7:倉庫(3)
装備が潤い、あと必要なのは情報くらいだろう。さらなる情報を求めて見つけた死体を調べることにした。服を探すために多くの段ボール箱を開いてはそのままにしていたから足場が悪い。数々の段ボール箱を乗り越えて死体のそばに行く。
「頼むから動いたりしないで欲しいな~・・・」
この館には化け物がいるから死体が動いてもおかしくはない。死体があった棚のそばについた。さっき見たときは手くらいしか見えてなかったので、ランプをさらに近づける。ランプの光が床と棚板の暗闇を照らす。そこには仰向けで死んでいる死体があった。
動かないかの確認のために、手前にある右手を触る。手がものすごくかたくて冷たい、指を動かそうとしても関節が曲がらない、めっちゃ固い。手がこんなに硬いんだから動かないだろうし、本当に死んでいて死後硬直が始まってから結構経っているんだろう。動かないことを確認して、死体の姿を確認する。服装は茶色の、探検家のような恰好をしていた。
「探検家がなんでこんなところで死んでいるんだろ?」
純粋に疑問が出た。前に窓を覗いたとき森があったし、森を探検しているときに廃墟になった館を発見して、ここに入ったのはわかる。でも入れたということは玄関の扉が開いていたということで、やばそうなら出られたはずだ。
「化け物に襲われたのか・・・?」
ランプをさらに死体に近づけて体全体を確認する。化け物に襲われて死んだと思ったが、死ぬほどの大きな傷はぱっと見見えなかった。医学的な知識がないから小さな傷でも死に至るものがあるかもしれないが、刺されたっぽい傷もないし、打撃で内臓がグチャグチャにされて死んだんだろうか。素人の私には何もわからなかった。
外傷を調べていると死体の左手に何か握っているのがうっすらと見えた。
「ちょっと失礼しますね~」
死体の胴体を四つん這いで跨いで、死体の左手に移動する。ランプを近づけると、左手に握られていたのはスマホサイズの手帳だった。
「手帳見させていただきますよ~・・・」
冒険家が最後まで握っていた手帳、それを左手から取ろうとする。
「と、取れない」
四つ這いになっているせいか取りにくい。3本でも姿勢が安定する姿勢をとって再度取りに行く。
「ん、くぅ・・・へあぁ!」
なかなか取れないものを取るときは、なぜか変な声が出てしまうというものだ。小声で言ったからまあ、大丈夫でしょ。とにかく、手帳をぐりぐりしてなんとか取ることができた。死体の隣で手帳を読むのはなんだか気が乗らないので、非常食が入った段ボール箱の近くに移動する。
「さてさて、何が書いてあるかな」
探検家だと思うからこの館をたくさん探索して、有用な情報が多く書かれているだろう。そうであってくれ。死んでいるが、この館で目覚めてから初めて発見した人だ。私より先にここを探索していた人だから自然と期待が高まる。手帳を開いて読む。