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異世界まではあと何日 ~プレ・移住記録~  作者: 於田縫紀
第9章 宿題終了後の夏休み
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第34話 復活後の第2ターンにて

 次はお洗濯。

 向こうでは洗剤なんて便利なものを都合よく調達する事は出来ない。

 だから魔法による洗濯なんてのも試しておいた方がいいだろう。


 今回の洗濯物はどれも面倒くさい御約束事なんてないタイプ。

 化繊があるからあまり高温ではまずいだろうけれども。


 さて、汚れには水溶性、油溶性、どっちにも溶ける、どっちにもとけないと4種類ある。

 これらの汚れを洗剤の力で溶かしたり、水の力で布地から物理的に追い出したりして洗う訳だ。

 更に布地から一度離れた汚れを再び布地につけない事も重要。


 これらを意識して洗濯魔法、やってみよう。

 用意する物は大きめの容器。

 通販で既に購入済みだ。


 床に大型寸胴を置く。

 これは調理にも解体にも洗濯にも使える万能容器。

 しっかりしたアルミ製で蓋がしまるタイプだ。


 中に洗濯物を入れる。

 そして魔法でお湯を出す。

 動物性だの食用だのの油なら摂氏60度程度で充分だろう。


 蓋を閉めて洗濯開始だ。

 60度は手でかき混ぜるには熱すぎる。

 だから魔法で洗濯物をかき混ぜるように水流を起こす。

 この辺は基本の魔法だから問題ない。


 重要なのはイメージだ。

 かき混ぜるとともに布から出て来た汚れ等を意識する。

 これらが鍋の中央に集まるよう意識する。

 うんうん、結構集まって来た感覚がある。

 ならここで汚れのある部分だけを冷凍だ。


 蓋を開けて汚れと共に固まった氷を取り出す。

 これはトイレに捨ててこよう。

 立ち上がってトイレまで往復。


 さて、これで汚れは取れた筈。

 後は魔法で一気に乾燥。


 おっと、湿度が急上昇した。

 不快指数何%だろう。

 窓を開けて魔法で湿度の高い空気を逃がす。

 同時に室内に空気を取り込み、余分な湿度、つまり空気中の水分を外へと捨てる。

 そして再び脱水魔法。


 多少しわになってしまったが乾燥まで完了。

 魔法洗濯無事終了だ。

 めでたしめでたし。

 それでは畳んで衣装ケースに仕舞ってと。


 結構魔力を使った感覚がある。

 ステータス表示なんて便利なものはないけれど、魔力が半分程度まで減ったかな。

 この辺は疲労感に似た感覚で確認する形だ。


 よし、それでは第1ターンで出来なかったお勉強をするとしよう。

 ただ語学も魔法も既に最低限はクリアしている。

 今やっているのは応用編。

 しかし備えるのに越したことはない。

 だからとりあえずノルマはやっておこう。


 ◇◇◇


 勉強をした後、ふと思い出した。

 以前植物の種を持って行けないかと思った事を。

 あの時調べた結果、植物は持ち込めないとあった。

 穀類も持ち込む場合は種としては使えない死んだ状態になると。


 なら菌類とかはどうだろう。

 発酵に使える種菌を持って行けないだろうか。

 早速ヘルプページで検索してみる。


 駄目だった。

 こんな事が書いてある。


『地球上の生物を生きた状態で持ち込むのは禁止されています。例外は移住する人間だけです。

 なおこの場合の生物とは、遺伝子(DNA又はRNA又はその双方)を有し、一定の条件で自己複製能力を持つ物をいいます。細菌、古細菌、真核生物の他、ウィルスも含みます』


 つまり麹種を持っていくのは駄目という訳か。

 しかし人間も地球の生物である以上、身体に細菌だのウィルスだのといったものが生存している筈だ。

 その辺どうなのだろう。


『惑星オースに転移した時点で、身体に共生あるいは寄生等で生存する微生物類は人間の遺伝子情報に基づくものを除き殺処理されます。それらの持つ機能のうち人間の生存に必要な部分は魔素(マナ)によって代行される事となります』


 うーむ、魔素(マナ)、万能だな。

 というか移住の為にそういう機能を持つようにしたのだろうけれど。

 やはりアシモフ第三法則の産物だ、魔素(マナ)は。


 さて、麹というか細菌は駄目。

 それでも酵素なら大丈夫だろう。

 生物由来だけれど人工でも作れるし。


 さしあたってはアミラーゼ系統かな。

 これがあればデンプンから糖分を作れる。


 他はどうだろう。

 キモシンがあっても牛乳がないとチーズは造れない。


 待てよ、牛乳というが牛はいるのかな。

 もしくは牛の代役となる動物が。

 確か生物相は地球の白亜紀程度だった筈だけれど。

 そうなるとチーズは食べられないのだろうか。


 気になったので調べてみる。

 牛はいないし代わりになる動物もいない。

 ただ乳に似たものが植物由来で存在する模様。


 カデイルという樹木の実を擦り潰して煮るとそれっぽい液体が出来るらしい。

 オースではこれで牛乳や乳製品もどきをつくるとある。


 更に言うとオースでは砂糖、比較的入手しやすい産物らしい。

 ならデンプンを酵素で加工してなんて事はしなくても問題ないか。


 さて、麹が駄目なら醤油や味噌は向こうにあるだろうか。


 Webによると地球に存在してヒラリアでも入手可能な発酵食品は、

  前述の乳製品もどき、酒関係、マーマイト、魚醤

といった感じの模様。

 味噌や醤油のような穀醤系は少なくともこのページからは確認できない。

 移住者に欧米系が多かったからだろうか。


 この辺の食品があるなら味噌や醤油に使える酵母もあるだろうとは思う。

 ただそれを自分で探すのは大変というか無理な気もする。

 当分は魚醤やマーマイトを使って代用品を作るしかないだろう。

 もしくは完成品の現物をある程度向こうへ持ち込むか。


 移住まで残り1週間強。

 悠長に試している余裕はあまりない。

 とりあえず現物をある程度こちらから持ち込み、あとは現地で入手できたもので創意工夫する。

 そんな姿勢で行くしかないだろう。


 砂糖醤油の干物、一般的には味醂干しと呼ばれているものもこの辺の代用品で味付けできるだろうか。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 腸内細菌が作ってるビタミンその他もマナがやってるのか どんなプロセスで転送してるんだろう チャーリーがいるのかな
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