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第23話:森の王を喰らう
キングエイプは肩を貫かれながらも、なお巨腕を振り上げた。
東出昌大は一歩も退かず、槍を低く構える。
「……これで終わりだ」
巨腕が振り下ろされる瞬間、東出は地面を滑るように踏み込み、心臓めがけて槍を突き立てた。
金属と骨がぶつかる音。
キングエイプの咆哮が森に轟き、やがてその巨体は土煙を上げて倒れ込んだ。
静寂――森に再び、鳥の声が戻った。
焚き火の料理
日が沈み、森の開けた場所に焚き火の炎が上がる。
東出はキングエイプの肉を切り出し、筋を丁寧に取り除いた。
万能狩猟道具を石板に変え、肉を厚切りのまま並べる。
香草と塩だけで下味をつけ、じゅうっと焼き上がる音。
脂の甘い香りが、湿ったジャングルの夜に広がった。
タバコに火をつけ、煙を吐き出しながら酒を一口。
やがて肉を口に運び――しばし無言で焚き火を見つめた。
「……うまい!」
間を置き、笑みを浮かべる。
「……うまい!」
その一言に、村からついてきた猟師たちも笑い、杯を掲げた。
森の王を喰らうことで、恐怖は祝宴へと変わっていった。
焚き火の炎が高く燃え上がり、森の奥に潜む次なる気配を静かに照らしていた。




