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異世界まではあと何日 ~プレ・移住記録~  作者: 於田縫紀
第9章 宿題終了後の夏休み
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第33話 ふっかつのじゅもん

 風邪をひいて寝込んでしまった。


 原因は明白。

 雨の中3時間以上歩き続けたから。

 傘は一応さしていたが服はびっしょり。

 身体も全身ずぶ濡れ状態。

 体温も大分奪われていたようだ。


 家に帰って服を全部脱ぎ、タオルで拭いて魔法で髪を乾かして寝たが時既に遅し。

 次に起きた時には何かふらふらしてかつ関節が痛い。

 あと鼻が詰まっていて喉の奥がガサガサする。


 それでも朝のゴミ出しだけは一応やった。

 計画通りにやらないと間に合わないから。

 でもそれだけで体力を使いすぎてダウン。

 1ターン終了という状態。


 次に起きた時、ふと気づいた。

 家の中だし治癒魔法か治療魔法を使えるのではないかと。

 静かに落ち着いて治療魔法を起動する。

 

 うむ、明らかに風邪だ。

 喉の奥に炎症がある。

 有害異物の反応はおそらく細菌だろう。

 治療魔法で有害異物を殺した後、治癒魔法を二度掛け。

 

 一気に身体が軽くなった。

 凄いぞ魔法。

 

 よし起きよう。

 布団から出て、ついでに掛け布団を半分に折った状態にする。

 服を着てから魔法で掛け布団と敷き布団を乾燥。


 よし、これでいい。

 汗をかいた分も吹っ飛んだ筈だ、布団だけに。

 なんて古典コテンなギャグを思いつつ、テーブルへ。

 パソコンを起動する。


 よし、昨日断念した写真の整理を一気にやってしまおう。

 魔法学習は後でいいや。

 あとメランコリックになるのを防ぐために防護措置もしてと。


 今回は薬ではない。

 坂入先輩直伝、ハイになれる技だ。


『人間、時にはアホになった方がいい時もある。理性はそれを否定するが経験主義的には有効であると認めざるを得ない』


 そんな前置きと共に伝授してくれた。


 ちなみに聞いたのは無人島での合宿中、テントの中で行った罰ゲームに恥ずかしい話をするというシチュエーションにて。 


 その時は、

『何処が恥ずかしい話だ、却下』

という意見で他の皆と一致したので追加で別の話をさせた。

 しかしこの技そのものはなかなか有効なので割と活用している。


 まずヘッドホンをして、ジャックをパソコンと接続。

 ニポニポ動画を呼び出し、タグ『VOKETELOID電波ソング』で検索。

 よし、今回はこの曲で行こう。

 リピート再生を有効にしてスタート!


 これで何をやってもメランコリックになれない。

 あとは間違えて一緒に歌わないように注意すればいいだけだ。

 間違えて周囲の部屋に聞かれたらついに気が触れたと思われかねない。 


 うん、写真整理、スムーズに進む。

 メランコリックになる事もない。

 坂入先輩、貴方の犠牲は無駄にはしません。

 恥ずかしい話その1が却下された結果、次の話で『ケツ葱先輩』と暫く呼ばれるようになってしまったという犠牲は。


 ◇◇◇


 3時間後、無事写真を現像屋へと送信した。

 クレジットカード支払い、自宅発送なので手続きはこれで終了だ。

 電波ソングよありがとう。

 感謝を込めてWebページを閉じヘッドホンを外す。


 さて、それでは脱ぎ散らかした服を洗濯しよう。

 ついでだから魔法による洗濯を試してみてもいいかな。


 でもその前にと時計を見る。

 朝食ノルマを飛ばしたのにもう昼食ノルマの時間も過ぎている。

 これは食べなければなるまい。


 パックご飯は残り少ない。

 だから今日は米を炊く。

 余裕を見て1合を電気釜に入れ、早炊きを選択。

 これで30分もあれば炊ける筈だ。


 そして今回のおかずはシイラの頭。

 いわゆる兜焼きという奴である。

 勿論まだ調理していないので冷凍状態だ。


 冷凍にしたのはアイテムボックス外でも傷まないように。

 魔法で瞬間冷凍さっくりとやった後、冷凍庫へ入れたのだ。


 大きめのアルミ製バットの上に頭を置いて、塩を振る。

 更に上からオリーブオイルをぶっかける。

 更に胡麻ドレッシングも用意。


 それでは解凍&調理、行きます。

 魔法で一気に全体を摂氏100度まで上げる。

 じゅわじゅわ音が出るのが最高にいい。

 外側部分、皮近くは表面付近だけ一気に摂氏180度でかりっとからっと。

 おでこ部分は水っぽいと聞いたからちょい脱水魔法。


 魔法による調理は所要時間が短いのが利点でもあり欠点でもある。

 炊飯器のご飯早炊きより早く兜焼きがいい感じになってしまった。

 

 ただ兜焼きは食べるのに時間がかかる。

 だからご飯が炊ける前に食べ始めても問題ない。

 そう自分を騙して箸をつける。


 うん、悪くない。

 おでこ部分にある大量の肉も脱水してオリーブオイル&塩で食べるとなかなか宜しい。


 ただシイラ自体は良く言えば上品な、悪く言えば味が薄い魚だ。

 だからまとまって取れた身に胡麻ドレッシングなんてのもかけてみる。

 うん、邪道と言われそうだが美味しい。


 このままでは白飯の前に終わってしまいそうだ。

 炊飯器の様子はどうだ。

 見に行くと蒸らし工程最後の2分間だった。

 もういいだろう。


 コンセントを抜き、ご飯を丼に盛ってテーブルへ。

 なお丼を使うのは省力化だ。

 お茶碗に盛るとお代わりをしにもう一度此処へ来なければならない。

 丼なら2杯分を一度に盛れる。


 それではという事でご飯にドレッシングがかかった白身をどんとのせて、思い切りよく頬張る。

 うん、うまい。

 もう一口。


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