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最強陰陽師の異世界転生記 ~下僕の妖怪どもに比べてモンスターが弱すぎるんだが~  作者: 小鈴危一
四章(アスティリアのドラゴン編)

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第十一話 最強の陰陽師、降りる


 ドラゴンの乗り心地は、(あやかし)と比べてもそう悪くなかった。


 空の上は、さすがに風が強くて夏なのに寒い。

 でもそれは結局(みずち)も一緒だし、(まじな)いである程度快適にできる。


 揺れさえ少なければいいのだ。


「さて、と……」


 ぼくは式の視界で、眼下の街を見る。


 どこに降りるかな……。本当は城壁の外がいいんだろうけど、首長公邸までけっこうあるから歩くのが面倒だ。


 むしろ、公邸に直接行く方がいいかもしれない。

 あそこなら広い庭があるし、家畜や馬車馬を怯えさせることもない。


「お前、城壁の中には降りられるか?」

「グルルッ!」


 ドラゴンが唸る。

 はいかいいえかわからないが……たぶん、はい、だろう。そんな気がする。


「よし、あっちだ!」


 案内役として先行させていた光のヒトガタを、街へと降下させていく。

 ドラゴンはきちんと、それを追って高度を下げていった。


 その時。

 山に残してきた式神が、嫌な光景を捉えた。


 思わず顔をしかめる。

 今来るということは……そういうことだろうな。


 これで帰るとも言っていられなくなった。

 まあでも、まだ少し時間はありそうだし、いったん公邸に顔を出してから山に戻るでも十分だろう。


 いい加減一人で卵のお守りをするのも疲れたしね。


 ドラゴンが左翼を下げ、左へ旋回しながら街へと降りていく。

 広大な首長公邸が次第に近づく。


 地上までほんの数丈に迫った時――――ドラゴンが両翼を大きく広げ、大気を掴んだ。

 気圧の魔法が発動。生み出された密度の高い空気を激しく撒き散らしながら、巨体が首長公邸の庭へ豪快に降り立つ。


 ふう、と一息ついて顔を上げる。

 ぼくは気づいた。


「あっ……」


 すぐ目の前に、公邸の二階、窓の開け放たれた広い部屋があった。

 仕事中だったのか、身なりのいい人間が数人、呆気にとられた表情でこちらを見ている。

 机の上に置いてあったらしき書類や金貨が、ドラゴンの起こした突風で派手に散らばっていた。


 うわぁ、申し訳ないことをしてしまった……。

 ん、あれは森人(エルフ)の従者か? ということは……やっぱり、セシリオ王子の姿もある。


 ちょうどよかった。

 少々無礼にはなってしまうが、時間がないし仕方ないだろう。


「突然すみません皆さん! セイカです! 今戻りました!」


 まだ気圧差の風が吹き荒れる中、ぼくは声を張り上げる。


「急ぎゆえ、このような形で失礼! ええと、手短に言いますと……ドラゴンと仲良くなりました」


 皆、唖然としたまま言葉もない。

 ぼくは少々不安になりながらも、とにかく用件を話す。


「今回の件、原因がわかりました! 説明したいので、唐突で申し訳ないですが、どなたかぼくと一緒に山頂まで来ていただけないでしょうか! できれば火属性の魔法が使える方だと助かります!」


 案の定、答えはない。

 王子も森人(エルフ)も他の人間も、全員が窓から大きく距離を置いて固まっている。


 ……困ったな。

 というか、さすがにドラゴンで直に降りてきたのはまずかったか……。


 そろそろ戻りたいが、このままではなんのために帰ってきたのかわからない。せめて誰か、手伝ってくれる人……。


「……あ」


 その時。

 一人の少女の姿が、目に入った。


 なんだ、いたのか。

 じゃあ、彼女でいいな。おあつらえ向きに炎も扱えることだし。本当はアスティリアの人間に来てほしかったけど、皆怖じ気づいてるから仕方ない。


「イーファ」


 ぼくはくすんだ金髪の少女に向かって手を伸ばす。

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