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第13話:星と波と焚き火の味
タイダルレヴィアタンとの死闘から数時間後。
帆船は静かな入り江に停泊し、漁師たちは甲板に簡易の焚き火台を設置していた。
波の音と、船体を叩く水音が夜のリズムを作る。
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船上の台所
東出昌大は、レヴィアタンの背びれ近くの赤身を丁寧に切り分ける。
万能狩猟道具を厚手の鉄板に変え、焚き火の上に置く。
塩と胡椒を振り、表面を焼き固めると、海獣特有の香ばしい匂いが甲板に満ちた。
焚き火の炎が肉を照らし、油がじゅうっと音を立てる。
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タバコと酒
焼き上がるまでの間、東出はポケットからタバコを取り出し火をつける。
煙を吸い込み、夜空へとゆっくり吐き出す。
横の木のカップには、漁師たちが分けてくれた海藻酒。
塩気と旨味が効いた酒が、戦いで乾いた喉を潤す。
「……こういう時間のために、狩りをしてる気がするな」
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「……うまい!」
肉を皿に移し、一切れを口に運ぶ。
噛むたびに濃厚な旨みが広がり、海の香りと焚き火の煙が鼻を抜ける。
しばし無言で波の音を聞き――そして笑う。
「……うまい!」
漁師たちも頷き、各々の酒を掲げる。
甲板の上で焚き火を囲み、笑い声が夜の海に溶けていった。




