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夢中の館  作者: 秋絽
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1:皆瀬香の日常

「終わった~...」


 ようやく昨日出された宿題が終わった。ほとんど復習なので内容は難しくないが、週末に大量の宿題を出す先生がいるのでとにかく量が多い。このままでは奇跡の土曜日が消滅してしまうので、一日のノルマを作って宿題を終わらせることにした。

 ふと時計を見ると午後8時を過ぎたところだった。帰宅部の私は部活のある人たちより早く帰れているが、帰ってからソファーにくつろいだり、晩御飯を食べたり、動画を見ながら宿題をしたということもあってこんな時間になってしまった。


「高校で出される課題って毎週こんな量が多いのかなぁ...」


 そう鬱々とした私は、今年に高校生になったばかりだが、中学校と比べて出された課題の量が違うことに早くも打ちひしがれていた。


「早くお風呂入って寝よ...」


 そう思って一階のリビングに向かう。


「誰かお風呂入った~?」


 テレビでドラマを見ていたお母さんに聞く。


「いや、まだ誰も入っていないと思うわ」

「了解~」


 お湯を沸かしに浴室に行くと確かにお湯が張られていなかった。給湯器の自動ボタンを押して、内心一番風呂に入れるとワクワクしながら自分の部屋に戻る。お風呂が沸くまでの間暇なので着替えを用意してスマホをいじる。

 最近の動画サイトはshort動画が流行っている。たった1分程度の動画なのだが短いなりに情報を詰め込んだ動画を見られるためカオスだったりして面白い、何よりもshort動画を見ているといつの間にか時間が過ぎるため暇な時間を消費するにはもってこいだ。なんだこの料理動画、めっちゃ変な口調でしゃべってて面白すぎる。私は夢中でその投稿者の動画を見ていた。


<タタタンタタタンタタタンタン・・・♪>


「お風呂沸いたわよ~」

「分かった!」


 体感数秒しかたっていないがお風呂が沸いたようだ。今見ている動画を見終わってから着替えを持って脱衣室に向かう。


<タタンタタンタタン・・・♪>


 動画を見てすっかり良い気分になった私はリズムよく階段を下りる。音色の変わらない音だが、音を鳴らしているだけで楽しい。にしてもさっきの料理動画、変な割に分かりやすかったな...今度作ってみようかな。

 そう考えていたらリビングを抜けていつの間にか脱衣室についていた。途中、「早く上がってきてね~」とか聞こえた気がするが気のせいだろう。お風呂は長風呂以外ありえない。着替えをかごにおいて、鼻歌交じりに服を脱いで浴室に入る。

 自分はお風呂が普通に好きなのだが一つだけ嫌なことがある。髪や体を洗うために椅子に座る。そこで鏡に映った自分を見て思わずため息が出る。自分の豊満な胸に・・・という訳ではなく、平らな、例えて言うならまな板、壁にため息が出た。鏡に上半身が映し出されることだけが唯一嫌なことなのだ。

 コンプレックスが映し出されている感じがして、身震いする。小学生のころから全く大きくならない・・・なんでだ!妹の胸は豊満だというのに...!食事も遺伝子もさほど変わらないはずなのに!私もすれ違う人に振り向かれたい!そんな高揚した感情を冷ますようにシャワーを浴びて鏡を曇らせる。髪を洗い、体の隅々まで洗い泡を落としてから湯船につかる。


「あぁ~生き返る~」


 一日の疲れを吹き飛ばすにはやっぱり湯船につかるのが良いぃ~。体全体があったかくなって血行が良くなるのを感じる。脈も速くなってくるため陽気な気分になってくる。

 胸の大きさとかどうでもよくなってきたな。うん、多分そう。満足したところで浴槽から上がる。濡れた体をふき、ドライヤーで髪を乾かす。

 私は髪が短くて楽だが、それでも櫛を通さないとすぐぼさぼさになってしまうので、髪が長い人は大変だなって毎回思う。実際髪が長い妹は「髪を乾かすのがめんどくさい...」とぶつくさ言っていた。

 そんなこんなで歯を磨き、寝る前の準備を済ませて自室のベットにダイブする。ふわふわのベットに体を預けているときの感覚が心地よい。肌触りが良くて体を包み込んでくれる感じがしてとても良い。疲れたときや嫌な気分の時にダイブすると包み込んでくれて安心できる。これもはやお母さんだろ・・・そうに決まってる・・・。


<>


 急に視界が明るくなり起きる。思わず体が光を避けようと動く。

 イっっっって!!!

 おでこに激痛が走る。痛すぎて目が覚めた。

 ・・・どうやらいつの間にか寝てしまっていたらしい。目覚めたばかりで重いまぶたをこすってあたりを見渡す。・・・どこだ、ここ?

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