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「だいたい、意見も聞かずに襲ってくるあいつが悪ぃ」
ほんのりと頬を赤く染めながら昂輝はそっぽ向いたと同時にぽつりとつぶやいた。
ときおり買いにくるお客様の相手をしながら、ちらりと昂輝に視線を送ると、先ほどの頬も元に戻り接客対応をしていた。
持ってきていたお菓子が減っていく。 作った張本人はめんどくさいと言ってお店には来ていないため、ここにでているもので終了となる。
終わったらなにをしようかなと由希が考えていると昂輝に背をつつかれた。
「さっきの大和の話、誰にも話すんじゃねぇぞ」
「話さないですって」
由希の返答に疑いの目を向けつつも、昂輝は息を吐き出して立ち上がった。
「もうすぐ大和が戻ってくるかもしれねぇから帰るわ
」
大和が帰って来るかもしれないことを事前に察知したのか昂輝は由希に手をふって去っていった。
先輩二人が揃うと嵐のようだと由希は思う。 突然やってきて、場を掻き回して去っていく。
想像すると当たっていると思わず由希は吹き出してしまった。
「由希、昂輝は知らないか? 」
嵐の片割れが帰ってきた。 コンボを決めたと言っていた昂輝の通りに腹をなでる大和の姿に由希はくすりと笑う。
由希の笑った意味がわからず、首をかしげた大和をよそに由希はやってきたお客様の相手を。
だいぶ減ったお菓子たちを見て、大和はどこかへと電話をかけはじめた。
内容からして親しい相手のようで。
電話が切れると大和は由希の隣に座った。
「誰に電話ですか? 」
「あぁ、紅葉兄上に来てって電話を。 お菓子が売れ残るよりも売りきってしまったほうがいいと思って」
女性に好かれやすい紅葉のことを思い出して、由希はあぁと笑った。
たしかに紅葉ならばお菓子を売りきってしまうかもしれない。
「そしてそれが終わったら、なにか食べて帰ろう。 兄上からも食べておいでってお金をもらってるし」
「やった! じゃあハンバーグ食べましょ」
るんるん気分の由希の姿に大和は笑った。 弟がいたらこんな感じなのだろうか、と考えていると遠くから手を振ってくる紅葉の姿が見える。
その後ろからは紅葉についてくる女性たちの姿が見えた。
「相変わらずだなぁ」
大和の吐き出した言葉に由希も同意した。




