5:倉庫(1)
1階の倉庫がある廊下の扉を開け、進んでいく。あの化け物が音に反応すると分かった今、音をあまり出さずに動けばこの廊下で奴と会っても素通りできるだろう。フッ・・・攻略法、確立したり!という感じだ。しかし、裸足で行動しているので気を付けていないとペタペタ音が鳴ってしまう。慎重につま先から床につけることを意識して歩く。抜き足、差し足、忍び足~。無理に気持ちを高める。そうでもしないと、不安や怖い思い出に押しつぶされて気力を失うと思うから。
忍んで歩いていると、扉が見えてくる。倉庫の扉だ。この倉庫の中を知るためにランプを取りに行ったといっても過言じゃないから、自然と期待が高まる。きっと、ここから脱出するための鍵や化け物を倒すための武器だったり、はたまたチートアイテムとかが出てくるんじゃないだろうか。
「でもRPGだと倉庫の中を探索しても良いアイテムは見つからないんだよなぁ・・・さあ、何が見つかるかな」
期待6割、中に化け物がいたらどうしようという心配と恐怖が2割づつで扉を開ける。
「うん、やっぱここは真っ暗だな~。でも、今の私にはこれがある。」
ポケットから救世主を取り出す。火がつくか分からないが、動画で見たつけ方を思い出して試してみる。
「ここを・・・こうして、こうすれば・・・!」
お願い、ついて。夜帰るのが遅れて外にいる子供が、自分の家を探すように祈る。動画で見た手順を試すと、あたりが柔らかい暖色に照らされる。よく知った道についた安心感がある。部屋が照らされたことによって内装がよく見える。
重そうな段ボール箱が置かれており、棚にも段ボール箱が積まれている。でも、乱雑に置かれているのではなく。ちゃんと人が奥に入っていけるように通路ができており、整理整頓されている。
「何かないかな~」
手がかりを求めて倉庫の中をとりあえず歩く。広い部屋ではないのでどこに何があるか、ランプを持った今、確認することは容易い。キョロキョロしながら倉庫の奥に行ったが、やっぱり段ボール箱だらけだった。本当に見た感じ段ボール箱以外に何かあるわけでもなかった。でも、一つ良いことが分かった、この部屋には化け物がいないということだ。よし。
「ん~、やっぱり段ボールを探っていくしかないか。」
段ボール箱たちに目をやる。数が多い。段ボール箱を開いて探っていくのはいいんだが、こうも数十個もあると骨が折れる。でもチートアイテムとかあるかもしれないので探っていく。
「うっし!やるぞお!」
両手を挙げてガッツポーズをとる。気合は十分。脱出するために探索をすると決めたんだ、今更けだるくなっている場合ではない。頑張るぞ、私!
段ボール箱を調べていくといってもこんだけ数があるんだ。どれから調べていくのかも迷う。せっかく倉庫の奥の方にいるんだし、近くの段ボールから調べていく。適当な段ボールを開ける。
「紙?」
段ボール箱の中身は多くの紙だった。しかし、白紙という訳ではなく何か書かれている。紙はホチキス止めされており、その紙束が何個も段ボールにある。一番前にあったものを手に取って読んでみる。
「自分と他者が見た夢の共通事象・記憶・・・?たまにある友達とか家族と同じ夢を見たっていうあれかな?」
タイトルを見ただけではあまり理解ができない。まあ、タイトル読んだだけで理解出来たら苦労しないからね、とりあえず読んでみよう。
<自分と他者が見た夢の共通事象・記憶>
ある日、館に住んでいる友人から、連絡がきた。連絡は、『最近自分の家族と同じ夢を見ることが数日間続いて、さらには夢の中で娘や嫁と会ったことを本人たちに話してみたら、どうやら本人たちも会っているらしい。夢の中での時間帯もあっていて、流石におかしいから調べて、あとできたら解決してくれ』という内容だった。
大学で夢について研究していた私は、その興味深い話を受けて直接友人の館に行き、調べた。本人たちから何が起こったかを聞いたり、脳波を調べたりした。話を聞いてみると確かに夢の中であったり体験したことは矛盾は見つからず、なんなら夢の中でも日常を送っているように感じる。それにしても、気のせいかもしれないが、友人が前会った時よりも元気がなかったように感じた。仕事が忙しいのだろうか。
気を取り直して、こういう体験はどこかで読んだことがある。確か、シンクロニティだったか、夢は自分たちに現れるものと考えて『何らかの共有空間』を知覚しあっているとかだった気がする。より専門の機械を私は持っていないので、大学で学んでいた時の研究室の教授にデータを送って調べてもらい。私は一旦自分の家に帰った。
数日後、教授からメールが来たがどうも分からないし、自分の研究で忙しくて調べている余裕はないらしい。そこからまたメールが届いた。教授曰く、共有空間の考えは科学的証拠がないらしく、もう少し調べてみたが分からないから「科学的に分からないならオカルトから攻めれば良いじゃない」という格言の元、教授の友達の霊媒師・レムが紹介された。
教授曰く、レムさんは各地を旅する霊媒師のようで、元はオカルトについて研究していた人らしい。正直言うとめちゃくちゃ怪しく感じている。霊媒師の時点でまず怪しい・・・。教授騙されてるんじゃないか?なんか利用されてたりしないだろうか。心配になる。でも今はその人にやってもらうしかないし会いに行こう。
〇月△日、(自分の中で)噂のレムと待ち合わせをしているため、会いに行った。待ち合わせ場所に行くと、明らか胡散臭い服装をした人がいた。きっとあの人がレムという霊媒師だろう。話しかけてみると、やはりレムさんだった。挨拶をして友人の元へ向かう。
館についた私たちは、応接室に通された。友人と友人の家族にレムさんを紹介したが、案の定めっちゃ怪しんでいた。事前にメッセージで友人に起こったことをレムさんに言っていたため、さっそく診察というか、調査が行われた。
今回の調査のやり方は基本レムさんに任せているため、自分は見ているだけだ。彼女の調査の仕方は、霊媒師らしく人の頭に手をかざして記憶か何かを読み取っていた。友人たちの頭に手をかざし終えると、何やら確信した様子で背負っていたバッグからお守りを出してきた。話を聞いてみるとお守りの中にはバクの皮があって、そのおかしな夢を解決してくれるらしい。
正直怪しいが、それで解決されるに越したことはないので1週間くらい様子を見てみる。友人と友人の家族の話を聞いていると、1~2日目ではそんなに変化はないが、3~5日目くらいで段々とあのおかしい夢を見ることはなくなっていき、6~7日目はおかしな夢を見ることがなくなった。その結果を聞いてレムさんは勝ち誇ったような顔をしていた。
その後も変化はないか聞いていたが、変化はなく、変な夢を見ていないらしい。あのお守りは本当に効果があったのか。オカルトでも効くことあるんだな~。
・・・
題名が固くて論文だと思って読んでみたけど日記みたいな感じだったな。