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「あぁ昂輝兄ちゃんだ! 」

 その中の一人が昂輝たちの姿を見つけるとほかにいた子どもたちも次々にそばによってきた。 あのねと語る子どもの瞳に由希が入ると一瞬だけ怯えた表情をこぼす。

 それもその子どもだけではなく、何人もの子どもたちに。 一体、誰を連れてきたのだろうかと瞳で語る子どもたちの頭を昂輝は撫でる。

「急で悪かったな。 こいつは俺の後輩で人間の由希だ。 一度だけでもここに連れてきてみるのもいいかもと思ったから」

 由希を囲んだ子どもたちは目の前の人を何度も見つめて何度もその手に触れて、確認する。 ほかに顔に触れたり、背中に触れたり。 由希に害がないと判断した子どもたちはにっこりと笑顔を見せた。

「初めまして! 由希さん。 誰か来るのはとても珍しいから驚いたの」

「こっちこそ驚かせてごめんね。 昂輝さんに来てみないかと言われて来てみたんだ」

 一緒に遊ぼうと手を引いていく由希の背を見送った昂輝に一人の女が声をかけてきた。 黒い髪を腰まで伸ばし、水色の着物を身にまとったその姿がとても似合っている。

「昂輝さん、お久しぶりですね」

「…… お久しぶりです、雛菊さん」

 由希たちのほうへ行きたい昂輝にとっては声をかけられることに少しいらだちを覚えたが態度にだすわけもいかず表情をかえなかった。

 そばにやってきた雛菊はお久しぶりですと笑う。 長い髪を風になびかせながらきれいに笑う雛菊は付喪神と人の子どもであり、どちらかというと人に近いという。 そのためブローカーたちに狙われてここにたどり着いていた。

「一年ぶりですね」

「母さんの墓参りのためにここに来ていますからね、なかなか来ることはないです」

「それは残念です。 私はここであなたをとても待っているのに」

 雛菊は昂輝の腕をつかんだ。 昂輝の胸元に顔を埋めた雛菊だったが昂輝から感じた誰かの匂いに体を勢いよく放してしまった。

「なにか、ありましたね…… 」

「あぁ刻印を刻まれた」

 昂輝が腹部をむきだしにするとそこに黒い翼の生えた烏がうっすらと見えた。 完全に出してしまえば大和にばれてしまうと考えたからだ。

 その姿にひっと声をもらした雛菊を横目に見て、昂輝は衣服を整える。

「なぜですか! あなたほどの方がそれを甘受するなんて…… 」

「俺は…… 気に入っているよ」

 それだけを言うと昂輝は向こうで子どもたちと遊んでいる由希のほうへ歩いていく。 

 その後姿を歯を食いしばりながら着物を握りしめた。

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