第4話:焚き火と異世界の猟師たち
夕暮れ、谷あいの小さな村にたどり着いた東出昌大。
広場の中央では、大きな焚き火が燃えている。
その周りに村人たちと、毛皮のコートを羽織った猟師たちが集まっていた。
「おい、見慣れねぇ顔だな」
「旅の者か、それとも……」
東出は笑みを浮かべ、万能狩猟道具の袋から包みを取り出す。
中には昼間に獲った銀棘魚の干物と、香草を混ぜ込んだ塩。
「これは礼代わりだ。火のそばで炙って食べよう」
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焚き火の輪
猟師の一人が干物を鉄串に刺し、焚き火の炎にかざす。
じゅうっと脂が落ち、香りが広がる。
村の子どもたちが鼻をくんくんと鳴らし、大人たちは興味深そうに東出を見つめた。
「……旨いな、海の魚かと思った」
「いや、川魚だよ。ただちょっとした下処理と、香草を使ってる」
東出は淡々と説明する。
命をいただくこと、その手順、そして無駄にしないという猟師としての信条。
村人たちは黙って聞き入り、やがてそれぞれの狩猟や釣りの話を始めた。
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異世界の猟師たち
焚き火を囲んでいた中には、異世界独自の獲物を追う猟師もいた。
空を飛ぶ鹿「スカイディア」、地下に潜む猪「土喰い王」、そして霧の中でしか現れない魚「ミストフィッシュ」。
彼らは獲物の特徴や狩りのコツを話し合い、東出は興味深そうに耳を傾ける。
「……面白いな。そのうち一緒に狩らせてもらえるか?」
異世界の猟師は頷き、酒を差し出す。
焚き火の火が揺れ、星が瞬く。
そこにいる誰もが、同じ炎の温もりを分け合っていた。
「やっぱり……焚き火はいいな」
東出の声は、炎の音に溶けて夜空に消えた。