第18話:沈みし都市の門
霧海を抜けた先、海は静かに凪いでいた。
海図に記されていた螺旋の紋様――その中心に、黒々とした渦が浮かんでいる。
船を近づけると、海底からぼんやりと灯りが立ち昇っていた。
「……水の下に、何かあるな」
東出昌大は万能狩猟道具を潜水用の槍に変え、漁師たちに合図を送る。
ロープを腰に結び、深い蒼の中へと飛び込んだ。
海底の光景
潜っていくにつれ、岩肌の間に巨大な石柱が立ち並ぶのが見えてきた。
柱には異世界の古代文字が刻まれ、淡い青光が走る。
さらに深く潜ると、海底都市が姿を現した。
崩れかけた神殿、苔に覆われた石畳、そして魚群が泳ぎ回る回廊。
「……文明の跡か」
東出は槍を片手に、瓦礫の間を進む。
壁に描かれた紋様は、かつて神と人が交わった儀式を示しているようだった。
封じられた祭壇
都市の中心部に、巨大な祭壇があった。
そこには石板が並び、円環を描くように配置されている。
近づいた瞬間、石板が淡く光り、声が響いた。
「ここに眠るは“深淵の門”。真の狩人よ、門を開け」
東出は眉をひそめ、タバコを取り出す。
水中では火を点けられないことに気づき、苦笑しながら石板を撫でた。
上がる決意
浮上した東出は、船上に戻ると焚き火に火を起こし、濡れた体を温める。
干し肉を炙り、酒を一口。
波音を聞きながら、しばし沈黙――そして、笑う。
「……うまい!」
漁師たちに海底都市の光景を語ると、全員が息を呑んだ。
東出の心には、ただ一つの決意があった。
「次は、あの“深淵の門”を開ける」
夜の霧海に、静かに焚き火の煙が昇っていった。




