第四話
グレイ達が村から出て数刻、グレイ達が向かった方向とは逆側に人間のみで構成された軍隊がいた。
「隊長、どうやらあれが例の村で間違いないようです。どうしますか」
隊長と呼ばれた男、レイブラは僅かな間だけ思案すると
「態勢は整っているな?」
「はい、いつでもいけます」
「うむ……聞け!これから邪なる者たちを滅するため急襲を仕掛ける!一人たりとも逃がすな!目標は殲滅、皆殺しにしろ!!」
レイブラの言葉によって、兵士たちの顔が変わる。
ある者は、歓喜の表情を…またある者は憎悪の表情など様々な表情を見せていた。
だが、‟魔族への復讐”という思いは心中を埋め尽くさんばかりに全員に存在していた。
ちなみに人間にとって魔族=悪、敵とという認識となっており竜人や鬼人なども魔族として扱われている。
「「「「はいっ!!!」」」
「進めえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!!」
平和な村に破滅をもたらす多くの咆哮が響いた…
★★★
「だいぶ暗くなってきたな…どうする?グレイ、このまま進むのは危険じゃないか?」
アイギスが言う通り、日は沈み、辺りはかろうじて皆の顔が認識できるというところまで暗くなっていた。
「いや、このまま進む。魔物が蔓延る森の中で野宿したらかえって危険だろう」
「しかし、暗くて足元が見えないぞ。これじゃあ、魔物と遭遇したらまともに戦えないじゃないか」
「ふっふっふっ、その心配はない」
グレイの自信満々な態度に一同は疑問を抱いた。
「どういうことだよ?」
「まぁ、見てな」
そう言って、正面に手を伸ばすと手のひらに光球が現れた。
「おぉ!すげぇ!」
「わぁ…綺麗!」
「これはもしかして…光魔法か!?」
「へぇ、すごいじゃないかグレイ」
「光魔法ですって!? 私ですら使えないのに…さすが私のグレイね(ボソッ」
「アリスは乙女ですねぇ」
「えっ、ちょ、聞こえてたの!?」
皆が驚くのも無理はない。
光魔法は闇魔法と同格に位置し、じぶん雷、火、水、土、風、無の属性魔法よりもさらに上位に位置する魔法なのだ。
そのため使える人はほとんどおらず伝説と化していたような希少な魔法である。
ちなみにアリスは基本的な属性魔法なら全て使うことができ、さらには闇魔法も少しだけ使えるという。
そのため村では天才魔法少女と呼ばれていた。
そんな彼女は、自分の使えない魔法を使えるグレイに羨望や尊敬、好意など様々な感情を抱いていた。
(やっぱりグレイは凄いわね…はあぁ、素敵…)
「いつ使えるようになったんだ?」
「つい最近だよ。魔法の練習をしてたらたまたま出来たんだ」
「へぇ、素質があったんだろうか」
「さぁ?俺にも分からん」
「そんなことよりせっかく明かりがあるんだ、早く帰ろうぜ。腹が減ってんだよ」
そういうと同時に、どこからか盛大に腹の虫が鳴く音がした。
サタンの方へ一斉に目が向いた。
「俺じゃねぇぞ?」
「じゃあ、誰だよ?」
「あ、いや、すまん、僕だ…」
そう言ってルークは顔を赤くしたまま俯いていた。
「ぎゃはははは!てめぇかよルーク!」
「やめなさいよサタン…ぷぷっ…」
「今のは恥ずかしかったな」
「うるさい!!」
このままだといつまで経っても進めないと思ったグレイは行動を促す。
「はあぁ…早く行くぞ」
★★★
しばらく歩いたグレイ達は、もう少しで村までたどり着くというところまで来ていた。
「もう少しで着くぞ」
「やっとかー」
「はやくお風呂に入りたいわ」
「ごはんごはん!」
もうすぐ帰れると聞くとサタン、アリス、ノアの3人は安心したのか少々気が抜けた。
だが、対照的にほかの者たちは違和感を抱いていた。
「おい、何か変じゃないか?」
「アイギスもそう思いましたか」
3人は何のことか分からず、首をかしげていた
「気づかないのか?」
「だからなんのことだよ」
「さっきから魔物が一匹もいないんだよ」
「ん?言われてみれば確かにそうだな」
魔物は基本的に夜に活動しようが、昼に活動しようが関係ない。
どちらの時間帯でも普通に活動することができる。
そのため、夜目がきかない人にとって、夜間での狩りは極めて危険なのだ。
しかし、グレイ達はその魔物に一匹たりとも遭遇してないのだ。
「嫌な予感がする、急ごう!」
グレイ達の目に村が見えた時、光魔法によって作られた影が薄くなった
「え…」
「あ…あ、そんな…」
「うそだろ…」
「おいおい…なんだよこれ」
「え…なんで…」
「こんなこと…」
「ママ…パパ…?」
燃え盛る村に走っていく7人
だが、そこで見た景色は7人の少年少女に絶望を与えた。
「父さん!母さん!ネル!!どこだ!!返事をしてくれ!!」
死体が転がっている中、グレイは家族で過ごした家に向かっていた。
ドアを突き破るような勢いで開けたグレイは炎を気にすることなく家中隈なく捜索した。
「あっ!父さん!母さん!ネル!そこにいたのか!早く逃げ……え?」
望んでいた人たちを見つけたが、そこで見たのは想定していた最悪の姿の家族だった。
3人とも胴体が下半身と離れていたり、首がなかったりなど無惨な姿となっていた。
「うわあ‶あ‶あ‶あ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ぁ‶ァァァァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」




