日記 2019/01/07 21:00〜。某社長による一月五日の「一〇〇人に一〇〇万円のお年玉」という『一個人のツイート」について。
この某社長による「一個人のツイート」の意図はなんだろうか。みんな夢があると仰り、それに関われたことがよかったというようなことも仰っており、売名や広告を目的とした呟きではないとしていらっしゃるが、果してそうだろうか。
私など底辺を這いつくばっている人間には、夢も何もない、ばら撒きにしか観えず気味が悪かった。それを「利用しよう」とすることはあるだろうが……、「お年玉」という「目下に配る行為」をしていることにも私は引っかかる。贈与税の掛からない形でばら撒く行為として「お年玉」を持ち出したのだろうが。なお、私はフォロもしておらずリツイート等で関わっていないため無関係の第三者として述べている。「社長」という公の立場がない人間が死に際にやったことならまだマシといえるが、この行為の本質は飽くまで「売名」と「広告」だと捉えている。一〇〇万円をもらえるのは一〇〇アカウントであり、ツイッタの性質上匿名性がある状態ゆえ「夢」の選定は土台から難しいと推察できる。ツイート状況を観てある程度当選者を絞ることができるだろうが、リツイートした五五〇万超のアカウントのツイートを短期間で確認するのは「一個人」には無理であるし、ならば「お年玉ツイートが一個人の行為」とする発言は嘘と判る。またこれは、宝籤などと違って応募者全員を査定する仕組ができあがっていないことにもなるため公平性に欠け、平等な抽選・当選ともいえない。仮に五五〇万超のアカウント全てが「夢を持って応募した」としたら一〇〇アカウント以外──五四九万九九〇〇超のアカウント──はその夢を見てももらえず無視されたということになる。これを看過している以上、「夢云云」と綺麗事を並べ立てるよりは「売名や広告です」といったほうが潔い。多少の贈与税を差し引かれても、もらう側は痛くないので素直に感謝もするだろう。無論、某社長の印象は悪いが、それなら呟かなければいい話であるから踏みとどまるチャンスはあったし、これからも踏みとどまるチャンスはあるだろう。
私がこのツイートに対してなぜ不快感を覚えたか。それは、「一〇〇人に一〇〇万」という数にも隠されている気がする。「一〇人に一〇〇〇万」では心理的な負担が大きく、一般的な感覚からすると使い方に困る額で安易に手が出しにくい。「一〇〇〇人に一〇万」では、群集心理的に責任感が分散しやすいが平均月収のおよそ三四%であるから飛びつくほどの話題性にはならないだろう。「当たりやすそう」と感じ、かつ、心理的な負担が少なく、話題性に欠かず、切りがよく、誰もが口にしやすく広まりやすく、ゴロもよい、それが「一〇〇人に一〇〇万」という数字ではないか。すなわち、このツイートは「拡散」に重きが置かれており、「一個人のツイート」という発言は事実誤認であると言わざるを得ない。同ツイートには社名が入っていることからも判る通り、拡散による広告効果が目当であると推察でき、事実として広告効果があったとの見立てが多い。夢を与えるというなら、売名的なリツイート企画ではなく、そうした事業を立てて募集すればいい。
マスコミはこれに食いつきすぎではないか。某社長の勤める企業の株価総額は二〇一九年一月七日時点で六〇〇〇億超で一億は大した額ではない。軽く調べてみると某社長個人の推定年収は三〇億──月収二・五億──程度とされている。この推定が真実なら某社長にしてもちょっと大きな買物をした程度の額で騒ぎ立てるようなものでもない。一個人の月収三箇月分の指輪のほうがよっぽど騒がれるべきだが普通は騒がれることがない。と、考えると判る。「名が売れた金持の行動ゆえ」に売名行為が促進されただけである。まさしく金持の道楽に巻き込まれてみっともない風にしか観えない。
無査定も同然の環境でばら撒くくらいなら、まともに活動している慈善団体に入念な調査を掛けた上で「普通に寄付」するといい。そのほうがよっぽど夢があり、いい社会になる。細く長く続けることはご本人も想定しているようなので、騒ぎが治まり、「慣れ」が発生したあとからが大変だということも理解していらっしゃることだろう。ひとと同じことをしていても目立たず受け入れてもらえないので、過激なことに趨りがちだが、目立たなくてもこつこつやっている人間のほうが信頼感が高く、私としては素晴らしいと素直にいえるし感謝も伴う。日日社会を回している社会人がそうである。「呟き」が「大きな声」になってしまうことを自覚していない人間も多いので、そういったひとびとは自分を見つめ直してどれだけ「声」が大きくなったか再確認していただきたいところだ。勿論、発言は自由であるから「一個人のツイート」を否定するつもりはない。年上の成功者に向かっていうのもなんだが、今回のこれは目に余って口を出したくなってしまった。某社長のファンにはお目汚しとなってしまったことは謝るが、「一個人の発言」もそれほど重いということを理解・納得していただきたい。「リツイート」や「いいね」を行うということは、発信者に対する擁護、支持、賛同に成り得ることもあるため、軽はずみに行うのは危険だろう。皮肉としてそれらボタンを押すこともあるだろうが、基本的に「拡散」が発生することだけは頭に入れておきたい。
──〜2019/01/08 22:00──