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「なんか二人を見ていると子どもっていいなぁと思いまして… 」
由希と七海はお互いの顔を見合わせて首をかしげた。
同時に動いた二人にあずみは笑みをこぼす。
「子どもとかってあまり興味がなかったのですが、二人を見ていると一人ぐらい欲しいなぁと思ってしまいますね」
「あずみさんって失礼ながらお相手は? 」
由希の問いかけにあずみは首を左右に振る。
失礼なことを聞いたと由希が詫びを入れようとしたとき、あずみは話を続けた。
「気にしないでください。 そもそも結婚とか子どもとかに興味が全くなかったので。 一人が気ままでよかったですし、これからもその方が私には合っていると思うのです。 でもお二人を見ているとなんかいいなぁって思ってしまって」
頬杖をつきながら吐息をもらすあずみ。 いままであずみからそんな話を聞いたことがなかった由希はどうしたものかと考えている間に七海にパフェを食べられてしまった。
「いっそ墨さんに子種だけでもいただこうかしら」
あずみの言葉に由希は飲み物を吐き出しそうになり、すぐに口元をおさえた。
「墨さんって誰? 」
「墨は僕の義理の父親で筆の付喪神なんだけど…… 」
首をかしげる七海にそれもそうかと由希は納得した。
会ったことがないのだから知るはずもないのだ。 んーっと声をもらしていた七海は飽きたのか飲み物を注文している。
「墨は百目鬼さんのお気に入りだから、そんなことをしたらどうなるか…… 」
百目鬼の名前をだすと明らかに不快だとあずみは顔を歪めた。
盛大にため息をこぼすとあの目玉がという不穏な声が聞こえる。
「あの目玉め…… 」
「あ、あずみ、さん? 」
空気の変わったあずみの姿に由希は顔をひきつらせた。 あずみはなにかを思い出したように舌を打つとコーヒーを一気に飲み干すと息をはきだす。
「私のほうが先に墨さんに出会っていたのにあの目玉が横から墨さんをかっさらっていきやがって……。 腹が立つ! ちょっと墨さんにまたがってきます」
物騒な言葉を吐きだしたあずみは立ち上がるとではと料金を払って店からでていった。
「大丈夫かな…… 」
「あれ? いつの間にかゆっきーだけになってる」
「なんか、用事が出来たかなにかで足早に去っていったよ…… 」
ため息をこぼす由希と首をかしげる七海。
由希が家に帰ると寝室にて落ち着けとあずみをなだめる墨と服を脱げと馬乗りになっているあずみの姿があった。
ごめん、墨。 と由希は思いながらばれないようにゆっくりと寝室の扉を閉じた。




