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神剣

  御前試合は出場者二十人計十試合で行われるのが通例であった。午前は剣術、午後からは槍術であった。第一試合を告げる鐘が鳴る。


  その瞬間、あたりは騒然となった。喰い入るように見つめていたが、八鹿(ようか)には一瞬何が起こったのか分からなかった。剣術試合と言っても勿論、真剣ではない。技剣と言う偽物の剣を使うのが通例であった。しかし、まるで本物の剣戟を受けたかのごとく敗者となった男は倒れ伏したのである。技剣に切り割けるはずもない、見事な甲冑の隙間を縫うようにして、勝負を決めた一撃の跡が残っていた。


「ほう。」

 普段、何事にも冷静な龍王が珍しくも声を上げるほど、見事な一撃であった。

  あの男だ…

  八鹿はこの試合の勝者が、試合前に見た簡素な甲冑の男であることに気がついた。男の名は読み上げられていた気もしたが、忘れてしまった。

  負けた方の男を、八鹿は知っていた。法国侯の孫で、たしか名を煕雷(きらい)と言った。龍王族でこそないが、武名は八鹿でも知っている。それをいとも容易く、容易くとしか見えぬ一撃で、一瞬で地に沈めたのである。


  仙孝(せんこう)は苦笑した。自分が送り出した武人たちが、負けるとは露ほどにも思わなかったが、王石ほど確信を持って勝つと断言できる者もいなかった。

  それにしても、相手が私でなかったのは残念でならぬ…

  仙孝は将軍の我が身を、少しばかり呪うのであった。


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