思い出の場所へ*
ひとしきり泣いた私は、彼との思い出の場所に行くことにした。
鉄塔のある公園だ。
ここからはかなり遠いが、もうすることもない。
私と彼が結ばれたあの場所へ....。
会えないのであれば、せめて、あなたとのを思い出に包まれて消えよう。
私は重たい腰を上げてとぼとぼと歩き出した。
そういえば、明日は私が生まれた日だ。
そして私たちが結ばれた日でもある。
「そんな日に消えるのか.....なんだか皮肉なものね.......」
今は思い出したくなくても、色んなことを勝手に思い出してしまう。
出会った日、恋に落ちた日、二人が結ばれた日、そして私が死んだ日。
思い返すたびに、止まったばかりの涙が出てきた。
涙をぬぐう気力さえ、私には残っていなかった。
楽しかったあの頃にはもう戻れない。
手のぬくもりを感じることも、もうない。
すべては過ぎ去ってしまった。
私は空を見上げた。
星が綺麗だった。
まるで、誰かに気づいてもうための瞬いているようだ。
二人で星を見に行くんだって言って鉄塔に登った日も、
今日みたいに綺麗だったな。
過去のことが鮮明によみがえる。
「また、ここで夜明けを迎えよう......か」
あの日の約束は、永遠に果たされることはない。