「よしっ、いけっっ」

 掛け声とともに魔物に飛び掛かる若い五人の背中を見ながら、冒険者たちは先の疑問の答えを見つけていた。

「……ああ、出荷って」

「……子供じゃなかったのか」

 ついつい、深いため息が漏れてしまったが、それが安堵によるものなのか、呆れによるものなのか、判断がつかなかった。


 獣人はすぐに、テントの中の少女に気付いた。

 寝具の上に座る子供を抱えあげ、外に出る。

 そして再び、奇声を発した。

 すると、今度は飛竜が前に降り立つ。

 飛竜の背にまたがって、地面から飛び立った頃、ようやく大小の男が追い付いた。

「ははははっ。残念だったなっ。この娘は貰っていくぞっっ」

 小気味よく笑いながら、獣人は二人を見下ろして捨て台詞を吐くと、抱きしめた少女を見下ろした。

 今度の子供もひ弱そうだが、それがいい。

 ほくそ笑む顔を見上げた子供は、目を細めて首を傾げた。

「……油断、しないほうがいい」

 愛らしい少女の第一声は、それだった。

「まだ、逃げきっていない」

 子供にしては、平坦な声に目を丸くし、獣人は笑う。

「もう、追っては来れない。下手な期待は、空しくなるだけだぞ。諦めて、私の機嫌を取り方を、考えておいた方が、長く生きられるかもしれない」

 余り、期待できないがなと、内心では思いつつの言葉を聞いても、少女の目には恐怖が浮かばなかった。

 いや、恐怖どころか、何の感情も浮かんでいない。

 違和感を覚えた獣人に、少女は言った。

「あの人、剣を扱う人に師事することを趣味にしているきらいがあるんだけど、知り合いを網羅した後、飛び道具にまで興味を持ってしまったんだ」

 そして、その道に走ったものに師事し、極めてしまった。

 それがどうしたと笑う獣人に、少女は微笑んだ。

 吸い込まれそうな黒い瞳と笑顔に、思わず言葉を失くした時、飛竜が突然頭を落とし、高度を落とした。

「っ?」

 何があったと飛竜の頭を見ると、後頭部に槍が生えて、絶命していた。

「はっ?」

「……あの人は、ただ見送ってたんじゃない、射程距離に入るまで、待ってたんだよ。そして、投擲した」

 功を描いた槍が、落ちる先に飛竜の頭が来る頃を見い計らったそれは、正確に命を刈り取った。

「その翼、飾りじゃないなら、地面に激突する前に、使ったらどうだ?」

 平坦に言った少女は、いつの間にか獣人の手を離れていた。

 落ちる飛竜からも離れた少女は、白い獣に捕らわれていた。

 夕日に光る白い翼をはためかせた、白い鷹だ。

「っ、逃がすかっっ」

 獣人は自分の翼を羽ばたかせ、飛竜から離れると、少女の方に手を伸ばした。

 が、突然羽ばたけなくなり、前につんのめる。

「……さっき、言っただろう。その人は元々、剣を極めたんだって」

 背中に鋭い痛みが走って、獣人は悲鳴を上げていた。

 翼を切り落とされて背中から血を吹き出す獣人が、悲鳴を上げながら地面に叩きつけられるのを見下ろしながら、子供は平坦に続けた。

「翼を一刀で両断するのくらい、朝飯前だよ」

 言った少女の前で、小柄な男は獣人の体を蹴りながら、その反動で鷹ごと子供を抱え込み、近くの木のてっぺんに降り立った。


 枝を伝いおりて地面につくと、そのまま獣人が落ちた場所に向かう。

 その道すがら、男の腕から離れた鷹が、その肩に止まる。

「満足、したようで、何よりだな」

「これで生きてれば、溜飲がさがるんだが、どうだろうな」

 そんなことを言いながら、獣人の傍に行くと、血の海に沈んでいた。

 土の上だったから、体の外側の損傷は、命を脅かすには至らなかったようだ。

 だがこれは、獣人にとっては、地獄だろう。

 近づいた男を見上げた獣人は、恐怖を張りつかせた表情で、懇願した。

「た、助けてくれっ。命だけは……っ」

「心配するな。これ以上は、手を出さない」

 その懇願を笑顔で受け、男は答えた。

「ほ、本当か?」

「勿論だ。手を出さなくても、お前は地獄を見ながら、さらに地獄に行ってくれるだろうからな」

 笑う顔を見上げているうちに、その意図に気付いたらしい。

 恐怖で引きつった顔が、さらに血色を失った。

「ま、待ってくれ、まさか、このまま……」

「放置でいいんだろう? 魔獣が蔓延る山で、手負いになるんだから、その覚悟もできているだろう」

「そ、そんなっ。お前、それでも人間かっ?」

 当然の責めにも、男は堪えた様子はない。

 その腕に収まっている少女も、不思議そうに首を傾げた。

「この手の加害者が、こう言いだす場面の時に、いつも不思議なんですけど……」

「何ですか?」

 胸元を見下ろした男に、疑問を投げた。

「何で、同じように懇願したはずの被害者は助けなかったのに、自分は助けてもらえると思ってるんでしょう?」

「頼めば助けてもらえる存在と、勘違いしてるんでしょう。頭がご都合主義なだけです」

「成程」

 最も、この獣人が襲った者たちが、直接助けを求めたことは、なかったんだろうなと男は思う。

 王都にいるときから、この一年、有名な商会の荷馬車が何者かに襲われ商品が届かないことが、問題視されていた。

 王城の報でも、最初は冒険者ギルトと同じ見解だった。

 近くの山の何処かに、盗賊が住み着いているのだろうと、思われていた。

 生存者が、命からがら王都に逃げて来るまで。

 真実を知った王城も、冒険者ギルトも驚いた。

 魔物が関わっている事例も珍しいのに、今回は魔人が関与している。

 しかも、この山に入ってから、小柄な男は方々の山を探り、魔人の狡猾な、かつ卑劣な画策も、察してしまった。

 察してしまったからには、野放しにするつもりはない。

 この世界に来るのはおそらく、これが最後だからこそ、気兼ねなく動いてしまおうと考えたのだった。

「中々に、楽しい野営でした」

 泣きの入った悲鳴を背中で聞きながら、男は肩の鳥をそのままに野営地に向けて歩き出していた。

 そうしながら考えるのは、図らずも介護のノウハウを叩きこむことになった教え子たちの、行動の数々だ。

 怪我をしたら、大小関わらず、意図無自覚にかかわらず、完治まで全身麻酔と言う、一風変わった脅しで、数々の職種の教官たちを悩ませた性癖を、何とか抑え込んだが、余計に歪ませたきらいがあるなと、反省している反面、意外に楽しかったとも思っていた。

 しかも、王都に帰る前に、いい土産も作れた。

 野営中に狩った魔獣の骨皮や、牙などの道具の材料になる素材や、今日の魔物が残す石を売れば、今回研修した生徒たちの所属する商会の、必要経費も賄えることだろう。






 


 

まだまだ、自虐趣味の騎士の話ができそうですが、まずどこまでが自虐癖になるのか、手探り状態なので、話としてまとまらずにおります。


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