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 挟まれて逃げられない由希はどうしたものかと考える前に辰美に腕を引かれ、今度は辰美の腕の中。

「喧嘩しているところ悪いですが、俺と由希は帰りますよ」

 呆れたとため息をこぼした辰美は由希の腕を引いていく。 教室から由希をひっぱりだした辰美は歩みを止めることなく進んでいく。

 その後姿を慌てて追ってくる昂輝とすごい形相で昂輝を追いかける大和の姿。

「昂輝! 」

 なんとか由希の腕をつかんだ昂輝は辰美と由希の背中を押しながら校門をでた。 

 怒気を孕んだ声で昂輝の名を呼ぶ大和の姿。

「ちゃんと帰るっていってんだろ! 早く生徒会にいけ! 」

 腑に落ちないと顔を歪めた大和だったが、ちらりと辰美に視線を向けたがそれ以上追ってくることはなかった。

 やっと見えなくなった学校と大和の姿に昂輝は安堵の息をもらす。 

 つかんでいた由希の腕を離すと由希たちの隣に並んだ。

「悪かった。 あいつが最近、過保護になって」

「過保護に? 」

 由希の問いに昂輝は深いため息をこぼした。 己の首に触れながらゆっくりとうなずく。

「あの蒼い龍に襲われてから、どこにいくにもついてきやがって」

 その細い首に蒼い文様が刻まれたことは由希の記憶に新しい。 蒼い龍につけられて涙をこぼしていた昂輝の姿はいま目の前と同じものだとは思えなかった。

 涙をこぼして大和じゃないと嫌だと叫んでいたあの犬神と、下級生に怖いと恐れられているこの犬神とは似ても似つかずあれは幻だったのではないかと思っていた由希だったが。

「あー思い出すといまでも体に震えがでる…… あの野郎」

「そういえば体は大丈夫だったのですか? あのあとすぐに別れちゃいましたし」

 辰美の問いかけにうっと言葉を濁らせた昂輝はちらりと由希と辰美を見て、すぐに目をそらした。 

「なんとか、なったけど。 ただ刻印を本気で刻まれてしまった。 仮契約でよかったのに、あいつ」

 昂輝はぽつりとこぼして、あからさまに大きなため息をひとつ。  そんな昂輝の言葉に由希は首をかしげた。 仮契約とは?

 由希の疑問を浮かべた表情にあぁと声をもらしたのは辰美だった。

「刻印を刻むっていっても仮契約と本契約というものがあるんだ。 仮契約はそれぞれ似たような文様が首に浮かぶけど、本契約となるとその妖怪を示す模様が体に浮かぶ。 それこそ墨さんのところなんかわかりやすいんじゃない? 」

 辰美の問いかけにあぁと由希はうなずく。

 墨の首一面に刻まれた蠢く目。 それらは意思をもったかのように動き回り、由希を見下ろしていた。

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