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ガンジャ先生。  作者: 出雲屋
1章 旅行開始のHR
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不登校生の顔見せ


「でさーそこで絡まれたワケ!分かる?」

ああうるさい。。


ずーっととなりで喋り続ける高身長の達哉(たつや)は、御茶ノ水で乗り込んでからずーっとこんな感じだ。

髪は長く茶色い。相変わらず後ろの女の子達は静かにしていて、達哉一人で話込む訳で、自然ととなりの僕が捕まった。


「タツヤって呼んでくれ!匠よろしくな!」

「でも海外旅行ってすげえよな!英語なんて喋れね〜」

「金髪の下の毛も金髪らしいぞ!ヒャッハー!」


 ロン毛で茶髪のタツヤは俗に言うチーマーらしい。普段から公園などに溜まりこんで悪さをしてるみたいだ。

ただ、身につけている物はなぜか山登りに行くかのような出で立ち。


「‥‥‥タツヤはどこ行くか聞いてんの?」

「いや知らねーし。ただパピーが準備しっかりしていけと道具渡された!これテント入ってるんだぜ!かっけーだろ!」


いや、山行くかわからんし。。そんな感じで車内は賑わう事になるが、山本先生は至って平常運転だ。


「千葉入ったぞー次は女の子がもう一人合流します。しかしいい天気だ。いい旅行になりそうだね」

 少し下町のような風景が流れ港町?といえばいいのかそんな路地に車は入っていく。

 一応千葉中央市と看板が合ったが、ここが千葉?って感じの古い建物が続く。

さらに奥に入り制服の女の子が座っていた。


「おまたせ。あー佐々木 未亜(みあ)さんで良かった?」

「はい。よろしくお願いします」

「それじゃ荷物を後ろに乗せてから行こうか」


こんな子いたっけな?と思いつつも制服を着ている未亜と名乗る女の子にはどこか共感点があった。

というか今まで制服を着ているのは僕だけだった。はじめから乗ってる女の子は私服だし、達哉はポケット多い山登りの服。

ペコんとお辞儀をしたショートカットの未亜さんは大人しく車に乗り込み再び出発した。


「なぁ〜かわいくね?今の子」耳元で言ったかと思えば「こんちゃあ!タツヤです〜よろしくね!」

相変わらずの態度。。はぁ〜とため息をつきつつ疑問に思ってる事を先生へ質問を投げかけてみた。



「先生〜どこに行くかそろそろ教えてくれませんか?」


「そうだね。今向かってるのは成田空港だよ。空港で一人迎え全部で6人!みんな仲良くするんだぞ」

「‥質問が悪かったです。どこの国行くんですか?」

「あははwごめんごめん。聞いて喜んで!タイのバンコクが君達の旅行先だよ」


 車の中がザワつく。みんな知らなかったみたいで後ろからつぶやくようにタイ‥ゾウ?とか、はぁ?ヒマラヤは!とかどーでもいい事も横から聞こえるが僕自身ピンと来なかった。だって知らないもん。


「今の時期は休み前で旅行客も少ないし、天気も安定してる。まぁずーっと暑いんだけどね」

あははと笑いながら山本先生は言う。


「タイって何語ですか?」

助手席に座ってる未亜が聞く。あーそうだ外国だったけ。

「タイだからタイ語だよ。ん?慣れれば聞き取りやすい部類と思う。まあ英語も通じるし安心していいから」

「記憶が確かなら最近暴動がありませんでしたか?」

「あー2年位前あってから軍が政府を仕切ってる。でもまぁタイだし(笑)安全だと思うよ」


!? みんな静かになった。。他人事だと思って。。

。タイ語なんてわかんないし聞いたこともない。何より暴動って言葉が重くのしかかる。

「基本は勉強。。んー社会勉強ってとこかな。何をするにしろ合宿という訳でもないし自由でいい。現地の引率の先生の言うことはよく聞くように。あ、あちらは銃も合法だから。ないと思うけど、警察官には歯向かわないように」


その後は車が再び静かになった。釘を打たれたんだろうけど、タツヤは青い顔をしていた。高速を乗り車は昼前に成田空港に到着した。


 そこで遅れてきた最後のメンバー大渡(おおわたり)雪菜(ゆきな)が両親と共に連れて合流する。意外だったのは男子と思ってたのと、この大渡さんは1年の頃委員長で僕のお見舞いにも何度か着てる。

なんとなく面倒見のいいイメージが強かった。


 あれ?だけど暗い顔してるな。。

まぁどこ行くかわからないから心配なのかな?

背も高いしキレイで明るい委員長。

手伝いで呼ばれたのかも?知っている顔を見て少し安心できそうだ。


 その後、時間も時間なので空港で食事を終わらせた。

女子が増えたことで不安もなくなったのか、女子達は顔色も良くなり仲良く話をしている。‥タツヤと俺は入り込めない。

 が、ある程度聞き耳を立て、情報を手に入れる。

車にいた二人の女の子は2卵生の双子らしい。

川上 (あゆむ)(あかね)という。

どこか似てるしそうでないとこもある。


 こうして6人が揃って搭乗ゲートへ向かった。

おっとその前に山本先生が僕の手錠をきちんと外してくれた時は笑いを取る話になった事は伝えておこう。(笑)


 パスポートは事前に預かっていたらしく、先生が渡してくれた。

搭乗手続きはスムーズに行い、道具の預け、搭乗ゲート前のチェックは緊張しつつも進む。

 あ、道具どころかバッグも何もなかったのだが。。そこもネタになりつつ初めての飛行機、海外へ!と不安と期待が込み上げる。


あ、タイって遠いんだっけ。。場所がうやうやしているのはたぶん皆同じだったと思いたい。


 後になって分かることが「まぁタイだし(笑)」この言葉はどこでも感じる事になった。



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