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特別な夜

クロ視点です。


彼女、リリアーナを正門まで送り、白くてフワフワの小さな身体が見えなくなるまで見届けた後、自室に戻った。


「はあ…今日は変な一日だった」


迷子の猫を助け、あろうことかこの部屋にまで迎え入れてしまった。王宮の外に住む猫との交流は初めてで、猫との会話が普通に成り立つことにも驚いた。

ベッドにゴロンと寝そべり、先程までリリアーナが見ていた絵本を見やる。


「魔女の恨み…か」


歴史の研究を重ね、新たに解ったことは多い。王というものは力を求めるものだ。ただ魔女を根絶やしにするだけでは飽き足らず、それ以上の力を欲した。


「不老不死の力ーー…」


馬鹿馬鹿しいにも程があるだろう。むくりと起き上がると、身支度を整える鏡の前へ歩き出す。鏡の前で立ち止まると、鏡に映る自分を見て嫌悪した。


「黒くて毛むくじゃらの全身、小さい身体に短い手足。なんと非力で無力な身体」


あの猫の毛は白くてフワフワだったな。活発でよく口が回る奴だった。無邪気で愛らしく……貴族連中が飼い猫を溺愛しているというのがわかった気がした。…って何を考えているんだ。


猫としての生活を楽しんだことなど一度もない。夜になるのが怖い。いや、夜にならずとも、自分の正体が知られたら?この国は終わりだろう。そんな不安に毎日苛まされる。


……だが、今夜は悪くない気分だ。


そんなことを考えながら眠りについた。

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