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第1話:荒野の猪王

異世界の果て――見渡す限りの荒野に、一本の細い川が流れていた。

東出昌大は、背中に万能狩猟道具を背負い、土を踏みしめて歩く。

風に混じって、獣の匂いが漂ってきた。


「……この匂い、イノシシに似てるな」


草むらを抜けた先、そこにいたのは体長3メートルを超える巨大な猪モンスター――荒野の猪王。

獰猛な目つき、牙には乾いた血がこびりついている。

東出は一歩踏み込み、万能狩猟道具を長槍の形に変える。


獣が突進してくる。

乾いた地面を蹴る音、砂塵、息の匂い。

東出は冷静に間合いを測り、槍の穂先を低く構えた。


瞬間、金属が肉を裂く音――。

猪王がよろめき、地面に崩れ落ちる。


東出は槍を置き、すぐに首元を押さえて血抜きを始める。

彼の表情は真剣そのものだ。


「苦しませたくはないからな。……いただきます」


荒野の川辺に移動し、内臓を丁寧に取り出して渓流で冷やす。

万能狩猟道具を包丁に変え、脂の乗った背肉を切り分ける。



異世界流・猪王ステーキ


万能狩猟道具を鉄板モードに変え、川辺で焚き火を起こす。

異世界通販システムで取り寄せた岩塩と黒胡椒をまぶし、分厚い肉をじゅうじゅうと焼く。

滴る脂が火に落ち、香ばしい煙が立ち上る。


「うん、イノシシよりも甘みが強いな。……これは赤ワインが欲しくなる」


通販システムでワインを注文し、焚き火の横で肉と一緒に神への供物として皿に盛る。

空から柔らかな光が降り、肉がひと皿、ふっと消えた。

神が笑っているような気がした。


東出は自分の分をかじりながら、川の流れを眺める。


「……悪くない。さて、次は魚でも狙うか」


こうして、異世界での初めての狩りと料理は、静かに幕を閉じた。

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