第二話
家を出ると、魔族など様々な種族が出歩いていた。
その中に人族は一人としていなかった。
エルフやドワーフを除く種族は昔から人族と対立しているからだろう。
対立するようになった経緯としては、およそ千年前、この世界を滅ぼすため邪神として君臨した1柱の神と争っていた時代・・・その時代はまだすべての種族が協力し合っていた。その結果、辛くも邪神の封印に成功した。
だが邪神との戦いの後、密かに余力を残していた魔族はこの世界の覇権を握ろうと人族に攻撃を仕掛けたのだ。
それに危機感を覚えた他の種族は魔族と同盟を結び、エルフやドワーフに攻撃を仕掛けた。
魔族などの裏切りによって人族、エルフ、ドワーフは著しく衰退していった。
そして魔族が覇権を握るまで残り僅か、というところまで来てそれは失敗した。
神が介入してきたのだ。
神は人族のもとに異世界からの勇者を召喚することで人族に力を与えた。
それによって勢力を取り戻し、今では一進一退の攻防を繰り広げられるようになった。
これが魔族と人族が争うようになった経緯だと伝えられている。
広場につくと既にいつものメンバーがいた。
「やっと来たのか、遅いぞグレイ」
そう呆れるように言ったのは、空のように青い髪と天を貫くような角を2本持つ特徴的なルークだ。彼は魔族である。
「すまんすまん」
「そんな小せぇこと気にしてんじゃねーよ。お前が小せぇのは器が小せぇからなんじゃねーのか?ゲラゲラ」
「なんだと!おい!頭に腕を乗せるんじゃない!離れろ!」
未だにルークの頭に腕を乗せ続ける赤髪の男はサタンという。
彼の背中にはコウモリのような形で漆黒の翼があった。
種族は悪魔という。悪魔という種族は普通こことは異なる次元に存在しているので現世に存在しているのはかなり珍しい。
彼は俺が生まれる少し前に赤ん坊としてこの村に突然現れたらしい。
今は魔族の家族に育てられている。
「遅いわよ、グレイ。何してたのよ?」
「ちょっと昼飯が長引いたんだ」
「ふーん、まぁ、グレイのお母さんの料理は美味しいからね。じっくり味わって食べたいっていうのは分かるわ」
「そうなんだよ!母さんの料理は美味いから仕方なかったんだよ」
「それとこれとは別よ!で、でも一緒にご飯食べに行ってくれるなら、許してあげないことはないわよ?」
彼女はアリス、エルフだ。
エルフはあまり他種族と関係を持たない。
だが、例外として他種族と関わることを是としているエルフもいる。
アリスやこの場にいる一人レイスの親はなんらかの理由でエルフの国から出ていき、ここに住むことにしたそうだ。
「じゃあ、うちに食べに来いよ!」
「えっ、いいの!?じゃあ、行かせてもらうわ・・・」
赤く染めた顔を伏せながら言う。
「私も行きたい!」
「ノアも!行きたい!」
ノアはルークと同じで魔族であるが、角はルークと違い1本である。
「えっ、ちょ、ちょっと・・・」
「俺も行きてぇ!」
「僕も行きたいな」
アリスが何かを言いかけるが言葉を覆うようにルークとサタンが発言する。
「おいおい、そんなに大勢で行ったら迷惑になるだろ?」
彼はアイギス、竜人だ。サタンと同じ赤髪を持ち、魔族のような角もある。加えて尾てい骨の辺りから膝までの長さの尻尾がある。
「おう!皆こいよ!人が多い方が楽しいしな!」
「「やったー!」」「おっしゃぁ!」
「えっ、2人じゃないの・・・?」
「それじゃあ、そろそろ行くとするか!」
そう言って俺達は村を出発した。
ーーー同時刻、村へ向けて不穏な気配が近づいていた・・・




