第32話:深淵界の群れ ― 異形との初邂逅
蠢く影
赤黒い空の下、東出の前に広がるのは“影”の群れだった。
輪郭は定かでなく、獣とも昆虫ともつかぬ姿。
無数の眼球のような光が、脈動する大地から浮かび上がり、彼を見据えていた。
「……おいおい、歓迎の舞台挨拶ってやつか」
タバコをひと吸いし、狩人の目が鋭く光る。
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群れの襲撃
次の瞬間――群れが一斉に動いた。
爪のような腕、鞭のような尾、口の中からさらに牙を持つ口。
音もなく迫る異形の群れは、まるで大地そのものが牙を剥いたかのようだった。
東出は腰の万能狩猟道具を展開。
形状は瞬時に長弓へ。
放たれた矢は赤黒い空気を裂き、影の群れを一体吹き飛ばす。
しかし倒したはずの影は、大地の脈動に吸い込まれ、再び形を成そうとしていた。
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狩人の勘
「やっぱりな……。ただの物理じゃ通らねぇ」
彼はすぐさま戦法を変える。
狩猟道具を双斧へと変化させ、迫りくる異形の間を縫うように斬り払いながら進む。
斬撃で霧散した個体を、すかさず携帯していた火炎の魔法石で焼き尽くす。
焼かれた異形は呻き声をあげ、ようやく完全に消滅した。
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群れとの死闘
矢、斧、炎、さらには雷撃魔法を織り交ぜながら、東出は群れを相手に立ち回る。
背後から襲いかかる影を振り返りざまに薙ぎ払い、上空から飛びかかる異形には矢を射ち落とす。
それでも群れは途切れない。
十、二十、三十――。
深淵界はまさに“群れによる圧殺”の世界だった。
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東出の声
ついに大地が揺れ、群れが大波のように押し寄せる。
東出は大きく息を吸い込み、叫んだ。
「上等だ! お前ら全員まとめて――
東出昌大様の“肴”になりやがれッ!!」
雷光と炎が交差し、斧の刃が異形を薙ぎ払う。
深淵界での最初の激戦――狩人の真価が問われる瞬間だった。




