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第26話:迷宮最初の試練 ― シャドウ・マンティス

黒樹の迷宮の奥、光苔が淡く照らす通路で、カサカサと不気味な音が響く。

やがて姿を現したのは、漆黒の外殻をまとい、二本の鎌を持つ異形の昆虫――シャドウ・マンティス。

羽音は風を切り裂く刃のように耳を打ち、闇そのものを纏っているかのように見える。


戦闘の開始


東出はゆっくりとタバコを口にくわえ直し、万能狩猟道具を握りしめた。

それは槍に変化し、金属音を響かせながら刃を伸ばす。


「……こいつは一筋縄じゃいかねぇな」


マンティスの鎌が振り下ろされる。

石床がえぐれ、火花が散る。

東出はすんでのところで横に転がり、槍を突き出すが、外殻は硬く弾かれる。


戦術と工夫


マンティスは暗闇を自在に跳び回り、光苔の影を利用して姿を消す。

しかし、東出の目は猟師としての経験で鍛えられていた。

呼吸の音、羽音の揺らぎ――わずかな気配を頼りに、槍を素早く回転させて牽制する。


「隠れても、煙は隠せねぇだろ」


東出はタバコの煙を深く吸い込み、吐き出した。

白煙がゆっくりと漂い、隠れたマンティスの影を浮かび上がらせる。


「……そこかッ!」


槍が閃き、黒い羽を裂いた。


決着


怒り狂ったマンティスが突進してくる。

両鎌が交差し、東出の首を狙う。

一瞬、時が止まったように見えた――が。


東出は万能狩猟道具を斧へと変化させ、真横から力いっぱい振り抜いた。

鋼鉄の一撃が鎌をへし折り、黒い体を壁に叩きつける。

崩れ落ちる怪物の断末魔が迷宮に響き、やがて静寂が戻った。


狩人のルーティン


東出は肩で息をしながらも、戦利品を手際よく解体する。

外殻は道具の素材に、肉は見たことのない赤黒さを帯びている。


焚き火を起こし、肉を串に刺して炙る。

酒をぐいと煽り、タバコをくわえて香りを確認する。


「……クセぇけど、噛めば噛むほど、案外イケるな」


しばらく咀嚼したのち、東出は煙を吐きながら、短く呟いた。


「……うまい!」


迷宮の闇の中、焚き火と白煙だけが小さく揺れていた。

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