なりたい自分となった自分
なんとか期間そんなに開かずに投稿出来たァ!!
一次創作苦手ぇ!!でも頑張る!
どんどん書いていきますのでお楽しみに
ちょっとBL味!!注意です!!!!
それでは本編どーぞー!!!
ヘアーサロンにたどり着き、ヴォルフが扉を開くと、長く赤茶色の髪を、いわゆるサイドポニーで結んだ女性が此方を見て話しかけてきた。
「いらっしゃい……ってありゃ?ヴォルフじゃん!」
「やっほー姉ちゃん!お客さん連れてきたよ〜!」
え!?ヴォルフのお姉さん!?兄弟いたんだ!そう驚いているとヴォルフとお姉さんの会話は進んでいっている。なんか家に全然顔出さないから云々とかお見合いが何とかかんとか……どうしよう?なんてヴォルフの背中を見つめながら戸惑っていたらお姉さんと目が合って、お互いあっ、となった。
「あっ!?ごめんなさいね!弟と同じ騎士団の方ですか?弟がお世話になってますー。姉のシェルクですー。」
お姉さん……シェルクが僕に向かってお辞儀をしながら、にこやかに挨拶してくれた。僕まで笑顔になりそうな程眩しい笑顔だ。それにヴォルフもだけどすごくグイグイくる。
「騎士団……では無いんですけど、先日から騎士団でお世話になってます。ユウキです。」
「ユウキね!よろしく〜!」
シェルクにつられて、にこやかに笑いながら、僕も自己紹介をした。
ちなみに先日聞いた話だけど、この世界、ファミリーネームを持っている人はそんなにいないらしい。ファミリーネームを持っている人は過去に偉業を成し遂げた人の一族とか土地の領主くらいだ、と聞いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「じゃあ、私が担当するからね。こっちどうぞ!」
そう言ってシェルクに案内されたのは、向こうの理髪店とそう変わらない、鏡と椅子。椅子は木製の何処にでもありそうな椅子だ。
僕が椅子に座ると足元に魔法陣が浮かび、輝いた。
「わっ!?なに?なにぃ!?」
「フフフーン♪大丈夫大丈夫!この魔法陣はユウキくんの理想、なりたい姿を映してくれるだけだから〜」
そんな魔法まであるの!?便利だなぁ……
そんな事考えている僕を横目にシェルクは眼鏡をかける。なんで眼鏡……ってハテナを浮かべていると近くで見ていたヴォルフが笑いながら、眼鏡を通して視る魔法なんだ、って教えてくれた。
少ししてシェルクが眼鏡を外し、櫛を片手に僕の髪を撫でた。
「……うん。理想はわかった!そんじゃ髪、伸ばしちゃおっか!」
そう言うとシェルクは何かを唱えながら櫛で僕の髪を梳いていく。するとなんという事だろう。短い上に刈り上げられていた髪の毛が、みるみる内に伸び始めていった。そして、あっという間に肩にかかるくらいのセミロングヘアーに成長?した。
「すご……どうなってんの……」
「すごいでしょ!?この櫛には魔石が付けられていて、これに魔力を通して髪を伸ばせるのよ!」
「魔石……そんなものもあるんだぁ……」
そんな風に驚いているとシェルクがそれともうひとつ、と付け加えてきた。
「髪の色も変えることができるんだけど、どうする?」
「そしたら、緑にしたいです!」
そう言うとシェルクはりょーかいっと言って櫛を再び髪に通すと黒かった髪が翡翠のような緑へと変わっていった。やっぱり魔法ってすごいなぁ!!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
髪を伸ばす魔法と髪色を変える魔法に感嘆しているとシェルクがそうだ!と言って何処かへ消えていった。なんだろうか?
そんな感じで首を傾げるとさっきまで黙っていたヴォルフが話しかけてくれた。
「姉ちゃんがゴメンな〜!にしても……」
そう言ってヴォルフは僕をジロジロ見てくる。何か変なところあったかな……まさか!
「どっか髪の毛抜けてハゲてる!?それとも色変わってない所あるとか!?」
「え!?いやそんな事ないですよ!!むしろかゴヘッ!?」
焦って聞く僕にヴォルフが何か言おうとしたけど、シェルクに邪魔と言わんばかりにゲンコツを落とされて沈んだ。シェルクの手には目薬のようなボトルが握られている。
「ゴメンね〜お待たせ〜。これ使おっかな〜って思って。」
「痛てぇな〜姉ちゃん……その薬なに?」
「ユウキくんの危機かなと思って。これは目の色を変える事の出来る薬。目に差すだけで後は思った通りに色が変わる……らしいのよね。」
らしいって……。大丈夫なの?それ……
そんな視線をシェルクに送っていると、シェルクは苦笑いで、だから、と続けた。
「これは試供品……って感じで貰ってくれない?薬の効果は7日間らしいから、定期的に注す必要があるし、是非とも感想を聞かせて欲しいわ。」
試供品……とは言うものの、まだ誰も試してないらしいソレを渡され、まぁ、試しにやってみるか、の感覚で自分の目に差した。
そして、こんな色にしたい……って頭の中で思い描く。そして目を開き鏡を見る。するのそこには空色の瞳と翡翠の髪を持った人……新しい自分がいた。
「わぁっ……すっごい綺麗……」
「わぉ!めっちゃ可愛いじゃん!」
「……可愛い……」
シェルクは変化した僕を可愛い可愛いと褒め倒し、ヴォルフは……なんか顔赤くして固まってしまった。なんだろうか?満足した僕はシェルクに代金を支払い(金貨10枚らしい)ヘアーサロンを後にし、服屋へと戻った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
服屋に戻ると今度は着たい服のイメージがついて、本当にあっという間に服を何着か選んだ。ショートパンツにTシャツ、そしてフードの付いたローブやパーカーを数点買って(その場で着替えた)お店を後にした。
昔は我慢しなくちゃいけないと思っていた格好、でも今は好きに着て、街に出て。こんな事ですごいドキドキして、すごく楽しくって……
うん、決めた。この世界にいる間だけでも、自分の好きな格好で居たい。可愛いを諦めずに居たい。可愛いものの為に頑張ろう。そう決めた。
たしか元の世界では女の子の格好をした男の子をおとこの娘と呼んでたはず……なら、僕もおとこの娘になりたい!もっともっと頑張っておとこの娘になる!
やっっっっと、おとこの娘に出来ました!
ヴォルフくんは惚れっぽいんですねー(棒)
ヘアーサロンはシェルクさんが店長です。
シェルクさんがメインで対応していたのは弟が連れてきた他に騎士団が関わってるから念の為、みたいなところもあります。