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夢中の館  作者: 秋絽
4/19

4:探索(2)

 探索するとしてもこの館の内装とかは当然分からないので、私の向かい側にある扉、玄関から見て私が左の奥の方にいたら、右奥にある扉を開く。扉を開くと、古びた廊下だが特に変なところはないし(化け物)もいない。古びた廊下を歩いていく。


「やっぱり暗いなぁ・・・スマホとか持ってないかな」


 薄暗いといってもやっぱり光が欲しい、怖い。ポケットにスマホがないかを確認する。着ている服のポケットというポケットを探る。・・・やばい、どこにもない。

 というか私パジャマ姿じゃん。寝るときはスマホをポケットに入れたりいじったりしないから持っていないのは必然だった。


「マジかぁ・・・ずっとこの暗い中を進んでいかなきゃいけないのか」


 少し憂鬱になってきたがここを脱出するためには進むしかない。暗い廊下を進んでいく。途中、窓があるおかげか進んでいくごとに真っ暗になることはなかった。

 外の様子が気になって窓をのぞいてみたが、ぼんやりと森が見える感じだった。私の視力はBでそんなに視力は悪くないはずだけど、寝て起きたら突然悪くなったのかな?いや、冷静に考えてそんなわけがない。森がぼんやりと見えるのは気になるけど一旦考えないようにして進んでいく。


「それにしても化け物に全然会わないな~、良いことだけど!」


 トラウマを植え付けられて、警戒しながら歩いていると、化け物に全然出会わないのに段々違和感を感じる。化け物の数はそんなにいないのかな。一匹しか見てないけど。それか単にここを回ってきていないとか?

 そんなことを考えていると扉が見えてきた。手掛かりがありそうだから、奴を一応警戒して慎重に扉を開ける。・・・扉の近くにはいないみたいだ。だが部屋の中は光が届いていないのか真っ暗だ。


「くっらぁ・・・」


 目を凝らしてみてみると倉庫みたいな感じだ。重そうな段ボールが地面に置いてあったり、棚?なのかな、とりあえず棚の上にも物が置いてあるっぽい。さすがに真っ暗闇な部屋で何かないかを探したら、うっかり棚に頭ぶつけて怪我しそうだし、ここを探索するのは一旦あきらめよう。館なんだし、光源になるものは見つかるだろう。

 倉庫の扉を閉めて、考える。この先、また部屋を見つけても真っ暗でろくに探索できなさそうだし、一回戻って光源を探しに行こう。一回進んだ道を戻るのは名残惜しいが、光源をゲットするという目的ができたので戻る。


「そういえば私が起きた部屋はぁ・・・天井にある照明で部屋が明るかったな」


 さすがに照明を持って行ったって電源がないと光らないし、そもそもめっちゃ重そうだから持っていくのはやめよう、うん。懐中電灯があったら楽だよね~。せめてランプとかライターとかあると良いんだが。


 そうこう考えていると、エントランスホールに戻ってきた。エントランスホールを観察すると私のいる廊下の扉以外に四隅には2階に上がるための階段がある。そして、その階段の間に両扉があり、玄関から見て私がいる右側に両扉が2つ、左側に両扉が1つあるという感じだ。つまり、扉の向こうが通路だとしたら玄関から見て左側に通路が1つ、右側に2つある。

 エントランスホールにある扉を開けてみると扉の先には全て廊下があった。おぅ・・・。これはぁ・・・廊下を進んで部屋を見つけたとしても暗すぎて探索できないやつじゃないか?そんな感じがしたので2階の部屋を探索しようと思いをはせる。

 中央が吹き抜けているためエントランスホールから化け物が階段の近くにいるかどうかとかが分かる。なので、一旦2階に上がる前に見える範囲で2階を観察する。2階は、洋館でよく見るエントランスホール真ん中の階段から壁に沿って廊下があり、四隅に階段があって玄関から見て左右の壁に、階段の間に3部屋づつある。


 そんなこんなでなんとなく見ていると、2階に影が見えた。化け物だろうか・・・とりあえず見つかりたくないし、影がどこに行ったか分かるように身をひそめる。影の動向を見ていると部屋とかを開けずに奥に消えていった。


「フゥ・・・行ったか」


 2階は部屋をあさるだけなら安心かな。近くの階段を抜き足差し足で上がって2階に行く。近くに誰かが来る前にさっさと近くの部屋にそっと入る。


「いやぁ化け物のこと、キモイ以外分からないから何したら気づかれるとかわからないな~」


 そんなことを言いながら部屋を見る。照明がついているからかどんな部屋かわかりやすい。小さなエレベーターがあって、木の箱や段ボールが置かれている。どうやらここは2階に荷物が運ばれる倉庫のようだ。


「ここなら探せば懐中電灯とか、なんか見つかるかも!」


 胸が高まる。早速探す。段ボールとか木の箱が多くて時間がかかりそうだが、今は闇を照らす光が欲しい。夢中で探す。さあさあこいこい懐中電灯!私の恐怖心を和らげてくれぇ。


「あった、光!」


 ランプを見つけた。できれば使ったことのある懐中電灯が見つかってほしかったが、ランプも十分照らしてくれるだろう。ランプとか使ったことないが、動画で使ってるところを見たことあるから使えるはず・・・多分。他にめぼしいものがないか探していると、1冊の冒険譚があった。


「レムの冒険譚・上?」


 一体どんな冒険譚なのか気になるが読むのは後にして、とりあえず持っておこう。あらかた探索したし、ランプも発見したし、さっき発見した1階の倉庫に行こう。


ーキィッ


 あまり大きい音が出ないように勢いよく扉を開ける。・・・おかしいな、エントランスホールが見えない。

 なぜか見えるのはやせこけた裸体で、肌色は深い緑で・・・。即座にそいつから離れる。


「・・・ィっ!」


 嘘嘘嘘うそぉ!えっ正直影の正体化け物だと思ってたんだけど!奥に消えていったじゃん!なんでここにいるの!もしかして化け物は複数いるのか?いや探索に時間がかかりすぎたか・・・?いやいやいや、そんなことを考えてる余裕なんてない。とりあえずこいつから逃げないと。どうする、出口は化け物がふさいでいる。逃げられない!


 化け物が部屋の中に入ってきた。やばいやばいやばい、距離が近いィ・・・!か、体が動かない。まずい、このままじゃ捕まって化け物とガチ恋距離になっちゃう・・・ってそんなこと考えてる場合じゃない!

 化け物がだんだん距離を詰めてくる。もうダメだ・・・ガチ恋距離まで近づかれてひどいことされるんだぁ・・・。私の人生を振り返ろうと目を閉じる。・・・ッん?半分あきらめて、何もせずに少しの間棒立ちしていたが、何もされていない。

 ゆっくりまぶたを開けてみると、化け物が足を止めている。ピンチが近づいてこなかったことを理解して、頭に上った血が引いていく。化け物は私がいたところから数歩先で足を止めている。

 その時、急に神が舞い降りた・・・感じがした。私は足元にあった小石を拾って離れた床に投げる。


ージャリ・・・


 おっ。化け物が振り向いて小石がぶつかった床に歩いていく。絶好のチャンス。その隙に抜き足差し足で部屋から出て、ある程度離れるためエントランスホールに戻った。


「・・・フゥ、危なかったぁ。化け物は音に反応してるのか。今度遭遇したら同じ逃げ方をしよ・・・」


 ここに目覚めてから怖い体験ばかりだ。感情の起伏が多くてちょっと精神的にきつくなってくる。休憩するため、1階に下がるために使った階段に隠れて休憩する。


「早く脱出したいなぁ・・・。ランプをゲットしたし脱出には近づいている気がする。がんばれ、私」


 自分を励ます。少しの間休憩したところで起き上がる。次は暗い通路にあった倉庫を探索しよう。脱出したい欲望を糧に倉庫へ向かう。

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