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異質

  青空に響く銅鑼(どら)の音。それに合わせて機敏に動く兵士たちを、八鹿(ようか)は御簾の内から面白そうに見つめていた。隣では父が退屈そうに見ている。御前試合など父にとっては毎年のことで既に飽いているのだろう。龍王陛下にとっても父にとっても、御前試合とは、普段王宮殿に駐在しない龍軍と、龍王の主従関係を確かめるための儀式の一つにすぎないのだ。龍王陛下にとっては、一軍将軍の仙孝(せんこう)皇子に会う良い機会でもあるのだろうが、父にとってはこれといった目的もない。しかし、六歳の八鹿にとっては初めての御前試合であり、全てが目新しかったのだ。たくさんの騎馬。甲冑を纏う兵士たち。王の護衛軍である禁衛府の武官とはまた違った趣であった。

 

  八鹿の目前に、若い兵士たちが二十人集い平伏した。今年の御前試合の種目は剣術と槍術であった。他に体術という年もあれば弓術や馬術という年もあるのだそうだ。

  八鹿は選手たちを見つめた。

  おや、と八鹿は思った。一人だけ、甲冑の作りが違う者がいる。他に比べればやけに簡素な代物であった。

  位が違うのか…

  他はさしたる特徴もない、焦茶の髪の若い男であった。だがその姿は煌びやかな甲冑を身に纏う面々の中で、一種異様に映った。


  王石(おうせき)は遂に龍王陛下の前に額づいた。しかし、相手は御簾の内。平伏したまま顔も挙げられぬでは、尊顔を拝するなどとてもできない。王石は些か失望した。

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