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プロローグ.乙女ゲームの悪役王女に転生した小説のヒロインに転生した

数ある作品の中からこの作品を見つけてくださり

本当にありがとうございます!!

初投稿作品になります。

読んでいただけたら嬉しいです。

 私は転生者だ。


 乙女ゲームの悪役王女に転生した小説のヒロインに転生した。


 意味がわからない?

 じゃあ逆から説明するね。


 私が転生したのは、前世で読んでいた小説のヒロイン。

 その小説の主人公は、乙女ゲームの悪役王女に転生した。

 ってコト。

 まだややこしい? ややこしいよね、ごめん。

 じゃあ、もう少し詳しく説明してみるね。

 長くなるけど、読んでもらえたら嬉しいです。


 私の名前はアンニーナ・レガノレイラ。

 前世は日本人で、前世で読んでいた小説の世界に転生した。

 どうして転生したのか、の前に、前世で読んでいた小説の内容について説明したい。

 前世で読んでいた小説『乙女ゲームのラスボス的悪役王女に転生しましたが、禁術には手を出さないようにします(通称、あくじゅつ)』のあらすじはこうだ。


 小説の主人公「サナ王女」が、ある出来事をきっかけに、前世の記憶を思い出す。


 前世は日本人で、乙女ゲーム『君をひとりにしないための逆行物語(通称、君逆)』をプレイしていたこと。

 今世の自分が、『君逆』の登場人物で、ヒロインの恋のライバルである「悪役王女」であること。

 乙女ゲームのストーリーでは、サナ王女の婚約者はヒロインと恋に落ち、サナ王女は婚約破棄されてしまうこと。

 婚約破棄されたサナ王女は、嫉妬に狂って禁術に手を出し、呪われた力を手に入れて、ヒロインを殺そうとすること。

 ヒロイン達は国の平和のために、魔物討伐のパーティーを組んでいて、サナ王女は最期、ヒロイン達のパーティーに討伐されてしまうこと……。

 

 サナ王女は乙女ゲームのストーリー通りの人生を辿ると、婚約破棄され悲惨な最期を迎えることになる。


 そんなサナ王女に転生した主人公はというと、


「まぁ婚約破棄で済めば大丈夫でしょう。禁術に手を出しさえしなければ」


 わりと楽観的だった。


 また、婚約破棄の回避は早々に諦めていた。

 乙女ゲームでは、婚約者は悲劇で母親を亡くしており、それによる心の傷を癒すのが、ヒロインだった。

 ヒロインと婚約者の仲が進展しないようにして婚約破棄を回避するなら、この悲劇を防ぐのがまず一番効果的であろう。

 ところが、そもそも主人公が前世を思い出すきっかけとなったのが、婚約者の母親の訃報だったのだ。

 前世の記憶というアドバンテージがあるにも関わらず、一番大きな転換点でストーリーに介入できなかった時点で、婚約破棄の回避は諦めていた。


「それに、人の恋路の邪魔はしたくないし」


 そして自分の恋路はそっちのけであった。

 

「でも、もう少し早く、思い出していたら……。お優しい方だったのに……」


 乙女ゲームの通りになってしまうことには楽観的だったが、婚約者の母親を救えなかったことは嘆いていた。

 思い出すきっかけとなったのが、婚約者の母親の訃報だったのだから仕様がないのだが、主人公は、思い出すのが一足遅かった自分を責めた。


 悪役に転生してしまったにもかかわらず、自分のことより誰かのことを考えているところが主人公の良いところであり、小説の魅力でもあった。

 乙女ゲームでは、攻略対象達が皆それぞれ悩みや悲しい過去、悲劇を経験しており、その心の傷を癒すことでヒロインと親密になっていく。

 サナ王女の婚約者以外の攻略対象も、同様に悲劇や悩みがあるのだが、主人公はこれを見過ごせなかった。

 婚約者の悲劇には活用できなかったが、他の攻略対象に対しては、乙女ゲームの知識を活用して悲劇を回避していった。

 また、母親を失った婚約者に対しても、優しく寄り添い、心の傷を癒していった。


 そうして主人公は、ヒロインが現れる前に攻略対象の悲劇を回避し、攻略対象達と親密になり、乙女ゲームのシナリオと大幅に異なる状況で、乙女ゲームのオープニングである「魔法学園の入学式」を迎えた。

 魔法学園でヒロインと出会い、攻略対象たちとの関係はどのようになるのか? ヒロインはどんな子なのか? 仲良くなるのか? 敵対するのか?

 ヒロイン登場への期待が高まっていたところで、まさかの展開になった。

 魔法学園にヒロインが入学しなかったのである。


 恐ろしいことに、この一番続きが気になるタイミングで、小説の続きが更新されなくなった。


 ここまでが、私が前世で読んでいた小説の内容だ。

 ややこしいと思うが、私は前世で乙女ゲームをプレイしていたわけではない。


 前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役に転生した人が主人公の小説に転生したのである。


 ややこしい。

 物語の中に転生する時点でまずややこしいのに、物語の中に転生する物語の中に転生してしまった。転生のマトリョーシカ状態である。


 この世界はどうやらループしていて、ループする度にプレイヤー(主人公)が代わっているようだ。

 乙女ゲームのストーリーが、ループの「一巡目」。

 乙女ゲームの悪役に転生した小説が、ループの「二巡目」。

 そして、乙女ゲームの悪役に転生した小説に転生した今の私が、ループの「三巡目」だ。


 この世界が、どうしてループしているのかはわからない。

 おそらく何か原因があって、それを解決しないと時が進められず、逆行してしまうのだろう。

 しかしその原因がわからなかった。

 また、どうして私が今ループのプレイヤーとなったのかも謎である。


 そもそもどうして転生したのかもわからない。

 なぜなら私、死んでいないはずなのである。

 

 前世の最後の記憶は、自分の部屋のベッドで寝転んで、スマホで小説を読んでいた。

 そう、まさに、先ほど説明した小説『乙女ゲームのラスボス的悪役王女に転生しましたが、禁術には手を出さないようにします』だ。この世界の小説を読んでいた。

 気になりすぎるところで話がおわり、長いこと更新が止まっていたのだが、突然、


 「☓月☓日0:00に、最新話を更新します」


 と、作者さんのSNSでお知らせがあったのだ。

 奇しくもその日は私の十八歳の誕生日だった。

 誕生日に大好きな小説の更新があるなんて、最高すぎる! 最高の誕生日の幕開けが確定した! もはや誕生日プレゼント!

 と、わくわくしながらその小説を読み返して日付が変わるのを待っていた。

 そして日付が変わり、小説が更新された瞬間だった。

 スマホの画面が真っ白になった。

 その白が画面を飛び出し、部屋全体も真っ白になった。

 自分の手足も、体も、その白に包まれて何も見えなくなって、だんだんと意識を失っていた。


 そうして気がついたときには、この世界で赤ちゃんになって誕生していたのである。


 最初は夢だと思っていた。小説の更新を待つ間に寝落ちしてしまったのだろうと。

 周りの人たちは魔法を使っていて、火を出したり、水を出したり、物を浮かせたり、現実とは信じられない光景ばかり見ていたわけだし。

 しかし、赤ちゃんの体で何度も寝て起きたが元の体に戻っていることはなく、転生が夢ではなく現実であると受け入れるしかなくなった。


 受け入れても納得はできなかった。

 前世で死んでしまって、次の生で異世界に転生したならまだ納得できたかもしれない。

 でも前世で死んでいないのだ。

 もし前世死んでいたとしたら、死んだのは自宅ということになる。

 何が原因で、自宅で死んでしまったのだろうか。火事? 地震? 家に突然強盗が入って殺された?

 部屋には一人きりでいたが、同じ家には家族もいた。


 家族は無事だろうか。それが不安でもあった。


 最後に覚えているのは、小説を読もうとしたときにスマホから発せられた、あの白い光だ。

 あれが私の魂を異世界に連れてきたのだとすれば、この転生を意図した「神的ななにか」に、私が召喚された、とも考えられる。そうであれば、前世の家族は無事と言えるだろうか。

 いや、家族も一緒に異世界に来ている可能性もあるかもしれない。


 仮に家族は無事だったとしても……自室のベッドで突然死んだ私を見て、どんな気持ちになるだろう。


 あの日は私の誕生日という特別な日で、でも普通の平日でもあって、お父さんは会社へ行くし、お母さんはお昼からパートに行くし、弟も私も学校で、私は学校で友達に誕生日をお祝いしてもらえたかもしれなくて、学校が終わって家に帰ったら、家族で誕生日ケーキを食べるはずで。

 ありきたりだけど、少しだけ特別な日。

 そんな日の始まりが、ベッドに横たわる私の死体だったら。

 登校してくるはずのクラスメイトが、学校に来ないと思ったら、突然自宅で死んでいた、なんて聞かされたら。みんな、どんな気持ちになるだろう。私の周りの、大切な人たちの日常が、壊されてしまったんじゃないだろうか。


 理由も死因もわからず転生して、こんな理不尽なことはない。


 転生の理由が知りたい。前世の家族の安否が知りたい。


 赤ちゃんの体に転生して、手足も自由に動かせず、ただただ思案を巡らせて、不安になって、そうして切に思った。

 しかし、転生の理由も、前世の状況も、何も知ることができないまま、異世界で生活して成長していった。

 この世界が、前世で読んでいた小説の世界であること、自分が小説で未登場だったヒロインであることに気がついたのは、五歳になってからだった。



ここまでお読みいただき本当にありがとうございます!!


楽しんで読んで頂けるよう精一杯続きを書いていきたいと思いますので、なにとぞよろしくお願いいたします!!

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