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夕日が連れてきた幸せ
私は何の為にここに産まれてきたのだろう。
ふと、赤い夕焼けを見ながら考えた。
特に特技もないし、そのうえ病気持ちだなんて。
誰に言えるだろうか、こんな話。
誰が信じるだろうか、こんな話。
私は病気をするために産まれてきたのだろうか。
親不孝者な私は、生きている意味がわからない。
毎日学校にも行かず、ずっと家で寝たきり状態。
ごめんね、お父さん。
ごめんね、お母さん。
重い身体を動かして、外に足を踏み出す。
「ああ、綺麗な夕焼け」
こんな気持ちになったのは、いつぶりだろう。
母が私の事を驚いたように見ている。
そりゃあ、そうだろう。
ずっとベッドの上で生活していた娘が、外に出たのだから。
「お母さん、綺麗だね」
そう言うと、母もわかったように空を見上げ
「うん、綺麗だね」
こんな会話も久々だ。
全部この綺麗な夕日のおかげ。
ありがとう。
夕日に向かって私は呟いた。
「---死ななくてよかった」と。