第三話
村を出ると辺り一面に森が広がっている。
この森に棲む魔物は一般的なレベルから見るとあまり高いとは言えないが、油断すると十分命取りになる。
そのため10歳になろうかというグレイ達にとっては良い訓練となっていた。
「おい!ゴブリンが来たぞ!」
グレイ達の前には卑しい笑みを浮かべたゴブリンたちがこちらに進んでいた。
「へっ!ようやく戦えるのか!」
「数はおよそ10体か。これなら余裕だな」
「いくぞ!」
グレイが先陣を切り、それに続くように一斉に攻撃を仕掛けた
「おせーんだよ!おらぁ!」
「相変わらず野蛮な戦い方だな」
「あぁん!!?」
サタンが爪を伸ばし、刃のように鋭利な爪で胴体を切り刻むのに対して、ルークは得意の氷魔法で氷の弾丸を造り頭をトマトのように潰していた。
「なんでわざわざ急所を外して力任せに攻撃するような効率の悪い戦いをするのか僕には分からないよ。そんなんじゃ、ゴブリンぐらいにしか勝てないんじゃないか?ぷぷっ」
「んだとぉ!!?」
「あらあら…戦闘中に喧嘩なんかしたらだめですよ?」
そう言ってレイスが笑顔で窘めるが、その目は笑っていない。
背後では、レイスが操っているとおもわれる木がゴブリンの四肢を引っ張り、八つ裂きにしていた。
「「す、すいませんでした…」」
「ふんっ!」
その掛け声が発せられると同時にゴブリンの頭は胴体と切り離された。
「さすがだなアイギス。素手であんなきれいな切断面を作るなんて相当の技量と速さが必要だろう」
「お前もな、グレイ。その剣術、なかなか洗練されているじゃないか。剣を始めて3年とは思えないぞ?」
「いつかお前を超えてやるよ!」
「ふっ、負けねえよ」
「私達も行くわよ!」
「うん!」
アリスとノアは一対一でそれぞれ相対している。
「はぁっ!『ファイアーボール』!」
頭一つ分位の火球がゴブリンの体を焼き尽くしていく。
「こっちは終わったわよ、ノア大丈…」
「えぇい!」
ドゴォォン!!見ると、ちょうどノアが殴ったゴブリンが木を二本突き破りながら吹っ飛んでいくところだった。アリスは小柄で華奢なノアからは想像できない怪力を見せつけられ、開いた口が塞がらずにいた。
「えぇっと…ノア?あなた召喚術士ですわよね?身体強化魔法でも使ったの?」
「使ってないよ、これはノア自身の力なのです」
エッヘンと言って、ない胸を張るノアとは対照的にアリスは苦笑いを浮かべるしかなかった。
ゴブリンを全滅し終えたグレイ達は再び湖へ歩き始めた。
その道中オークやウルフなどの魔物を倒し、二,三時間歩いたところで漸く湖についた。
「「「やっとついたぁぁぁぁ!!」」」
湖は太陽光が乱反射を起こしまるで宝石が埋まっているかのようにキラキラと輝いており、さらには木々の隙間から射す木漏れ日がこの場をより神聖な雰囲気に仕立て上げている。
「ぷはぁ!うめぇ!」
「ホントだな、体が癒されるようだ」
「この水は回復薬の原料になるものだからな」
「あっ!あっちに動物がいるよ!」
「ホント!行きましょ!」
「あっ、私も行きます!」
近づくとそこには小さな羽をはやしたウサギがいた。
三人はウサギに近づくが草を食べることに夢中なのか、逃げるそぶりを見せない
「ふふ、可愛いですね」
「癒されますわ」
「ノアの使い魔に加えよっと」
「あら、それはいいわね」
「賛成よ!」
「それじゃあいくよ!」
ウサギの下に魔法陣が現れ、次第にノアの魔力がウサギを侵食していく。
「よっし契約成立!」
「これで毎日癒してもらえるわ」
「やりましたね、ノア」
「よし、このくらいでいいかな」
グレイは水を持ち帰るため、闇魔法による収納によって大量の水を収納していた。
「皆、そろそろ日が暮れるし帰るぞ!」
「えー、もう少しいたいー」
「だめだ、暗くなって道に迷ったらどうするんだ?」
「むー」
「文句ばっか言ってんじゃねえよ」
「私ももう少しいたいとは思うけど、しょうがないでしょ?」
「わかった…」
「じゃあ、帰るぞ」
そしてグレイ達は来た道を帰っていった。




